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2018
09.03

炎と爆風のレクイエム。『SHOCK WAVE ショック ウェイブ 爆弾処理班』感想。

shock_wave
拆弾専家 Shock Wave / 2017年 中国、香港 / 監督:ハーマン・ヤウ

あらすじ
爆発を阻止せよ!



犯罪組織に潜入していた香港警察の爆弾物処理局の指揮官チョンは、あと一歩のところで組織の頭であるホンを取り逃がしてしまう。その7年後、香港に戻ったホンにより連続爆弾事件が発生、海底トンネルが占拠されて数百人が人質となり、莫大な身代金が要求される。チョンは人質救出のため爆発物の解体に向かうが……。アンディ・ラウ主演、『イップマン 最終章』のハーマン・ヤウ監督・脚本のポリス・アクション。

香港警察の爆弾処理班ナンバーワンであるチョン・チョイサンが、香港中を揺るがす爆弾テロに直面する、というアクション作品です。爆発物処理と言えば『ハート・ロッカー』ですが、同じように耐爆スーツを着て爆弾を処理したりもするものの、基本は香港アクションなのでね、爆発します。様々な場所に仕掛けられた爆弾が爆発する炎はかなりの規模でド迫力。また、なぜか結構な量の車が壊されまくるという派手さもあります。そして巨大な海底トンネルが占拠されて爆弾が仕掛けられ、トンネル通行中だった多くの人が人質に取られるという香港中を震撼させるビッグなスケールで、この辺りはなかなかのもの。主人公だけでなくその恋人や同僚、トンネルに閉じ込められた人や犯人たちにまでドラマが用意され、物語を重層的にします。

何といっても主人公チョン・チョイサン役の『未来警察 Future X-cops』『グレートウォール』アンディ・ラウがカッコいいわけですよ。相変わらず若々しくて、これでもうすぐ57歳とか信じがたい。トム・クルーズの1コ上ですよ?アンディ・ラウは今作ではプロデューサーも務めてるようです。あとチョンに恨みを抱く犯罪組織のボス、ホン・ガイパン役のチアン・ウーが見せる冷酷さもイイ。他、チョンの恋人カルメン役の『レッドクリフ』ソン・ジア、同僚のコン警官役の『コール・オブ・ヒーローズ 武勇伝』フィリップ・キョンといったキャスティング。

映像演出やアクションは結構良いと思うんですが、展開が雑に感じるところや余計な描写も多いのがわりとノイズ。あと肝心の爆弾解除のスリルがそれほどない、というのも痛いです。この辺りは脚本の粗さかなあという感じですが、それでも長いトンネルを動きながら映すカメラのパニック感とか、迫りくる制限時間による緊迫感などは面白い。あとアンディ・ラウだから色々許せてしまう、というのはありますかね。

↓以下、ネタバレ含む。








警察の爆弾処理班がメインの話ですが、警察の描写が若干雑に見えるのが気になります。爆弾処理班の人が公安的な潜入捜査をするというのが実際あるのかわかりませんが、結局襲撃現場を押さえられず人死にがいっぱい出てるし、トンネル占拠後は犯人と繋がる電話をチョン個人が持ったままで勝手にかけたりもしてて、いいの?ってなります。事件発生からの対応も常に後手だし、経済損失の話などは政府の管轄かと思いますがなぜか現場判断で頑張るし。そもそもあれだけの大事件なのに司令部の人員が少なすぎるのでは。また、テロリスト側も結局何をしたいのかというのが曖昧。身代金狙いから弟の奪還、果ては株価の釣り上げまで出てきて、世界中の注目を集めるような大事件のわりにはリスキーすぎて練られた計画とは言い難いような……。解放した人質と同じバスに仲間を乗せて脱出させるなら、最初から別の場所に待機させておく方がよほど安全だし、脱出用のヘリが警察の待ち構えるなかに降りていって捕まる、というのもマヌケです。

