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2018
07.18

最高な点をひたすら上げていこう。『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』感想(その2)。

Solo_Star_Wars_Story_2
Solo: A Star Wars Story / 2018年 アメリカ / 監督:ロン・ハワード

あらすじ
That's Yes.



前回の感想はこちら。
アウトローは信じて笑う。『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』感想。

若きハン・ソロを描く『スター・ウォーズ』スピンオフ第2弾。しかし日本公開前から本国で不評のニュースが乱れ飛んだせいか、公開後もいまひとつな評判が多いようです。『スター・ウォーズ』らしさは思ったほど多くないのでそこは好みがわかれるかもしれないし、『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』公開から半年しか経ってないというのがプレミア感損ねてるというのもあったりしますけどね。あと監督がロード&ミラーだったら、という声も異様に多くて、そりゃ僕も観てみたかったと思わなくはないですが、ハン・ソロのバックボーンを想像したときにロード&ミラーのコミカルな作風は合うのか?というのはあるので難しいところでしょう。まあ交代するくらいなら最初から認識合わせておけよ、ってことなんですけどね。新しいものを目指すのか既存のものを拡張するのか、そこら辺のスタジオ側の判断が曖昧だった、というのはあるでしょう。

でも実際観てみれば、新味と拡張の双方に対応できてると思います。オールド・ファンも意識したシリーズとのリンクは意外なほど組み込まれてるし、それでいて若者の青春を描く単独のSFアドベンチャーとしても十分以上に面白いと思うんですよ。僕は好きです。短期間でここまでまとめたロン・ハワードの頑張りをむしろ称えたい。よく引き受けた。関わったスタッフやキャスト陣もさぞかし大変だったことでしょう。特に主役を張ったオールデン・エアエンライクや、『ターミネーター:新起動 ジェニシス』に続きゴタゴタの現場に巡り合わせてしまったエミリア・クラークは、腐らずに先に進んでほしいです。たとえ今は低評価でも、そのうち振り返ったら面白かったと言われるような一作にはなってると思うので。少なくとも2回目を観たらさらに面白かった、というのは言っておきたいです。

というわけで、前回は語らなかったけどこういうところも良かった、ここが最高だった、ここは気になるけど、みたいな点をつらつらと挙げていこうと思いますよ。結局『スター・ウォーズ』シリーズでは毎回やってますね……。

↓以下、ネタバレ含む。








・オールデン・エアエンライクは表情や動きなど細かいところでハリソン・フォードのハンにかなり寄せてあって、顔が似てなくても十分ハン・ソロに見えるのが良いです。特にニヤリと笑うところ、あとブラスターの撃ち方がスゴく似てるんですよねえ。『ヘイル,シーザー!』ではスッとぼけた若手俳優役でしたが、その辺りのピュアさも残しつつ、思ず調子こいちゃうヤンチャっぽさとかイイ。エンフィスとの対峙で30人の傭兵部隊がいる、とハッタリかけた直後にファルコンが飛んで行っちゃって「ごめん、あとよろしく」には笑います。一方でここぞというときの眼力も良くて、それを強調するかのように序盤のスピーダーと重力井戸からライトスピードで抜けるときに目のアップが入るのが印象深いです。

・ハンの名字「ソロ」が、独り者ということで帝国の受付官に付けられた名前、というのは結構衝撃。コレリアンタイプの宇宙船を作っていたという父親の話も出てきますが、元々の名字を覚えてないほど幼かったのか、口にするのがまずい名前なのか、とにかくソロという名字にはそのまま「単独」という意味があったわけです。スタート地点では孤独であった、という意味合いも込めてるんですかね。そうなると『スター・ウォーズ フォースの覚醒』のカイロ・レンことベン・ソロは、初めてのソロ家の嫡男ってことになります。しかも結果的にソロの状態にもなる……とか考えるとせつない。

・今作一番の萌えポイントはやはりチューイでしょう。ハンとはもう最初っから組んずほぐれつでイチャイチャしてるし、一戦交えた後は一緒にシャワー浴びちゃうし、ハンの行くところはどこでも付いていくしで、ほぼ彼女(語弊あり)。ゴーグルした姿がカワイイし、ホログラムのチェスに怒る姿もカワイイ。ドライデンの船でハンに飲み物持っていこうとしたらキーラに夢中で一人で二杯飲み干しちゃうのもカワイイ。チューイは本作で最も見た目の変わらない人物ですが、それでも弾帯を肩からかける姿に「おおっ!」となるし、ファルコンの助手席に座ったときには「おおおおっ!」となるしで、よく知るチューイになっていく過程には嬉しくなります。御年190歳と聞いてハンは驚きますが、思えば『EP3』ではヨーダと行動を共にした歴戦の勇者ですからね。そんなチューイが目的であるウーキー族の仲間と再会しながら、それでもハンのところに戻るというのがまたたまらんです。いつだってハンの隣にいるのはチューイなのです。

