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2018
07.05

戦乱の世に蝙蝠は飛ぶ!『ニンジャバットマン』感想。

ninja_batman
2018年 日本 / 監督:水崎淳平

あらすじ
ニンニン!(言いません)



ゴッサムシティを守り戦うヒーロー、バットマン。しかしゴリラ・グロッドとの戦いで他のヴィランたちと共に日本の戦国時代にタイムスリップしてしまう。そこではジョーカーをはじめとした悪党たちが歴史を改変して暴れていた。最新テクノロジーが使えないバットマンはそれでも戦おうとするが……。DCコミックスの人気ヒーロー「バットマン」が日本を舞台に活躍するオリジナル長編アニメ。

あのバットマンが日本のクリエイターによりアニメーション化、しかも舞台は戦国時代の日本というまさかのブッ飛び作品。製作はアニメ版『ジョジョの奇妙な冒険』のオープニングムービーや『ポプテピピック』などの神風動画、さらには脚本が『天元突破グレンラガン』『キルラキル』の中島かずきという布陣。とくれば勢い重視の熱い物語を期待しますが、いくらなんでも世界のバットマンをそこまで自由にいじれるものか?という危惧もありますね。しかしこれがタイムスリップものというだけでなく群雄割拠の戦国日本というこれ以上ない舞台を用意し、有名な武将に成り代わって暴れる馴染みのヴィランたちとそれに立ち向かうバットマンという、超自由な設定!まあ『レゴバットマン ザ・ムービー』とか『DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団』という前例もあるし、DCにとっては全然オッケーだったようです。それにしてもやりたいこと全部ブッ込んだ感じのどうかしてるシナリオと、とにかくキメまくる絵面のカッコ良さにひたすら翻弄され、引っ張り回され、熱くなるという、予想を超える出来になっています。

そしてバットマンとニンジャの親和性があまりに高くて驚き。まあバットマンはガジェットと体技を駆使する闇の騎士なので考えてみればスゴいニンジャっぽいんですけど、にしても戦国日本で戦うヒーローとヴィランになぜこんなに違和感がないのか!冷静に観れば色々おかしいと言うかおかしいところしかないんだけど、そこがアメコミらしくもありつつ日本アニメらしくもあり、いやもうワケわかんないです。なんだあの城バトル!なんだあのゴリラ!なんだあのベイン!声優陣も豪華で、バットマンに山寺宏一、ジョーカーに高木渉、キャットウーマンに加隈亜衣、ハーレイ・クインに釘宮理恵、ゴリラ・グロッドに子安武人などなど、有名どころが多数参戦。

『KUBO クボ 二本の弦の秘密』『犬ヶ島』など海外の日本リスペクト作品が続いたなかで、逆に日本が海外に発信するカッコよさげなニッポン、というのが詰まってます。こんなの実写じゃできないですよ。バットマンの設定もキャラも知ってる前提の作りではありますが、そのぶんあっという間に話が展開していくのでテンポもイイ。ティム・バートン版から『ジャスティス・リーグ』まで映画版を一通り観てればそれほど問題ないし、まあ知らなくても勢いで何とかなります。とにかくヴィジュアルが愉快なので、クレイジーでやりたい放題の世界観に身を委ねましょう。今年の青森ねぶた祭ではぜひヴィラン大名ねぶたを出すべき!

