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2018
10.22

戦士たちよ、絶望を覆せ!『スカイライン 奪還』感想。

Skyline_Beyond
Beyond Skyline / イギリス、中国、カナダ、インドネシア、シンガポール、アメリカ / 監督:リアム・オドネル

あらすじ
ダ○ソンを超える吸引力です。



青い光と共に突如地球に襲来した謎の宇宙船。息子のトレントと共に地下鉄に乗っていたロサンゼルス市警の刑事マークが地上に出ると、そこには地上から宇宙船に吸い込まれていく大量の人の姿が。一緒にいた地下鉄乗務員や盲目のホームレスらと一緒に何とか逃げようとするマイクたちだったが、その前に巨大な兵器が立ち塞がる……。地球侵略SF『スカイライン 征服』の続編。

わずか3日間で地球が謎の生命体に征服されてしまうという『スカイライン 征服』、その7年ぶりの続編です。前作は舞台と人物を絞った上での絶望的なサバイバルが非常にスリリングで、昼間にデカいのが暴れるという映像的チャレンジ、そしてラストの超展開と、低予算ながら工夫と熱意を感じる侵略SFものでした。そして今回の続編、前作の監督グレッグ&コリン・ストラウス兄弟は製作に回り、前作でも脚本を担当したリアム・オドネルが監督・脚本に。果たしてどう繋げるのかと思いきや……いや凄いなこれ!時間軸は前作での宇宙人襲来と同じタイミングで始まる別視点の話なんですが、人間が吸引され軍隊は歯が立たず、どう見ても人類に勝ち目はないのでは、という前作の絶望的な話が、まさかここまで拡がるかというさらなる超展開の嵐。この状況で格闘アクションがブチ込まれるという予想を越えた所業。そして詰め込みまくった要素の数々に脳が呼吸困難です。しかもちゃんと続編になっているのです。

キャストは前作の一般的な人々から肉体派へと様変わり。メインとなるマーク刑事役が『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』フランク・グリロというキャスティングだけでもう戦う気満々ですよ。グリロは『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』でウー・ジンとやり合ってましたが、今度の相手も凄い。それがスア役の『ザ・レイド』シリーズ『ヘッド・ショット』のイコ・ウワイス!初のハリウッド大作『スター・ウォーズ フォースの覚醒』ではチョイ役に甘んじましたが、今作では堂々たるメインの一人。またスアと関係する人物チーフ役として、同じく『ザ・レイド』シリーズや『極道大戦争』のヤヤン・ルヒアンも参加!なぜこのシラット使いの二人が……ロスに観光にでも来てたのか?というのが気になるところでしたが、そう来たか、という感じになっています。ほか、マークの息子トレント役にジョニー・ウェストン、地下鉄乗務員オードリー役に『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』ボヤナ・ノバコビッチという顔ぶれ。

人間を捕らえてアレをコレする宇宙人もヤバいですが、イコ・ウワイスがナイフ2本構えたらもうヤバさしかないし、ヤヤン・ルヒアンの扱いもある意味ヤバいんですけど?と言うか、グリロの物語からシラット・コンビに繋げる脚本の力技が凄い。『インデペンデンス・デイ リサージェンス』『世界侵略:ロサンゼルス決戦』などの侵略SFに限らず、アクション映画や怪獣映画などの様々な作品の影響が垣間見えるのも面白い。さりげなくグロ度もアップ。前作を観てなくてもわかるような作りも親切です。侵略SFものというジャンルを一歩先へと押し進めた、怪作にして快作と言えるでしょう。まさに『Beyond Skyline』!

↓以下、ネタバレ含む。








地下鉄という閉鎖空間で感じる振動の恐怖、地上から地下階段へ降り注ぐ幻想的ながら不穏な青い光、宇宙船へ吸われていく人々を下から見上げる構図など、狭い範囲限定だった前作からフィールドを広げたこともあり、画作りがダイナミックに。前作のカップルを親子に変えただけかに思われた主人公たちは、銃を撃ちまくったり発煙筒で爆発させたりとよりアグレッシブだし、前作では主人公ジャロットたちが断念したマリーナの方に行くという、別の分岐の場合どうなるかを見せるのも面白いです。また前作のステルス機による母船攻撃シーンがそのまま挿入されることで、舞台や時間軸が地続きであることもわかります。あのデカいのが遮蔽物のないところで現れるのは結構な恐怖だし、俺の屍を超えて行け的なマークの同僚刑事も熱いですね(速攻吸引されるけど)。と思ったら、巨大ロボットのような人型兵器まで登場するのには驚き。さらに驚くのはトレントもマークもそのまま吸引されてしまうことです。前作では吸い込まれるのがクライマックスだったので、えっ、終わり!?と意表を突かれます。

