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2018
09.14

大海原、最大vs最強。『MEG ザ・モンスター』感想。

The_Meg
The Meg / 2018年 アメリカ / 監督:ジョン・タートルトーブ

あらすじ
デカいにもほどがある。



マリアナ海溝より深いと見られる深海の調査のため潜水艇で海底へと向かった探査員たちは、そこで巨大な何かに襲われて立ち往生する。レスキューダイバーであるジョナス・テイラーは探査チームの救助に向かうが、そこにいたのは200万年前に絶滅したはずの巨大ザメ、メガロドンだった……。ジェイソン・ステイサム主演のサメパニック・アクション。

某沖合の海洋研究所での調査のため、最新の潜水艇によりかつてない深海へと潜った結果、体長23メートル、体重20トンにも及ぶ太古の巨大ザメ、メガロドンに遭遇するというサバイバル・パニックムービーです。つまりはサメ映画なわけですが、近年量産されているサメ映画群に比べるとかなりのビッグ・バジェットで、映像も美術もしっかりしたもの。そして何と言っても主役を張るのが『エクスペンダブルズ』『ワイルド・スピード』シリーズなどのジェイソン・ステイサムというのがポイント。数々の映画で無双の強さを誇ってきたステイサムが、(たぶん)初めて人間以外の強敵と対峙します。巨大ザメ相手じゃさすがのステイサムも所詮は人間だし厳しいかも……でもそんなステイサムはあまり見たくないな……などと心配していた自分に「大丈夫、ステイサムだよ」と言ってあげたい。ちゃんとしたサメ映画にして、ちゃんとステイサム映画です!

と言うわけで主人公ジョナス・テイラー役のジェイソン・ステイサム、『メカニック:ワールドミッション』では「サメよけクリーム」なる珍品でサメから逃れてましたが、今回はそのクリームがない!どうするステイサム!ジョナスが救う海洋研究所長の娘スーイン役には『トランスフォーマー ロストエイジ』リー・ビンビン。所長のジャン博士とスーイン、スーインの娘メイインの親子三代でサメの恐怖に直面します。研究所のスポンサー、モリス役は『スーパー!』『ゾンビスクール!』のレイン・ウィルソンですね。なかなかなの曲者臭。技術者ジャックス役で『トリプルX:再起動』『ジョン・ウィック チャプター2』のルビー・ローズ姐さんが登場するのも嬉しいところ。あとドラマ『HEROES ヒーローズ』のマシ・オカが日本人調査員トシ役として出ています。

監督は『ナショナル・トレジャー』シリーズのジョン・タートルトーブ。サメ映画に期待する阿鼻叫喚パクパクパニックは少し弱めですが、そのぶん老若男女が楽しめる全方位娯楽作という出来になってるんじゃないですかね。登場人物たちの状況にはそれなりにハラハラするし、でもステイサムの場合にはそれが「対決だー!」という高揚感に変わるし、メガロドンの巨大さを活かした展開にもエキサイト。見たいものは全部入ってて満足です!

↓以下、ネタバレ含む。








舞台の海洋研究所、ボロいエレベーターを降りたら美麗で近未来的な施設、というのがアガるし、深海の底のさらに下に温水の層があって全く違う生態系が存在する、というのも実際ある学説かどうかはわかりませんがワクワクします。潜水艇も小型宇宙船のような最新テクノロジー感が凄いし、超深海の生物も異質でエイリアンのよう。と言うか深海って宇宙と変わらぬ危険と未知の世界だなあと思わせてくれます。この色々とハッタリの効いた設定やビジュアルが、上手く世界観に引き込んでくれますね。潜水艇内に響く何かがぶつかった音とか、クジラがガラスにぶつかったときの音とか、音の使い方もスリルに繋がります。

そしてスリルの元凶メガロドン(以下メグちゃん)ですが、とにかくデカいので、少しずつ襲ってくるという感じではなく、一気に食われるか間一髪逃れるか、人を食うときはまとめて、と豪快。潜水艇を襲う巨大イカ!というのもアガりますが、このイカも食らっちゃうし、クジラにも食らい付いたりと食欲旺盛。人間を食らう残虐シーンがほぼないのは少しばかり物足りないし(食べ残しの腕が浮いてたくらい)、ビーチに現れたときはもっと暴れてほしかった気もしますが、メグちゃんくらいデカいと人間なんて食べても白魚の踊り食いくらいの感覚なんですかね、「細かいエサがいっぱいあるなー」という感じで見回してるようだったし。でもそのわりには単身船から落ちたやつを狙って来たりもするので、行動原理が若干統一感に欠けるというのはあります。