↓以下、ネタバレ含む。








ヴィランは各地の武将に成り代わっていてヴィラン大名なんて呼ばれます。ジョーカーは第六天魔王こと織田信長となってますが、これが妙にマッチしてるのが不思議。天守閣にはジョーカーの笑い顔と信長の句を掛け合わせた「人生五笑年」という掛け軸までありました。ハーレイ・クインは森蘭丸に。武器のハンマーが雷太鼓になってます。ペンギンは武田信玄となって「風林火鳥」とか言ってるし、ポイズン・アイビーは上杉謙信なのにおっぱいがヤバいし、デスストロークは伊達政宗、トゥーフェイスは近江だから浅井長政かな?ついでにベインが力士に(そこは大名じゃないんかい)!すっかり歴史が変わっちゃってますが大丈夫でしょうか日本。でもねぶたで紹介するシーンは最高。そして城は動くのが当たり前と言わんばかりにわりと序盤から動きまくり、手が出るだけでは済まず移動まで、最終的には合体までします。まさか戦隊ヒーローものまで取り込んでいるとは……『グレンラガン』でも観たこのやりすぎ感が中島かずき的で最高。ネーミングも「亜火無城」と書いて「アーカムじょう」だったかな?色々とスゴい。

キャラデザインも細かいところで日本的なアレンジが入ってます。キャットウーマンは猫のお面がモチーフで、ドラえもんみたいな鈴が可愛い。味方だったり敵に回ったりと立ち位置的には不二子みたいなのも猫っぽいですね。あとおっぱいがヤバイです。レッドロビンやナイトウィングは忍者だし、ロビンは大五郎カットだし。ちょっと暴走気味でヤバい感じのレッドフードが虚無僧というのも愉快。アルフレッドだけはいつもの執事姿、かと思いきやさりげなくちょんまげヘアーでした。バットマンは最初の現代的衣装も良いんですが(マスク横の水色がちょっと汗に見えるのは気になるけど)、馬を駆るショーグンバットマンの貫禄ある姿から、宙を舞い飛ぶニンジャバットマンへの二段構えなのがイカします。まあゴリラ・グロッドはゴリラのまんまですけどね。なんか『戦国BASARA』の秀吉みたいになってますけど。でも日本猿でなくゴリラが温泉に入る画というのは意外と画期的なんじゃないでしょうか。

他にもマスクが般若っぽいとか襖がスパンスパン開いたりとか茶とか刀とか猿とか日本描写をこれでもかとブチ込んでますが、ここはもう日本文化を取り込むと言うよりは、インパクト重視の日本的アイコン要素という使い方なんでしょうね。少々海外向けサービス感が強いようにも見えますが、忍者が主君に仕えるとか文化的な説明もあったりして、そこは日本人製作ならでは。映像的にも忍者の解説シーンでは浮世絵みたいになったりして工夫に富んでいます。それでいてジョーカー配下は種子島を飛び越えてガトリングを撃ってきたり、ifの世界を思い切りバットマンでやってみたという勢いが凄まじい。ジョーカーが途中で記憶をなくしてファーマーとなるシーンでは絵のタッチまでガラリと変えるなど、こだわりにもほどがあります。正直あの隠れ蓑エピソードいるかな?というのはありますが、ジョーカーとハーレイ・クインのあり得たかもしれない慎ましやかな二人の生活、と考えればありかも。それでいてバッツ大好きなジョーカーという側面も必要以上に描かれていたり、85分の上映時間に相当色んな要素を詰め込んでいます。

バットマンは基本的に金を湯水のように注ぎ込んで最新テクノロジーを駆使した武器や装備を使うわけですが、エネルギーが切れたり破壊されたりしたらこの時代ではもう使えません。序盤でバットモービル、バットウィング、バットポッド、挙げ句にアーマードスーツまで、次々にビークルが出てきてはクラッシュする、というのがスゴく実写版ぽくて笑うんですが、現代的な武器が何もなくなったバッツは途方に暮れるんですね。しかし蝙蝠衆の親方様として人々の期待を背負ったとき、再びヒーローとして立ち上がります。それはバッツの本質がガジェットでもビークルでもなく、ブルース・ウェインの持つ精神性そのものである、ということを示しているのです。奇抜で突飛で大馬鹿てはあるもののその軸はブレてないという点で、やはりこれはヒーロー・バットマンの物語であると言えるでしょう。……言っていいんだよね?ちょっと自信なくなってきた……。

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