・正史との繋がりは多々ありますが、大フィーチャーされてるのが「ケッセル・ランを12パーセク」です。ファルコンのスピードとハンの腕前を表す逸話として『EP4』や『フォースの覚醒』でも出てくるこのエピソード、実際はモー星団を突っ切ってのショートカットってことらしいですが、とは言えそれを箔付けとしてしまうハンのしたたかさ、ってことですね。あとはケッセルでベケットの被るメットが『EP6』でランドが被ってるのと同じヤツだったり、ベケットが向かうと言っていた「タトゥイーンのマフィア」がジャバ・ザ・ハットのことであるというのが面白かったです。最後にハンがジャバのところへ行こうとするので「炭素冷凍……」って思いますね。そう言えば本作ではフォースが出て来ないですね。ラストのあの人がライトセーバーを引き寄せるところくらい。これは『EP3』でジェダイが壊滅し、フォースの使い手が激減した時代だからというのもあるのでしょう。

・序盤から出てくるサイコロのアクセサリー、これ過去作にも出てるし『最後のジェダイ』でもフィーチャーされてましたが、正直馴染みがないんだよなー。今回もその出自はよくわかりませんが、ともかくこのダイスが幸運のお守りであるというのが描かれます。脱出前にハンから渡されたダイスを、再会後のキーラがケッセルでハンに渡します。運命に翻弄されながらもキーラがこれを持ち続けていたのはハンとの思い出を捨てきれなかったということなのでしょう。

・ハン・ソロの有名なセリフをそのまま使うのではなく反転して使うというのは面白いです。レイアとハンの有名なセリフ「I Love You」「I Know」をランドとの会話で「I Hate You」「I Know」にしたり、「悪い予感がするぜ」を「ツイてる気がするぜ」にしたり。あと『フォースの覚醒』で「今まで騙したことあるか?」に呆れていたチューイが、本作ではハンの同じセリフを信じてタトゥイーンに向かいます。また『EP4』だったか「ウーキーは腕を引っこ抜くぞ」というセリフがありましたが、今作で本当に引っこ抜いていたことが判明。脅しじゃなかったことがわかってウーキーすげえな。

・ランド・カルリジアンは『EP5』や『EP6』でのランドよりかなり軽い印象ですが、これが実にイイ。豪快に見せながらも実は細かいところまで気を配る、というランド像に、若さとこずるさを足すとまさにドナルド・グローバーの演じるランドになるといった感じ。見た目は正直ハン以上に似てませんが、過去作以上にキャラが立っていて、これはこれで全然ありです。ランドとL3がファルコン発進時に二人で指をピッとやるのイイ。あと自撮りしながら自分語りを始める「カルリジアン・クロニクル」がバカで最高です。ハンとの最初の賭けでイカサマを仕掛けている辺り、いっぱしの紳士ぶっていてもランドもまた密輸業者のアウトローであり、いがみ合ってもハンとは同類なんですよねー。

・今作のドロイドと言えばL3-37。ドロイドの権利を訴える女性闘士という、『ローグ・ワン』のK-2SOに続く濃いキャラです。濃すぎです。「何か必要か?」と聞かれて即座に「権利の平等」と言ってくる「そういう意味じゃない」という極端さは、思想の立派さとは裏腹に少々滑稽に捉われがち。でもケッセルでドロイドたちを解放して外に出てくるL3は、念願の自由を手に入れた喜びに満ちていて、まるでドラクロワの「民衆を導く自由の女神」のよう。その姿は帝国の支配に対抗する反乱軍と重なるとも言えるでしょう。

・またL3は明確に自分の性別を女だと認識しており、男には媚びない強さみたいなのも持っていて、一方でランドとの関係は「あとでアレやって」とか「デキるわよ」とか非常に隠微な感じもあったりして、なんかもう色々スゴいです。面白かったので退場は残念。「ランドにホレられて困ってる」みたいに言いますが、ランドがL3の死を嘆き「ごめんな」となでる姿や、L3のコアをナビシステムと連結したときの「船とひとつになった」と感慨深げな表情には、確かに種を超えた愛情を感じます。二人でファルコンを飛ばす姿には、ちょっとコブラとアーマロイド・レディを思い出しました。と言うか『コブラ』はスター・ウォーズに影響受けてるというのを思うと余計良いです。

・そのL3が解放したドロイドたち、「仲間を自由にしたら」と言われて制御ボルトを外したときの「やったね」「自由だね」みたいなはしゃぎっぷりが可愛い。ところで本作ではR2-D2とC-3POが出てきませんね。『スター・ウォーズ』の象徴である二体が登場しないというのは結構冒険だと思うんですが、ある意味で縛りからの脱却を成しえた、とも言えるでしょう。まあ出せるところがなかった、というのもあるか。

