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2018
08.23

盗みは優雅にしなやかに。『オーシャンズ8』感想。

Oceans_Eight
Ocean's Eight / 2018年 アメリカ / 監督:ゲイリー・ロス

あらすじ
ダイヤモンドだね!



刑務所から出所したデビー・オーシャンは、獄中で練った犯罪計画を実行するためプロフェッショナルの女性たちを集める。狙うはMETで開催される世界的ファッションイベント「メットガラ」、そこで披露される1億5000万ドルのダイヤのネックレス!『オーシャンズ』シリーズを新たに女性キャストで描いたクライム・エンターテインメント。

ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモンなどの豪華キャストによるスティーヴン・ソダーバーグ監督のケイパー・ムービー『オーシャンズ』シリーズ。その文字通り姉妹版とも言うべき続編が登場。クルーニーが演じたダニー・オーシャンの妹、デビー・オーシャンを主人公とし、オール女性の犯罪者チームがメットガラで超豪華ダイヤを奪う計画に挑みます。メットガラはニューヨーク近代美術館(MET)で開かれるファッションのイベントで、毎年多くのセレブ女性や有名女優などが豪華な衣装で集まる催し。それだけで絵面がもうゴージャスなんですが、さらに獲物が1億5000万ドル相当のカルティエのダイヤネックレスというのもゴージャス。しかしそれほどの大舞台でありながら、これが非常に軽妙洒脱。仲間集めの高揚感が計画と準備でさらに上がり、華麗なる実行までテンポもよくて飽きさせません。

『オーシャンズ11』より人数が減ったぶん各人の見せ場も増え、女性ならではの華やかさも加わり、個性的な面々のアンサンブルも楽しいです。特にデビー・オーシャン役の『ゼロ・グラビティ』サンドラ・ブロックと、ルー役の『マイティ・ソー バトルロイヤル』ケイト・ブランシェットのバディは色んな意味でヤバいです。ターゲットとなる女優ダフネ・クルーガー役の『シンクロナイズドモンスター』アン・ハサウェイの適度な放漫さも素敵。ナインボール役の『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』リアーナ、ローズ役の『アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅』ヘレナ・ボナム・カーター、タミー役の『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』サラ・ポールソン、アミータ役の『ナイト・ビフォア 俺たちのメリーハングオーバー』ミンディ・カリング、コンスタンス役のオークワフィナなど、みんな素敵。もはや男は添え物ですが、それでもクロード・ベッカー役の『ホビット 決戦のゆくえ』リチャード・アーミテージやジョン・フレイジャー役の『イントゥ・ザ・ウッズ』ジェームズ・コーデンなどが頑張ります。

ソダーバーグは製作に回り、監督は『ハンガー・ゲーム』のゲイリー・ロスということで、多少演出のテンポが違う気もしますが、女性を逞しく見せる演出やそれでいていい具合に力の抜けた感じは本作には合ってるんじゃないですかね。意外とシリーズへの目配せもあります。トラブルやピンチは少ないものの、計画の全体が見えないのはスリリング。と言うか女性だけで挑むダイヤ奪取がチーム感もあってとにかくカッコいいので、多少の都合のよさも気にならないです。ある意味リブートなのでシリーズ観てなくても楽しめます。

↓以下、ネタバレ含む。








冒頭のデビーが刑務所内で殊勝なことを述べるというくだりが『オーシャンズ11』のダニーと全く同じなのが愉快。45ドルしかないのに臆することなく高級コスメを手に入れ高級ホテルに泊まるところで、早くも示されるデビーのタフネスもイカします。このとにかく動じないというデビーの揺るがなさからして気持ちいいし、他の面子も負けず劣らずトンがってますね。バーを営むルーはクールでクレバー、ロック姉ちゃんみたいでカッコいい。デビーとルーが前シリーズのダニーとラスティに当たるわけですが、この二人の関係が言葉に出さない信頼と言うか、悪友っぽさと言うか、アダルティな百合と言うか、まあ何とも言えず刺激的です。なんですかあの圧力かけながらもお茶目なシャボン玉シーン、素敵。

ハッカーのナインボールはルーよりさらにクールで唯我独尊な感じですが、妹には頭が上がらないというのにほっこりします。ローズはファッションデザイナーで別に犯罪者ではないんですが、腐っても有名人という立場を使ってダフネに近付きます。タミーは今や子を持つ主婦ながら社会復帰(と言っていいのか?)、自宅ガレージに見る手癖の悪さに大胆さが窺えます。アミータは宝石に詳しく加工もOK。コンスタンスは賭博師としての器用さをフルに活かす働き。これらの人種も多様で守備範囲もバラバラな個性的な面々が、いがみ合うこともなく、それぞれの役割以上に何でもこなし、皆が器用で動じない、というのが凄い。そこにはしなやかさがあり、ファッションやメイクによるドレスアップもあって、性差が云々というのを越えたポジティブな意味での女性らしさが満ちています。それが男に向けたものではなく全て自分たちのため、というのが痛快さに繋がるんですね。

人間の欲が渦巻くカジノの金となれば即物的ではありますが、これが美と主張があるメットガラでうっとりするようなダイヤが獲物、というのが前シリーズとは違うゴージャスさをもたらします。有名人が多数出てくるのも豪勢(カメオはコモンくらいしか気付けませんでしたが……)。デビーがベッカーへの仕返しを匂わせたときには恋愛絡みかと思いますが、色恋よりはあくまで自分を裏切った者への復讐であり、自分たちが疑われない仕掛けにもなっているのがスマートです。デビーがこの計画を実行する理由として「犯罪者を夢見る8歳の女の子のために」やる、と言いますが、これは額面通りの意味ではなく「自分のために自分らしく生きる」ことを若き少女たちにも知ってほしいということであり、次世代のエールにもなっているのが超カッコいいですね。

警備員に見つかりそうになったり、ダイヤを運ばせる男が思ったように動かなかったりという多少のピンチはありますが、それらも機転でサラッと解決。最大のピンチは被害者であるはずのダフネが実は全て勘付いていたという点ですが、「女の友達がほしい」という理由で無事8人めに。ゲロ吐かされて大変だったわりにはあっけないですが、楽しそうだったから思わず混ざりたくなっちゃったんでしょうね。上手く行きすぎと言えばそうだし、なんか女子会みたいなノリも感じられますが、誰も血を流さずにいただくものはいただく、というシリーズ踏襲の爽快感がしっかりあるのがイイ。

実はイエンが絡んでいたというのはさすがに唐突な気はしますが、シリーズ好きへのサービスという側面もありつつ、肉体労働は男に任せようという女性陣のしたたかさにも思えて笑っちゃいました。ルーベンも登場するし、これはダニーも死んだと思わせて最後に出てくるのでは?と思ったんですが……そこはフランク役であるバーニー・マックの死を受けてソダーバーグが「もうオーシャンズは作らない」と言ったことへのけじめなのかもしれません。兄の墓前で「見せたかった」と微笑むデビーには思わずじわりときます。でも新たな犯罪ドリームチーム誕生ということで、こちらの続編はありなんじゃないですかね!オーシャンズ9、10までは番号被らないので行けます!

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