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2018
07.04

最後まで諦めず走れ!『メイズ・ランナー:最期の迷宮』感想。

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Maze Runner: The Death Cure / 2018年 アメリカ / 監督:ウェス・ボール

あらすじ
ゾンビじゃなくてクランクです(そう言えば)。



巨大迷宮から脱出し、謎の組織「WCKD」から逃げ出したトーマスたちは、捕らわれた仲間のミンホを救うため輸送列車を襲撃、多くの監禁されていた若者たちを救い出す。しかし新天地へ逃げる前に、WCKDの本拠地であるシティへと侵入することを決意、最後の巨大迷宮へと挑むことに……。ジェームズ・ダシュナー原作の同名小説を映画化したサバイバル・アクション・シリーズの最終章。

特殊な遺伝子を持つ若者たちが囚われていた迷宮から脱出し、彼らを実験材料にしていた組織WCKDから逃げ出すという、YA小説の実写化シリーズ『メイズ・ランナー』『メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮』に続く第3作にしてシリーズ完結編(なぜか邦題に「3」が付かないのが気持ち悪いですが……)、気付いたら前作から2年半も待たせて、ようやくの登場。トーマスやニュートといったおなじみの面々が、前作で捕らわれたミンホを救うため行動していきます。1作目で迷路からの脱出というスリルとサスペンス、2作目で物語世界の拡がりを見せてきたわけですが、本作では今までの設定や人物関係も全て織り込み、迷いながらも走り続けるというこれまでの特徴も貫き、しかもこれ以上ないほど盛り上げて終わるという、シリーズ最終章として素晴らしい出来になっています。アクションも派手な仕掛けもキメ絵も十分以上。ここまでしっかりした作りになってるとは思わなかったので驚きました、いや面白いです。

『バーニング・オーシャン』ディラン・オブライエンの演じる相変わらず人の忠告聞かん者トーマスですが、1作目から3年も経ったこともあって、物語の中核として引っ張っていく姿が精悍。『スター・ウォーズ フォースの覚醒』にも出演したトーマス・ブロディ=サングスターが演じるニュートとの友情物語も熱い。前作で袂をわかった『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』カヤ・スコデラーリオ演じるテレサとの関係や、キー・ホン・リーの演じるミンホとの絡み、ローサ・サラザールの演じるブレンダとのやり取りも良いです。また『キング・アーサー』エイダン・ギレンの演じるジャンソンが静かに狂っていくところや、もしやと思ったらやはり『トゥームレイダー ファースト・ミッション』のウォルトン・ゴギンズだった鼻のない人ローレンスのクレイジーなのもイイ。あとあの人の再登場も嬉しいところ。

粗さはあるものの、監督が前2作同様ウェス・ボールということで統一感があるし、ビジュアルもいちいちイイんですよ。ゾンビ的な方向に振った前作の違和感やテレサの予想外の行動などはこういう回収をするのかと納得したし、何より仲間と共に走ってきたからこそのラストには爆泣き。あとエンドロールが超速い(というか流れない)というところまでもスピーディーです。

↓以下、ネタバレ含む。








アバンタイトルがすんごいカッコいいんですよ。荒野を駆ける車というのが『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のようだし、車で坂をおりてきてカメラが振ると実は電車と並走してる、という映像もシビれます。車両を切り離した後も敵がやってくるのがスリルだし、引き付けた敵に対しての対策が落とし穴かい!とは思いますが、コンテナをヘリで吊り上げて飛び去るという流れまで最高です。まあコンテナ開けたら肝心のミンホがいないというのにはズッこけるんですが……。

というように随所にグッとくる絵面があるんですよねえ。壁で仕切られたシティの外側の雑多さと内側の清潔さや、シティで夜の都会のビルを見上げるところ、終盤の炎に包まれるスリリングな屋上シーンなどは良いショットだし、バス吊り上げシーンなどはぶつけたり垂直に落ちたりというところまで丁寧にちゃんとやってるなあと思えます。またそれらの映像がシリーズ通して描かれてきた世界観をしっかり踏襲したものであるのもイカしていて、トーマスらがトンネルのなかを車でゆっくり通っていくときの不気味さなどは2作目に、ミンホがヴァーチャルで迷路のような通路を走るのを横から映すシーンなどは1作目を彷彿とさせます。

前作などはタイトルの「メイズ」があまり関係なくなってた気もしますが、今作では忍び込んだビルの入り組んだ通路での逃亡劇が迷路っぽかったりもするし、シリーズ通して見るとトーマスたちの境遇そのものが迷宮のようで、そこから抜け出すための物語であったとも言えます。相変わらず作戦は行き当たりばったりと言うか、一応考えてやるんだけど雑だったりするんですが、そこはタイトルの「ランナー」が示す通り駆け抜けていると捉えてもいいですね。ピンチに陥っては都合よく救いが現れる、の連続ではありますが、テンポよくガンガン進んでいくので楽しめます。それにトーマスに「あなたは皆を見捨てない、見捨てていいのに」と言うブレンダが、後でトーマスを助けに戻ってきて同じ台詞をトーマスが返す、というように皆が「見捨てない」というのを貫いているのも好ましい。

それは他の仲間と離れてまでミンホを救いにいくトーマスの、最も強いところでもあります。また1作目以来の再登場となる『デトロイト』のウィル・ポールターが演じるギャリー、彼は一度はトーマスたちを裏切って最後は死んだと思われていましたが、命を助けられトーマスたちと再会した後は最後まで見捨てません。そしてニュートもトーマスの無茶に最後まで付き合おうとします。ニュートは感染しちゃって終盤使い物にならないのがツラいんですが、トーマスはやはり見捨てません。それだけにその後の展開は「ウソだろ……」というくらい悲しい。トーマスの遺伝子が有益であることが明かされたり、ニュートの銃での自殺を止めるという場面もあるので、きっと助かるんだろうと思ったらあれですよ。ツラい。

一方でジャンソンはずっと付き従ってきた博士をあっけなく撃ち殺します。彼の「諦めるのか」に対する博士の返答が「敗北を知る」という諦念だったことがジャンソンには裏切りと思えたのか、ともかく彼は博士を「見捨てて」己の感染を治すことを優先するわけです。ジャンソンを演じるエイダン・ギレンは、エレベータでトーマスたちが降りたあとにそれに気付いたときの表情が最高ですね。また、テレサがトーマスたちと別れたのは本心からウィルス治療を望んでいたからというのも明かされますが、トーマスの血からようやく血清を完成させるものの、最後の最後で退場してしまいます。これもまた理想のためとはいえ仲間を「見捨てた」がために受けた報いなのでしょう。血清をトーマスに渡して落ちていくテレサの最後の表情は、それを自ら悟ったかのようでもあります。

ニュートが必死でトーマスに渡したペンダントに入っていた手紙。トーマスがちょっと読んで思わず顔を伏せるところで、ああニュートが書いたんだと気付かせる演出には一気にやられます。大人びた冷静さとクレバーな判断でトーマスを救ってきたニュート、その最期の言葉がまさかの「友達でいてくれてありがとう」。その場にニュートがいないという喪失感があまりに大きく、爆涙です。ラストにテレサの残した血清を見て、沖に停めた船を見やるトーマス。友を救えなかった男は、代わりに世界を救うための旅に出るのかもしれません。大事な人たちを「見捨てない」ために。

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