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2019
01.17

前方の嵐、後方の銃弾!『ワイルド・ストーム』感想。

The_Hurricane_Heist
The Hurricane Heist / 2018年 アメリカ / 監督:ロブ・コーエン

あらすじ
ハリケーンはマジで怖い。



史上最大規模のハリケーンが迫るアメリカ西海岸で、その混乱のなか6億ドルを強奪しようとする犯罪計画が進んでいた。ターゲットの施設で警備をするケイシーはこれに気付き、たまたま知り合った気象学者のウィルと共にこの計画を阻止しようとするが……というクライム・アクション。

財務省の紙幣処理施設、そこで廃棄処分を待つ6億ドルの現金を狙った武装集団が、超強力なハリケーンの混乱に乗じて襲い来る!いやあこれ、すんごい面白い!過去最大規模のハリケーンに襲われるディザスターものとしてのスペクタクルと、現金強奪のクライムものとしてのスリルを兼ね備えていて、それを嵐を利用した数々の攻防で魅せるというアイデア満載の展開が実に愉快。強盗団の綿密な計画と大胆な行動、これを阻止しようとするのは施設のセキュリティ担当の女性ケイシーと、電気技師ブリーズ&気象学者ウィルの一般人兄弟!猛烈な嵐と飛び交う銃弾のなか、ウィルの乗る災害用特殊車両「ドミネーター」が唸る!極限状態での危機また危機の連続、武装した敵に立ち向かうべく成される創意工夫がまあ楽しいったら。トラウマを抱えた兄弟の絆という、ちょい熱い話もイイ。

ウィル役は『キングコング 髑髏島の巨神』『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』のトビー・ケベル、この人は利口にも間抜けにも見えるというのが味があって良いんですが、今回は頼りがいのある役柄。ハリケーンだから気象学者が活躍するというのが理に叶ってますね(そうか?)。ブリーズ役のライアン・クワンテンと見せる兄弟アクションを思った以上にやってくれます。ケイシー役のマギー・グレイスは見覚えあると思ったら『96時間 レクイエム』など『96時間』シリーズのリーアム・ニーソンの娘、キムじゃないですか!戦う女性の美しさをしっかり見せてくれます。またコナー役で『ウィッチ』『レディ・プレイヤー1』のラルフ・アイネソンが渋い存在感を示してくれます。

監督は『ワイルド・スピード』『トリプルX』各1作目、あと『カリフォルニア・ダウン』のロブ・コーエンということでそれらが好きな人にはもちろん、『イントゥ・ザ・ストーム』の迫力や『ザ・アウトロー』の現金強奪のスリル、『イコライザー2』の嵐バトル辺りも取り込んでて楽しいです。特殊車両には燃えるし、ハリケーンはマジで怖いし、悪役もキャラ立ってるし、台詞回しもセンスがイイ。突飛ではあるけど不自然じゃないし、荒唐無稽と見せて意外と地に足が付いている、非常に痛快でとても丁寧な娯楽作です。

↓以下、ネタバレ含む。








■廃棄紙幣を狙え!

過去最大級というだけあってハリケーンの迫力がスゴい。市民がみんな避難させられるほどの勢力なわけですが、この警備が手薄になるタイミングをターゲットにして現金強奪を狙うというのがまたスゴいですね。相当計画的な犯行であり、あらかじめ運搬係に就いたりシステム調査として潜り込んだりと事前準備も周到。ケイシーと一年も一緒にいたというコナーがまさか黒幕だとは思わないですよ。つまり一年間この機会を待っていたということで、何とも我慢強いというか、ハリケーンなんていつ来るかわかんないけど仲間たちはずっと待ち状態だったの?とは思いますが、なんたって6億ドルですからね、待ちますよ1年くらい。で準備も万端、ハリケーンもきた、いよいよ実行!待ってろ6億ドル!ああケイシーや気象学者さえいなければ!