・キーラは重要な役目となるわりには登場の仕方がちょっと雑だとか、どういう人物なのかがいまひとつ掴めないとかあるんですが、ドライデンの手前もあって本心を出せず常に仮面を付けている、みたいな位置付けではあるのでしょう。それが思わせぶりな態度になったり、終盤でドライデンを刺すときのミスリードになったりしますが、エミリア・クラークの持つ良性の雰囲気もあって悪に染まっている感はないですね。ただハンはキーラが犯罪シンジケートにいようが冷徹な副官であろうが構わず昔のように懐に入ってくるので、キーラの素が漏れ出しているというのもあります。それだけにラストでハンに告げる「すぐに追いつく」と言うのは、キーラがハンに見せる最後の仮面であるわけで、それが余計せつない。ちなみにキーラが最も自分をさらけ出しているのはケッセルで「うるぁ!」言いながら手榴弾投げるところじゃないですかね。なんだあの迫力。

・ドライデン・ヴォスは最初違う役者だったのが、監督が変わってポール・ベタニーが起用されたようです。いきなり知事を刺し殺してるという登場シーンとか、独自の格闘技を使うという特性はあるものの、犯罪シンジケートのボスのわりには意外と話が通じるし、いまひとつ悪の威圧感みたいなのには欠けていて、新キャラのなかでは正直地味です。ラスボスらしくもっと強さを誇示するシーンが事前にあってもよかったかなあ。ところでドライデンと会見する部屋のテーブルに『レイダース 失われたアーク』の冒頭で出てくる黄金像がある、と聞いてたんですが、確かに後ろの方に映るテーブル上にありました!砂袋と置き換えてゲットしたい!

・ベケットの仲間のヴァルは、最初はハンに厳しく当たっていたのに、ハンが「彼女を迎えに戻る」と言うのを聞いて少し微笑むのがイイですね。またもう一人の仲間リオは4本ある手の動きが面白いんですが、声を当ててるのが『アイアンマン』シリーズでおなじみジョン・ファヴローというのが驚き。二人とも早々に退場するもののけっこう印象深く、ベケットとは長年組んでやっていたのだろうというのを感じさせます。でもベケットの方では二人の死を引きずってるようには見えないし、サヴァリーンでヴァルとリオの仇であるエンフィス・ネストが現れてもその辺りの確執は特にありません。本当に誰も信じてなかったということなのか、もし仲間を懐かしむようなシーンでもあればかなり違ってくるんでしょうが、でもそれだと最後にハンのこともあっさり裏切るというのがブレるんでしょうね。

・ラストでハンがベケットの裏切りを読んでいたのだとしたら、そもそもどう切り抜けるつもりだったのか?本物のコアクシウムなのにもしドライデンがそれを雑に扱って爆発したら?ベケットが一人勝ちしようとせず結局ドライデンに協力したら?など、よく考えるとかなり綱渡りな作戦。「人の動きは読みやすい」と言っても限度が……ただベケットはチャンスを逃さないというのから推測したのだろうし、ドライデンの行動はキーラが読めるだろうから全くの運任せというわけでもないんでしょうが。あとは若気の至りの強さですかね。

・ラストに登場するとんでもないサプライズ・ゲスト。本作が『EP3』と『EP4』の間の話なのに、なぜ『EP1』で真っ二つになって落ちていった彼が登場するのか?と思いましたが、どうやらアニメ版の『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』に出ていて、実は生きていたというのは公式のようです。確かに僅かに映る足とかの下半身がメカっぽいんですよね。知らなかったので混乱しましたが、まあ驚けたので良いです。エンドロール見たら演者が『EP1』同様レイ・パークだったのも嬉しいところ。

・さて人気キャラであるハン・ソロのプリクエル、個人的には大満足だったんですが、興行収入が振るわなかったというのもあって結果的にボバ・フェットやオビ=ワンのスピンオフまでも見直しになってしまいました。非常に口惜しいんですが、ただ本作も『フォースの覚醒』のハンを思うと先が広がるわけではないんですよね。だから軒並み退場してる旧キャラを人気があるからといってスピンオフにするのはやはり無理があって、これが限度かなあとも思うんです。でもこの『ハン・ソロ』自体の続編であればありじゃないですかね。別に明確な成長譚でなくとも冒険そのものがハンを形作っていくという、胸のすくスペース・アドベンチャーというのは全然ありだと思うんですよ。若きランドが再び登場するのもいいし、いっそ今度こそコメディに振ってしまうでもいい。それでこそハン・ソロはノスタルジーではなく進行形のアウトロー・ヒーローとして生き続けるはず。可能性は限りなく低いとは思いますが……でもぜひオールデンのハンとチューイのコンビがまた観たいものです。

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