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2018
12.07

生まれ変わるは親子の絆。『ポリス・ストーリー REBORN』感想。

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机器之血 Bleeding Steel / 2017年 中国、香港 / 監督:レオ・チャン

あらすじ
ギブ・ミー・心臓。



国際捜査官リンは、危篤状態にある幼い娘を病院に残したまま証人警護作戦に駆り出されるが、瀕死の重症を負う。それから13年後、その事件を元ネタにした小説が出版されたことを機に、事態は再び動き出す……。ジャッキー・チェン主演のアクション・ムービー。

2007年の香港で人工遺伝子に絡む陰謀に巻き込まれ、激しい銃撃戦の末に重傷を負った国際捜査官リンことジャッキーが、13年後に出版された小説をきっかけにシドニーで再び戦いに挑む、というお話。戦う相手は人工心臓を持つ造られた人間、バイオロイド。時代は2020年。なんとこれ、近未来SFなんですよ。原題の『Bleeding Steel』は事件を元にした小説のタイトルであり、1985年の『ポリス・ストーリー 香港国際警察』とは実際は別物。今までもシリーズじゃないのに「ポリス・ストーリー」を冠した邦題はありましたが……まあ一応ポリスのストーリーではあります。それでいて主題歌が『ポリス・ストーリー』でおなじみ「英雄故事」というのもややこしいんですが。

それはともかく、物語はジャッキーがある少女を守りつつバイオロイド率いる謎の犯罪組織の野望を砕くというもの。正直言うと設定も話も粗いし、シリアスな話にブッ込まれるコミカルシーンがユルすぎてそのギャップには引きますが、大仕掛けと大ネタで勝負をかけつつアクションはしっかりジャッキー映画になってるのはさすが。特にあの世界的ランドマークでのアクションには度肝抜かれましたよ。あれはスゴい。他にもジャッキーの過去作を彷彿とさせるシーンが色々あるのにもニヤリとします。映像的にもCGなど気合い入っていて、冒頭の製作会社のロゴが10社以上というのは初めて見た気がしますが(超長い)、確かにそれだけ金かかってそう。

鍵を握る少女ナンシー役は『疾風スプリンター』オーヤン・ナナ、歌手の欧陽菲菲(オーヤン・フィーフィー)の姪っ子だそうです。スー役はエリカ・シアホウ、銃撃アクションも頑張ってます。怪しいハッカー男のリスン役ショウ・ルオは、何かで見たと思ったら『西遊記 はじまりのはじまり』の空虚王子、『人魚姫』のタコ兄ですね。またリンを襲う女殺し屋に『エイリアン:コヴェナント』のテス・ハウブリック。敵ボスのアンドレ役、カラン・マルベイは『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』『スカイライン 奪還』にも出てたようです。顔が白塗りなのでわかんないけど。

『カンフー・ヨガ』ではインド映画テイストに挑んだジャッキーですが、今度はSFに挑戦というのはさすがのバイタリティ。『レゴ ニンジャゴー ザ・ムービー』とか、あとファンタジー系はあったけど、実写で近未来SFは初めてじゃないですかね?『タキシード』とか……あれはスパイものか。しかしこれがジャンル・ムービーでありながら、意外と近年でも高レベルのジャッキー映画濃度なので、好きな人は必見です。

↓以下、ネタバレ含む。








■ヌルさと激しさの展開

たぶん結構な予算が取れたんでしょう、タイトルからして気合い入ったCGなんですが、一旦タイトル出たのにその後しばらくしてからOPクレジットが始まるというのが何ともタルい。何と言うか、全体的に「そこでそれやんなくてもよくない?」というズレた演出が多い気がします。娘の病院に駆け付けようとするシーンでカーアクションとか、よく分からない合言葉を言わされて現場に戻るのが病院の真ん前とか。犯人追跡中とかいうならまだしも、そこまで来たなら娘を取るでしょうおかしいでしょう。しかも任務は証人を移動させるだけだしなあ。まあその辺は許容範囲、直後に始まる銃撃戦の迫力で吹っ飛びます。長回しも多用し、尋常じゃない爆発も絡めた一連のシーンは結構な臨場感。『スター・ウォーズ』のブラスターのように色付きの火線が飛び交うのが近未来っぽい。どうやらですね、ここで使ってる銃も弾丸も本物らしいんですよ。実弾の飛び交うなか撮影してたそうです。頭おかしいです。あと敵に銃が効かないからって手榴弾持って抱きつき自爆ってのが凄まじい。頭おかしい。