とは言え、目の前にいると全身が見えないとか、掻き分ける波が異様に大きいとか、海も深いところだと見通しが効かないのでぼんやり影が見えたらもうヤバい、というように、背ビレだけではない怖さの見せ方も色々工夫しています。船を一撃でひっくり返すというパワーも凄まじい。あとむやみにジャンプしたりせず、しても現実的な高さで、大メグちゃんの登場や最後のステイサムのトドメなどここぞというときに絞ってるのも良いです。退治して船に吊るすのには一瞬「え、終わり?」と驚きますが、まあそんなわけないですよねえ。ここでさらにデカい方が食い付く、というのはもちろん意外性や恐怖の持続というシーンではあるんですが、こいつが同族でも平気でエサにするヤツだということも示してます。大きいサメが小さいサメを食べるという共食いは実際にも例があるようですが、この大メグちゃんが他のサメに食われるというラストには、弱肉強食自然の摂理というよりは何か因果応報のようなものを感じさせます。あとメグちゃんのデカさにマヒして普通のサメを「小さいサメ」とか劇中言ってるんですが、そのホオジロザメ2メートルはあるよ?

ゾンビ映画とサメ映画の共通点、それは「誰が食われるか」と予想してしまうことですが、そこはちょっと捻ってきてます。遺書を書いてたトシは結局助かるかと思ったら、仲間を救うため自ら切り離すという英雄的行動。序盤で「このイケ好かないヤツは食われる」の最有力であるドクターが、自分の非を認めてジョナスに謝り、ジャックスを救うために犠牲になるという、まさかのイイ人化。「エラいヤツは大体食われる」の筆頭であるスポンサーのモリスは、自分の非を認めて皆に謝り、と思ったら私欲に走って一人で勝手に死亡。普通のサメがまだいるのにいつまでも水に浸かってて「油断するヤツは死ぬ」パターンかと思ったら、それを超えてまさかの大メグちゃん登場。皆良い人になっていく爽やかな話かと思ったらそうでもなく、死にそうだけど助かると思わせてやはり死んだりもして、若干のツイストがなかなか楽しいです。

しかしそんな「食われるのでは」という不安が全くないジョナスことステイサム。とにかくステイサムが軽装すぎるんですよ。1幕目、特に装備とかもなしで、鼻血出しながら高速で潜るステイサム!2幕目、ボンベもなしでサメに近付いてGPS打ち込み、ケージを救うために丸腰で突撃するステイサム!3幕目、まるで『スター・ウォーズ EP1』のようにグライダーでサメとチェイスし、ミサイルまで打ち込み、最後はグライダーをカッター代わりにするステイサム!もう拍手喝采ですよ。さすがは元高飛び込みの選手という泳ぎや飛び込みのフォームも実に美しいし、超仕上がったバキバキボディを披露する脱ぎシーンもあるし、公海上でも暴力振るわない大人だし、そりゃあスーインも湯上がりステイサムにドキドキしたりフォーリンラブしたりしますよ。地獄耳のおませな娘ちゃん(8歳)も認めますよ。元妻がスーインとの仲を応援もしますよ。……さすがに色々と都合よすぎですが、それなりに人死にも出てるので後味の良さは救いです。子犬のピピンも無事だったしな!

ジョナスは友を見殺しにしたという後悔をずっと抱えて生きてきたわけです。元々レスキューダイバーというのはあるにしろ、その後悔が彼を即座の救助に向かわせているのだ、と思えてくるんですね。ジョナスが軽装ですぐ出発したり、即座にメガちゃんのいる海に飛び込んだりするのもそのためでしょう。少なくともそういう深みを感じさせるのがジェイソン・ステイサムだなあ、と改めて実感。話を聞いただけで「それはメガロドンだ」と断言するくらいはご愛嬌です。楽しかった!

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