FC2ブログ
2018
08.06

護りし者は虚ろを濯ぐ。『BLEACH』感想。

bleach
2018年 日本 / 監督:佐藤信介

あらすじ
職業/高校生:死神。



霊感が強く幽霊が見える高校生の黒崎一護の前に、ある日死神を名乗る少女、朽木ルキアが現れる。人の魂を喰らう悪霊「虚(ホロウ)」に命を狙われた一護は、ルキアから死神の力の一部を渡されたことで死神代行として戦うことに……。久保帯人の同名コミックを実写映画化したアクションドラマ。

「週刊少年ジャンプ」で連載されていた人気コミックを福士蒼汰主演で実写化。家族を守るため死神として悪霊「虚(ホロウ)」と戦うことになる黒崎一護と、一護に死神の力を渡してしまう朽木ルキアを中心に展開します。原作は6巻までしか読んでないんですが(多分8巻くらいまでを映像化?)、それでも再現度のレベルは高いんじゃないかと思われます。現実を侵食する非現実感の画的な説得力が凄くて、画面の質感も相まってコスプレ感はわりと少なめに感じました。ドラマ部分がウェットすぎたり修行シーンが長すぎたりとテンポの悪いところもありますが、何より気合いの入ったアクションシーンは尺も長く見応えがあって、気になる点を巻き返すのに十分なクオリティ。『GANTZ』『アイアムアヒーロー』『いぬやしき』とSF寄りアクションのコミック実写化が続く佐藤信介監督ならではの安心感があります。

主人公の一護役は『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』福士蒼汰、ルキア役は『湯を沸かすほどの熱い愛』杉咲花。この二人は『無限の住人』でも共演してましたが、役柄もあってそこまでダブり感はないです。一護のクラスメイトで「滅却師(クインシー)」の石田雨竜役の『銀魂』吉沢亮や、茶渡泰虎役の小柳友、井上織姫役の真野恵里菜辺りはあまり高校生っぽくはないですが、そこはイメージ先行で合ってるのでいいでしょう。浦原喜助役の田辺誠一なんてハマりすぎだし、一護の父・一心役の『るろうに剣心 京都大火編』江口洋介、母・真咲役の『散歩する侵略者』長澤まさみ(写真がデカい)も思ったより良い感じ。あと阿散井恋次役の『HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY』早乙女太一、朽木白哉役の『キングコング 髑髏島の巨神』MIYAVIが異世界感あります。

虚はもちろんCGですがこれが思ったより実在感があって、向こうの屋根の上から顔を出す虚の「見える、ヤバい!」みたいな恐怖もなかなか。『東京喰種 トーキョーグール』『亜人』といったオカルティックSFの薄気味悪さも出しつつ、バトル漫画らしいダイナミズムをブチ込んでくるのが熱いです。終盤の畳み掛けるようなアクションはかなりの熱量。主軸を定めての原作からの再構成も上手いし、面白かったです。

↓以下、ネタバレ含む。








原作では、死神となった一護が虚との対戦を通して死神としての戦い方を知っていき、そこに他のキャラのエピソードも絡めていく、という流れだと思うんですが、これを本作では主に「母の死」を主軸として再構成しています。冒頭の母の死、その真相、グランドフィッシャーとの再会とそれを倒すクライマックス。母に守られたという事実が、今度は自分が守るという決意に変わり、これが最後まで相手に食らいつこうとするラストに結びつく、ということで一つの作品としての一貫性があって良いです。ただ虚との戦いがその分少なめで、代わりに修行シーンが長く感じるのは難点。時間の経過もよくわからないので、そんな呑気してていいのか?という気分に。また、帰れないルキアに「こっちにいればいい」とか、母親に関する家族間のシーンとか、ドラマ部分がちょっとベタに泣かせに走るところでも少々長く感じます。まあ必要な描写と言われればそうかもなあという微妙なところではあるんですが。

そんな微妙なシーンはありながらも、役者陣の演技は原作イメージを踏襲しつつ存在感出してて良いですね。何と言っても杉咲花ですよ。にらみ上げたまま瞬きしない表情の凛々しさ、一護からの「ここにいていい」という申し出に押入れで指をいじいじする姿、ハイタッチに「いいな」とかタイヤに引かれて本を落としたときの「あっ」というちょっとした言い方など、芝居も台詞の抑揚も細かくてスゴいです。最後に倒れた一護へかける言葉の一瞬涙混じりになる話し方とか、そこだけでこちらの涙腺も刺激されます。福士蒼汰はデカい斬魄刀を振り回しつつ、ワイヤー使った急カーブダッシュなど身体性を発揮しまくり。吉沢亮は時間の関係かクインシーとしての背景はあまり語られず物足りなさが残るものの、一護との共闘で魅せてくれるし、早乙女太一のひたすらトンがった雰囲気は、顔作りすぎ感込みでいいんじゃないですかね。MIYAVIはいくらやられても立ち上がる一護を見る表情が驚きか怒りか恐れかわからないのは困りますが、色々超越したラスボス感があります。

映像面では死神化するときの魂が押し出される感じとか、雨竜の弓矢の表現とかよくできてます。特に現実世界に現れる虚が思ったより浮いてない、というのが結構大きくて、背景が普通の街の風景なのに違和感がないのが逆に異質さを感じさせてイイ。ラストの一大アクションシーケンスではこの普通の街の風景が次々に破壊されていくことでスペクタクルに繋がり、グランドフィッシャーとの激闘にスケール感をもたらします。バスの間でぐいんぐいん波打つ恋次の蛇尾丸(ざびまる)などもインパクトありますね。ただ展開上しょうがないものの、同じ場所で一護が間髪入れず三連戦というのはちょっとしつこい気も。その流れで白哉に何度も斬られては立ち上がるのもちょーっとくどいかな?とは言え皆いちいちキメがカッコよくて絵になるんですよ。元々原作もキメ絵が多い印象ですが、それをふんだんに盛り込んでるのがMCUなどのアメコミ映画に近いアプローチを感じます。

最後が一護の敗北で終わる上に、記憶も消されて何も残らないという締め方は原作準拠なのかな?にしてもカタルシスには欠けるのでもう少し捻ってもよかったかなあと思いますけどね。ルキアの教科書への落書きと「たぶん」という台詞だけで繋いでおくというのはあっさりしすぎに感じます。ただ、最後にタイトルに「死神代行編」とサブタイを付ける『IT イット “それ”が見えたら、終わり。』方式で続編を匂わせるというのはスマートで良いですね。まあ最初から続編あるって言っちゃうと『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』のように残念な結果もありうるからかもしれませんが……(ジョジョ続編は諦めてないからな!)。興業収入は苦戦してるようですが、続編があれば今作であまり描けなかった織姫やチャドといったキャラも活躍するのだろうし、何とか頑張って作ってほしいところです。

スポンサーサイト



トラックバックURL
http://cinemaisland.blog77.fc2.com/tb.php/1417-005bfed7
トラックバック
back-to-top