肝心の爆弾処理ではまともに解除するのは不発弾とビル前の爆弾くらいで、耐爆スーツを着るのはビル爆弾解除のときだけ、不発弾のときは「戦車も吹っ飛ぶ威力なら着てもしょうがない」という非常に合理的(手抜き?)な理由でスーツなしです。ラジコン爆弾はこりゃ無理っつって川に投げ捨てにいくという、爆弾と言えば水に捨てるというお約束も披露。もう爆発する!って言ってるのに写真を撮ってて、捜査に役立てるのかと思ったら本当に記念に撮っただけらしい、というのには脱力します。そもそもビル爆弾を目立つように設置した意味もよくわからなくて、あっけなく解除されて「やるな(ニヤリ)」とか言うのはなんでしょうか。後に海外のテロで使われた爆弾だとわかるけど、それが犯人を探る手掛かりというならともかく、犯人たち目の前にいますからね。

という感じで流れで見ると色々と困った展開が多いんですが、でもそれぞれのシーンだけ見るとドラマチックだったりするんですね。若い警官があのタイミングで身分証を落として身バレするというのはもう少し何とかできなかったのかと思いますが(せめて抵抗しようとして捕まった結果警官だとバレるとか)、人間爆弾にされてまさかの爆殺という凄惨さには驚き。ああするしかなかったとは言え「お前は警察官だ」と復唱させるしかないチョンがヘヴィです。その父親が盗られた息子の形見の腕時計を取り戻す、くらいはあってもよかったですが。また、トンネル占拠で忙しいはずなのにわざわざカルメンを捕らえて手榴弾騒ぎを起こすのは、いまいち本筋と関係ないのもあって余分な気はするんですが、チョンとカルメンの関係を再確認するシーンではありますね。グッジョブはんこが良いです。

事件の真っ最中に仲間のコン警官にいきなりカウンセリング受けさせようとするのには「いま!?」と困惑するものの、同僚を殺害されたり潜入捜査も本当は自分がやるはずだったことなど、周囲も決して無傷ではないのだと示しています。あとホンの弟が宗教に目覚めて兄貴を拒否るという意外性、結局は兄貴を罵倒するだけであまりその設定が活きてこないのは残念ですが、弟に責められても変わらないというホンの性質を描いているとは言えます。最後は放置されてストレッチャーのままガンガン流されていつの間にか死んでる、というのが無常です。また観光バスガイドの男は、銃を突き付けられたりスマホ持ってお使いさせられたり大変ですが、乗客の世話をしなきゃと言って残ろうとするのがイイ人。解放されて犯人グループの紛れたバスに乗ってたと思いますが、結局最後はどうなったんだろう?事件前にクローズアップした人々は最後どうなるかももっと見せてほしかったところです。それにしてもチョンがスマホでゲームするシーンは何か意味があったんだろうか……。

最後の突入は唐突で杜撰な感じもしますが(準備描写とか何もないので)、その後のトンネル内阿鼻叫喚銃撃戦、車ガンガンぶつけながら詰めてのチョンとホンとの一騎打ち、というのは燃える展開。そして究極の二択に重なる、死亡フラグの愛してるメール。爆発シーンのド迫力に「半分だけ爆発なら基礎に影響はない」って本当?とは思いますが、それまでチョンが「生かされていた」というのはこの危機を身を挺して救うためだった、という容赦のなさには呆然とするしかありません。ラストの葬儀シーンで、遺体がないから棺のなかには制服だけ、というのも胸に迫ります。

というわけで、個々のシーンがそれぞれでエモーショナルなため(あとはアンディ・ラウ力で)、繋がりの雑さは相殺して見れてしまうという一作でした。ちなみに続編製作が決まっていて、アンディ・ラウ再登場で全く違う話になるようです。2018年3月に落馬事故で脊椎損傷し活動休止していたアンディですが、順調に回復したようで一安心。次作も期待したいところです。

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