……別に強盗側に肩入れしてるわけでもないんですが、恋人や兄妹といった関係や信頼感のある感じがちょっと好ましいからですかねえ。廃棄紙幣を狙うというのは『ザ・アウトロー』でもやってましたが、あれ以上に念入りの計画だし、警察まで抱き込む、しかも署長だけかと思ったら全員というのが見事だし、あと血を流さずに犯行を行うというのがいいですよ。後半に仲間を殺られたからといって施設の人を殺しちゃうために悪役に成り下がりますが、それがなければケイパーものの主役といってもいいドラマになったところです。


■嵐に強い気象学者!

そんな強盗団に対するのがたまたま一人外にいたケイシーと、気象学者のウィル、電気技師のブリーズ。なんだこの組合せ?というのがイイじゃないですか。ケイシーは元軍人でかつて判断ミスで仲間を死なせた過去があり、ブリーズとウィルは冒頭に目の前で父を亡くし、ブリーズはそのせいかすっかり負け犬めいて、ウィルは逆にハリケーンを調査する仕事に就く、というドラマも面白い。兄妹が武装集団相手にあんな立ち回りができるのは、二人ともアメフトと軍隊の経験者だから、というのは出来すぎとしても、その経験を随所に活かすような場面がちゃんとあるので受け入れられます。アメフトの作戦名を使って瞬時に意志疎通を図ったりとかね、良いですよねえ。

台詞回しも色々と良くて、「弾がない」「なんで」「撃ったからよ」とか笑えるし、気象学者からの連想である気象予報士の真似をするやり取りなどちょいちょい入るユーモアも微笑ましい。ブリーズが最後にハッカーカップルを助けようとするのがせつなくも良いですよ。あと連続した戦いのなかでトイレや食事のシーンがある、という細かい描写があるのがスゴくイイ。これはジャンル映画には珍しい。登場人物たちに親近感を沸かせる作劇なんですよね。あとドミネーターですよ!『イントゥ・ザ・ストーム』にも似たものが出ましたが、様々な機器を備えて頑丈でいかつい、という少年の心をくすぐるビークルには激燃え。スパイク下ろしてドーンと追突させるという打たれ強さには喝采です。最後に爆弾にされるかと思いきやそれはやらずに済むものの、洪水でウィルがドミネーターにつかまって助かるという、最後まで主人を守って散るみたいな描き方で泣けます。


■仇のハリケーンを味方に!

嵐をそう使うか!とかそれを武器にするか!など工夫を凝らした展開も実に面白い。通信塔を倒して通信を遮断という発想は常軌を逸してるし、塔にいるウィルに不意に車が飛んでくるというピンチにはおったまげます。車のホイールを投げてブッ刺して倒すというのもスゴいし、モールで警官たちを嵐によって吹き飛ばし、自分たちはスカイダイビングだかラフティングだかのスーツで難を逃れるのも無茶すぎ。ただその際にブリーズがどうやって助かったのかがハッキリしない、というような描写不足もところどころあります。ケイシーを追う強盗団がピンチになるとすぐに助けにきますが街と処理施設との距離感がわかりにくいというのも少し気になります。まあ他が面白いので気にならないレベルですけどね。

それに父を亡くしたトラウマを持ち少しぎこちない兄弟が、ケイシーを救うため力を合わせて仇のハリケーンに立ち向かうのが粋だし、照れくさいながらもお互いに謝るのには泣きますよ。クライマックスもただのカーチェイスではなくトレーラーチェイスというのが新鮮だし、すぐそばに迫るアイウォールなどは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の砂嵐に勝るほどの凄まじさ。ハリケーンの脅威と悪党の成敗という二つの要素を同時に描くラストは最高です。最後に2億持ってメキシコにトンズラ、でちょっと心揺れるのは可笑しいですが、いやもう頂いちゃっていいんじゃない?と思うほどこいつら好き。そして美しい夕焼けを三人が並んで見つめる姿に、ああこの人たちは善人なんだなあと爽やかな気分になるのです。

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