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2019
02.05

龍の謎を解き、蠢く闇を祓わん。『王朝の陰謀 闇の四天王と黄金のドラゴン』感想。

Detective_Dee_3
狄仁杰之四大天王 Detective Dee: The Four Heavenly Kings / 2018年 香港、中国 / 監督:ツイ・ハーク

あらすじ
色々動きます。



皇帝から神剣「降龍杖」を授かった判事ディー。それが面白くない皇后は、自ら雇った異人組を使ってディーを襲撃するよう司法長官のユーチに命ずる。しかし宮殿の柱に彫られた黄金の龍が突然動き出すという謎の事件が発生。ディーは仲間の医官シャトーと共にこの謎に挑むが……。伝奇アクション「判事ディー」シリーズの第3弾。

中国の唐の時代を舞台にした「中国版シャーロック・ホームズ」とも言われる推理小説シリーズを原作とした、ツイ・ハーク監督による「判事ディー」シリーズ。1作目の『王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』、その前日譚である『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』に続く3作目です。国家の危機を救った功績により、皇帝をも諌める権利をもつ「降龍杖」を皇帝より与えられた判事ディー。しかしこの降龍杖を巡り、皇后の陰謀による命の危機や、果ては謎の勢力による国の危機にまで話が及んでいきます。そのなかで謎解きミステリーあり、荒唐無稽アクションあり、政治サスペンスあり、男の友情に仄かな恋まで入っていて、歴史要素ももちろんあるもののお堅い史実ものでは全然なく、多ジャンルごった煮娯楽作となっています。つまり楽しい!

1作目は観れてないんですが、本作は前日譚である前作『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』の続編のようですね。唐の法務機関である大理寺の長、ディー・レンチェ役のマーク・チャオをはじめ、司法長官にあたるユーチ役に『西遊記 孫悟空vs白骨夫人』ウィリアム・フォン、シャトー医師役に『西遊記2 妖怪の逆襲』ケニー・リン(ちなみに上記の西遊記映画はそれぞれ別シリーズ)などキャストも続投。皇后役のカリーナ・ラウが杉本彩みたいな妖艶さがあったり、女剣士の水月役マー・スーチュンがツンデレ(ほぼツンだが)って感じなのも良いです。

方術を駆使しての戦いは、荒唐無稽な忍術幻術という山田風太郎の忍法帖のようで愉快。柱の彫刻である黄金の龍やデカい四天王像が動き出すという、CGバリバリな巨大クリーチャーの暴れっぷりは迫力だし、『ランペイジ 巨獣大乱闘』のゴリラみたいな白ヒヒが出てきたり、「最強の法師」というアガるワードが出てきたりと、娯楽要素山盛り、ツイ・ハーク的濃厚さ満点です。前作観てなくても大体わかります。

↓以下、ネタバレ含む。








「中国版シャーロック・ホームズ」と言われる判事ディー、今作では序盤の絵師の事件で謎を解いたり、変装して情報を集めたり、他にも先読みしての推理らしきものを見せたりと、前作よりはホームズらしさがアップしてます(比較的)。まあ肝心の降龍杖の謎を解くのはユーチなんですけど。この降龍杖、隕鉄でできていると言うから宇宙の未知のパワーがあるのか、シャリシャリ回すと幻影を破ることができるというほぼ宝具ですね。だったら幻を消す経文唱えなくてもさっさと回せばいいのに~と終盤思うんですがそれはさておき、これを持てば皇帝を諌めることもできるという権力的な意味合いもあるわけで、「二聖体制」という皇帝と同じ権力を持つまでになった野心溢れる皇后にとってはディーが降龍杖を持っているのは面白くないわけです。この皇后、皇帝には媚娘(メイニャン)とか可愛く呼ばれるから忘れてましたが、中国史上唯一の女帝で「三大悪女」に数えられる残虐性を持つ則天武后ですね。「ディーが謀反を起こしたらどうする」と言ってユーチに降龍杖を取り戻すよう命じますが、雇った異人組の道士たちの方がよっぽど裏切りそうだぞ。

前作でディーと張り合った末に仲良くなったユーチがこの陰謀に巻き込まれ、異人組を使って友であるディーを陥れることに。この異人組、手が4本に増える方術使いのリーダーや炎を操る火だるまババア、空間を越えて移動できる奴、丸い刀をブン投げるパワータイプの奴などがデモンストレーションするのがアガります。これはさすがのディーもヤバい、と思いきや事情はディーも気付いていたようで上手く立ち回ってユーチと仲直り(と書くと軽いけど)。大理寺のディーの部下たちも結構頼もしいのが良くて、折り畳みボーガンをシャキシャキと取り出すのなどはカッコいいです。また異人組のひとり、水月にディーの仲間の医師シャトーがホレてしまうという一幕も。怪我をした水月を看病するシャトーに、同郷だと知った水月も顔のペイントを落として心を開く、というラブストーリーを展開。まあ友人止まりなんですが、水月を仲間に入れるための小芝居で大理寺の皆で水月を出迎えるというのは熱い。その後でシャトーをボコボコにするのは照れ隠しですかね。カワイイ(痛そうだけど)。

物語は異人組との対決と思わせて、リーダーたちが黄金龍に襲われて倒されるという意外な展開。彼らは囮であり、それどころか皇后さえも操られていて、黒幕はかつて唐の高祖に滅ぼされたという封魔族です。火だるまババアはその一味。封魔族の操る移魂術は強力な幻術で、これにより柱の龍は宙を舞い、四天王像は動き出します。しまいには無数の目玉が付いた超巨大四天王像という進撃の巨人なみの悪夢的なクリーチャーまで登場。この幻に合わせて攻撃してくるのだから避ければ済むような気もしますが、その威圧感に気圧されちゃうわけですよ。デカいイソギンチャクみたいなのを吐いたり、なぜか目玉を飛ばしたりと生理的な嫌悪感も手強い。

これもう勝てなくないですか?というところで救ってくれるのが、三蔵法師の弟子にして最強の法師、ユエンツォー大師!自分は関わらない方がいいッス、とか言って一度助力を断っていたくせに~と思わなくもないですが、巨大白ヒヒに乗って颯爽と登場には激アガり。顔を覆われると首を落とすしかないという魔輪をも打ち破り(理屈は不明)、封魔族の頭領を改心までさせるというまさに仏道の求道者!ディーもユーチもお株を奪われた感がスゴいですが、これもまたディーの作戦が見事に決まったということなのでいいのです。それに前作に続きデカいのがガンガン暴れる様には、国の脆さ、人の小ささというものも感じさせて諸行無常であることですよ(無理やり)。

まあ派手で痛快、かと思えばウェットに迫る幅広さ、というかこってり味、さすがツイ・ハークといったところです。素直に面白かった!と言いたくなりますよ。ただエンドロール始まってから3回くらい映像挟むのはさすがにくどいですけどね。ちなみに3回というのは、皇帝の隠れ場所(民の中に隠れていた)、自身を菩薩に見立てた皇后(不穏)、女剣客の水月がヒヒを大師と間違える(なんじゃそりゃ)といったもの。それはいいんだけど、「その後則天武后が国を牛耳る」みたいなキャプションをわざわざ付けるのはどういうことか。シリーズこれで終わりとでも言うんですか?ぜひ続けてほしいぞ。

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