ここまでは新要素を入れつつも、謎の侵略者から逃れようとする人々、というわりと前作をなぞるような展開なので、ある意味ここからが本番。舞台が宇宙船内に移ったことでエイリアン化したジャロッドとの邂逅という、前作のラストがようやく伏線として活きてきます。ジャロッドとエレインが別の役者さんになってて「誰?」とちょっと混乱しましたがそれは置いといて、しかしまさかエレインの妊娠まで伏線だったとは……マークさんは脳みそ取り上げられそうなヤバい状況で赤ん坊の取り上げを行うというスーパーな働きを見せます。さらにマークがジャロッドと通じ合うという未知との遭遇、そして赤ん坊を伴うという逃避行がさらにスリルを伴います。一方でみのむし状態のトレントとオードリーのサーカス的な脱出劇や、盲目の男救出作戦が展開。そう言えばあの青い光は目の見えない人には効かないということが描かれ、視覚から操るものだということが示されますね。あと電車の乗務員のお姉さんオードリーが脇役にしては華があるなあと思ったらこの辺りから本領発揮し始めて、華どころか超戦力になっていくというのが凄い。後にタンクトップになる時点で満点ですよ。

それはともかく、トレントがマークの目の前で脳みそ取られるというショッキングなシーンには愕然。最初にマークの隣で脳みそ取られる若者がトレントかと思ったら違ったのもあって(そう思うよね?)、ああマークとトレントは生き残って親子愛みたいな方向に繋げるんだな、と勝手に思ってたらこの容赦のなさですよ。しかしこれが伏線でもあるというのがニクい。また、明らかに脳みそ移植生物とは別のリーダー的なエイリアンが一人だけ出てくるので、ひょっとしてスカイライン星人って一人だけ?宇宙船ワンマン?と思ったら本当にそうでした。他はメカっぽさは皆無だけどロボットということなんですね。トレント脳が移植された手下ロボが一瞬目の色がジャロッドのように赤くなったりしますが、これはバグと言うか不具合発生の可能性があるということを仕込んでいるのでしょう。このワンマンとバグという設定が絶望的な戦いの一縷の望みとなっているのが上手い。ちなみにスカイライン星人に関わる光は青い色で、人間の味方となるジャロッドら手下ロボの目の光は赤い色ですが、何となく赤の方が敵みたいな先入観があるのでちょっぴり新鮮。この赤色はエラーを表してるんだと思われますが、赤って人間の血の色でもあるなあ、などと思いました。あと手下ロボは造形と数的にちょっとジョジョのラバーズを思い出しますマギーッ!

イコ・ウワイスとヤヤン・ルヒアンがどうやって登場するかと言えば、ジャロッドとマークの共闘で宇宙船を墜落させた先が内戦の続くラオスだった、というごく自然な展開。ごく自然……?いやまあここからいきなり『ランボー 怒りの脱出』みたいになるのが自然なのかと聞かれたら視線を逸らしてしまいますが、わりと筋は通ってるんじゃないですかね。それに「やりたいこと全部ブチ込んでみました」という感じの超展開がたまりません。エイリアンを格闘でボコるという絵面には特撮ヒーロー味があるし、デカいモンスターロボの登場は怪獣映画のよう。ジャングルのなか異形のエイリアンと対峙するなんて『プレデター』のようだし、急速に成長するローズちゃんに感じる落ち着かなさは『スタートレックIII ミスター・スポックを探せ!』を思い出します。極め付けはスカイライン星人と劇的に目覚めたトレントの巨大ロボ同士によるウルトラマン的激突!当然『ザ・レイド』も加味されていて、スアことイコ・ウワイスはナイフ2本でズバズバ倒すし、敵だけどヤバそうと見込まれたチーフことヤヤン・ルヒアンも猛り狂った攻撃が凄まじい。敵の武器を装着したマークことフランク・グリロも肉弾戦を挑むし、この三人で同時に手下ロボを切り刻むのには震えますよ。

ジャンキー科学者がおおよその謎を解明しちゃうとか、エイリアンの武器を装着した者ならローズちゃんに輸血できる謎設定とか雑なところはあるものの、そこはもう勢いで突っ走りますね。盲目の男やスアの妹など名前のあるキャラも愛着が湧く前に死んでいくのはちょっと勿体ない気がするものの、それは色々詰め込んだ弊害でしょう。無駄に四肢を引き千切られるヤヤン・ルヒアンはその扱いでいいのか?とも思いますが、激闘の末壮絶に散る強敵の哀愁がある、と言えなくもないです。そうして多くの者を失いながらもスカイライン星人から地球を取り戻した戦士たち。いやもう本当に軍人でも兵士でもなく「戦士」という呼び名がふさわしいです。よくやった、地球は救われた!

……からの、最後の度肝を抜くもう一発。成長したローズちゃんとトレントのバディが逆襲をかけるとか、何ですかこの二次創作が捗りそうなラストは!前作のラストからまさかこういう形にまで広がるとは予想をはるかに超えており、ジャンルさえ超越した着地に満足ですよ。エンドタイトルから即ジャッキー映画のようなNG集に繋げる余韻ブチ壊しの構成はどうかとは思いますが、それもサービスの一環だと思えばまあ良し。何だかさらなる続編も行けそうな雰囲気ですが、果たして続くのか?その際にヤヤン・ルヒアンがちゃっかり復活してても許すぞ。

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