娘の死と共にリンも死んだかと思うんですが、13年後のシドニーで再登場。そうか、人工心臓によってバイオロイドとして甦り、『ユニバーサル・ソルジャー』のように死してなお戦っているのだな、だから『REBORN』なのだな、ハードボイルド!と思ったらどうやら死んでなかったようです(早とちり)。相棒のスーさんは13年経っても若々しいので彼女がバイオロイド化したんだな?と思ったらこれも違ったようです(早とちり)。「隊長は死んだことにして新しい身分を」とか「早く元の立場に戻れるといいですね」とか言ってて、この13年間どうしてたのかさっぱりわからないんですが、とりあえず人工心臓で甦ったのは娘のシーシーことナンシーの方だったようです。手術をした博士はシーシーを助けて死んだようですが、銃撃された傷をおして助けたってことなのか?これまたよくわかりませんが、娘のナンシーは記憶を失っている模様。そんな娘を父はずっと見守っていたわけですね(もちろん後で回復しますが)。

そのナンシーはさすがジャッキーの娘、ナメたヤツはぶん殴る超勝ち気なお嬢さんで、スラムで絡んできたチンピラの股間を繰り上げて疾走したりします。記憶を取り戻すため魔女と呼ばれるスピリチュアルな女性のところに通ってるわけですが、あんなとこ通ってたら毎回絡まれると思うんですけどね。ここに謎のハッカー、リスンが絡んでくるんですが、何か思惑があるのかと思ったら単にナンシーがカワイイからってだけだったようです。二人がゴロツキと追いかけっこするユルいラブコメ調シーンは、長い上に退屈でやっぱズレてるなあとは思うんですが、そこも含めてジャッキー映画っぽいとは言えますかね。一応魔女がナンシーの映像を作家に売り付けたから組織がそれを狙ってきた、という繋がりがここで描かれます。あ、トレーニングすれば手錠の鍵を開けられるというのは面白いです。マッチョしか逃げられないな。


■新しさと懐かしさのアクション

というわけでジャッキーとバイオロイド軍団との戦いが始まります。特に何度も顔を合わせる女殺し屋(名前くらい付けてあげればいいのに)とのバトルは『スキップ・トレース』に続くジャッキーvs女性というコミカルさもありつつ、相手が人間離れしたパワーを持つので苦戦する、という要素もありますね。アクションは様々なシチュエーションで見せてくれますが、一番の目玉はやはりオペラハウス上でのアクションでしょう。あのてっぺんに人がいる映像は初めて見ましたよ。あんなとこで手すりを蹴ってジャンプするとか、あの急カーブの壁を滑り降りるとか、正気とは思えません。マジでやってるの?ジャッキーは命懸けアクションは引退したんじゃなかったの?すげーな。

アクションシーンに関しては色々とジャッキーの過去作を想起させるシーンが多くて楽しいです。オペラハウスの曲面を滑り降りるシーンは『WHO AM I?』のようだし、最後にパラソルをクッションにしてなんとか着地するのはちょっと『プロジェクトA』っぽい。マジックショーみたいなステージで垂れ幕のようなカーテンにクルクルされるのは『ファイナル・プロジェクト』のようだし、ラストの落ちてくるジャッキーをパラシュートで受けるところは『サンダーアーム』(だったかな?)を思い出します。あとオペラハウスでぶら下がった手すりを振って走りながら飛ぶというのは『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』みたいで、ジャッキー化したトム・クルーズのアクションをジャッキーが再現したのでは、という妄想が拡がって楽しい(実際に意識したかは不明)。


■貫禄と挑戦のジャッキー

敵組織の目的は結局ナンシーの人工心臓が欲しかったということなのかな?ちょっと途中でよくわかんなくなっちゃったんですが、思い出したように近未来的な飛行マシンが登場してクライマックスが始まります。アンドレはこの飛行機から降りられないらしく、さらってきたナンシーを機械に繋いでご満悦。そこにジャッキーがやってきて娘を救い出すわけですが、右腕を切断というまさかの展開に驚き、しかしアンドレの再生細胞が取り込まれていたので右腕が速攻復活という都合のよさに一安心。そうか、右腕が『REBORN』ということだったんだな!バイオロイドたちにはもっと『ブレードランナー』のレプリカント的な悲哀を出すという手もあったと思いますが、悪党には情けをかけないジャッキー映画らしい大団円でしょう。ただの愉快犯ハッカーかと思ったリスンも、アンドレに殺された父の仇と財産を取り戻し、死んだと思いきや何か怪しげな取引してて元気そうです。結局あいつ何だったの?とは思いますが……

若い世代とも積極的に仕事する懐の深さ、国際的なキャスティングも実現させるスターとしての貫禄、新たなジャンルにも果敢に挑むバイタリティ、まだまだ衰えぬアクションと、さすがジャッキー・チェンというのを感じずにはいられないですね。エンドロールのおなじみNG集も楽しそう。そのなかで「続編作るぞー」とか言ってるので、ひょっとしたら作られるのかもしれません。今度は実弾はやめようね……?

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