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2018
07.19

増築するのはワケがある。『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』感想。

Winchester
Winchester / 2018年 オーストラリア、アメリカ / 監督:マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ

あらすじ
今でも見学できます。



ウィンチェスター銃で有名な一族のサラ・ウィンチェスターの精神鑑定を依頼された精神科医エリック。娘と夫を相次いで病で亡くしたサラは、莫大な財産を注ぎ込んで屋敷の増改築を繰り返していた。彼女の屋敷を訪れたエリックはそこで恐ろしい体験をすることに……。マイケル&ピーター・スピエリッグ監督による、実在の屋敷を舞台にしたホラー。

『デイブレイカー』『プリデスティネーション』『ジグソウ ソウ・レガシー』など、撮る映画全てが面白いスピエリッグ兄弟監督による、実話を元にしたホラー作品です。24時間体制で増築改築し続けるという異様な屋敷、それは家主のサラ・ウィンチェスターが亡霊から逃れるために行われていると言います。そんなサラの正気を疑った会社の上層部が、アルコール依存気味の精神科医エリックに彼女の精神鑑定を依頼するところから物語は始まります。この屋敷は「ウィンチェスター・ミステリーハウス」としてカリフォルニア州に現存しており、部屋数が膨大なだけでなく、廊下は迷路のように入り組み、開けたら壁になっているドアや行き止まりの階段などの意味不明な構造も多いという、屋敷自体がミステリーなんですね。さらには真夜中に鳴る鐘、何かの気配、横切る影といった不可解な現象も。要はお化け屋敷ものなわけですが、そこに意外なドラマが組み合わされていきます。

年を経ても毅然とした屋敷の主、サラ・ウィンチェスター役には『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』『ワイルド・スピード ICE BREAK』のヘレン・ミレン。周囲から見れば奇特なことをやっているのに、事態を把握し整然とした言葉を述べるというその貫録、やはりヘレン・ミレンが出てると締まります。精神科医エリック役は『ターミネーター:新起動 ジェニシス』『エベレスト 3D』のジェイソン・クラーク。このエリックを通して語られることになるので、実質主人公ですね。またサラの姪マリオン役に『プリデスティネーション』のサラ・スヌークが登場するのは嬉しいところ。

荒木飛呂彦の短編集『変人偏屈列伝』の一編「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」でも同じ題材を扱っており、それがホラーとしてもミステリーとしても面白かったのでウィンチェスター・ハウスのことは印象に残ってたんですが、本作の方は基本的にびっくりおどろかし系ホラー。最初こそ屋敷の怪しさにワクワクして観てたものの、いまひとつ新鮮味には欠けていて、本当にスピエリッグ兄弟の監督作なのか?と疑うほど普通な感じです。オーソドックスな手堅い作りである、とも言えますが……要所要所で良いところはあるんですけどね。

↓以下、ネタバレ含む。








題材的には幽霊屋敷系であり、『死霊館 エンフィールド事件』とか『呪怨』とかホラーの中でも一つのジャンルとしてあるわけですが、ずっと同じような室内が続く場合どう緩急を付けるかというのは重要でしょう。その点では暗いばかりでコントラストに欠ける画面が続くのは難点。非常に眠気を誘われます。また音による驚かしが多いため、怖いというよりはビクッとする場面が多いです。定番の演出とはいえ、あまり続くとちょっとうんざり。その代わり意表の突き方がフレッシュなシーン、鏡に映る椅子に何か出るのかと思ったら鏡自体の裏にいるとか、階段の背の低い衝立の上から覗いてくるなどは面白いです。いきなりヘンリー少年が飛び降りるとかいうのもね、唐突すぎて怖いですね。普通に喋ってた使用人のベンジャミンが実は、というのもなかなかサプライズです。

「増築し続ける家」という設定をもっと活かした見せ場があるかと思ってたんですが、そこはそうでもなくて残念。天井で行き止まりになっている階段の先に秘密があるわけですが、それだけだと普通の家の開かずの扉と同じだし。ただ、増築する理由が霊から逃れるためではなく霊を鎮めるためだった、というのがポイントではあるでしょう。サラ・ウィンチェスターは気がふれたわけではなく、自社のウィンチェスター銃で亡くなった人の魂を救うために部屋を設計し作っていたわけです。マリオンが叔母に信頼を寄せていたのも納得。

そこに妻を失ったエリックの話が絡んできて、彼もまた浄化が必要なことがわかります。霊たちの協力を得たのち勃発するベンジャミンとのゴーストバトルは見どころですね。その銃弾なら効くという理由がちょっと弱い気もしますが、それを言ったらなぜエリックが物語の中心になるのかも弱いので、まあいいかなあと。崩れる屋敷というのは実際には地震で崩れたという事実があるので、これを上手く取り込んでいると言えます。そんな目にあっても死ぬまで増築し続けたというサラは、結局その生涯を贖罪で終えたということになるのでしょうか。ただの変人ではなくそういう解釈を与えることで実在の人物を捉えなおす、という点は良かったと思います。

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