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2018
06.21

取り戻せ、愛と家族と下半身。『デッドプール2』感想。

Deadpool2
Deadpool 2 / 2018年 アメリカ / 監督:デヴィッド・リーチ

あらすじ
ハイ、ユキオ!



恋人のヴァネッサを取り戻したデッドプールことウェイド・ウィルソンだったが、そんな彼の前に突如現れた男、ケーブル。未来からきたケーブルに狙われる異能の少年を救うため、ウェイドは特殊能力をもったメンバーを集めるが……。異色のヒーローを描くアクション・コメディ『デッドプール』の続編。

ガンの治療と称した人体実験により驚異的な治癒能力を得たものの、醜い容姿に変わってしまった元傭兵のウェイド・ウイルソンことデッドプール。マーベルコミック随一のふざけたヒーローを見事に実写化した前作が、さらにパワーアップ(予算的にも)して帰ってきた(きちゃった)!今回のデップーことテッドプールは、なんと一人の少年を救うために命懸けの戦いに挑みます。しかも相手は未来からやってきた半マシーン人間のケーブル。果たして俺ちゃんは少年を守りきることができるのか?という何だか切羽詰まった感じのあらすじですが、そこは高田純次にも負けない適当男のデッドプールなので一筋縄ではいきません。デップーならではのツイストの効いた展開と、これでもかという下ネタや反則気味なネタの数々は前作以上に爆笑。ところがこれが意外なほど無理なく、愛と、そして家族の物語になってしまってるんですよ。え、ホントか?(ちょっと思い返して)ホントです。いやあ面白い。

監督が『ジョン・ウィック』『アトミック・ブロンド』のデヴィッド・リーチということもあり、アクションも増量。基本は『X-MEN』と同じ世界線なんですが、今作はよりミュータント的なバトルが増えてますかね。デップー役の『クリミナル 2人の記憶を持つ男』ライアン・レイノルズは今作でも飛ばしまくり。彼はもう自分自身をも越えて見せる、というスゴさを見せてくれます。ヴァネッサ役のモリーナ・バッカリン、ウィーゼル役のT・J・ミラー、X-MENのネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド、名前が長いので通称ネガソニ子役のブリアナ・ヒルデブランドらも前作から続投。加えて新キャラが皆良くて、シブさ爆発ケーブル役の『ボーダーライン』ジョシュ・ブローリン、能力は運の良さというのが痛快さをもたらすドミノ役の『ジオストーム』ザジー・ビーツ、そして日本から『黒衣の刺客』忽那汐里がユキオ役で参加。

ケーブルに対抗するためデップーが特殊能力を持つメンバーを集めたチーム「Xフォース」を結成するんですが、これが斜め上に最高。これでデップーはもう孤独じゃないぞ!色々ふざけてるけどベースはちゃんとしてるので、ヒーローものとしてブレてないのが良いです。あと色んな意味でちゃんとX-MENでした。驚きと熱量と爆笑のR15+なヒーロームービーです。

↓以下、ネタバレ含む。








■前作を凌ぐネタの嵐

いやもう始まって数秒で爆笑をかっさらう『LOGAN ローガン』ネタはズルくないですか!いきなり主人公が爆発四散するし、オープニングは『007』だし、監督クレジットは「『ジョン・ウィック』で犬を殺した男」とか出てくるし、飛ばしすぎです最高。映画ネタはお前が言うなという感じの『インタビュー・ウィズ・バンパイア』とか、絵面が最低な『氷の微笑』とか、挙げたらキリがないほど。ケーブルのジョシュ・ブローリンが『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』に出てるだけにサノス呼ばわりされるのは期待通りとしても、まさか『グーニーズ』まで持ってくるとは。Xフォースのキメポーズは『ブラックパンサー』のワカンダのポーズっぽいし、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のマーサのくだりをネタにしたり(つーかDCまで餌食にする自由さ!)、音楽も『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のロバート・ホルムズ「エスケイプ」とか『アイアンマン2』のAC/DC「サンダーストラック」などを使ってるのは敢えてなんですかね。さらに『アナと雪の女王』の「雪だるまつくろう」を歌ったり、『ANNIE アニー』の「トゥモロー」が流れるのにはそれかよと笑います。いや内容的には合ってるかもしれんけど!一方で最近色んな映画で使われるa-haの「テイク・オン・ミー」がアコースティックVerで流れるのは染みます。

X-MENネタもパワーアップ。プロフェッサーの車椅子を乗り回したりセレブロのヘッドギアで遊んだりするのも愉快ですが、「もっと有名なX-MEN出せよ」と言ってる後ろにビーストやサイクロップスたちが映るというとんでもないサプライズ!一瞬だったのでよくわからなかったんですがプロフェッサーXやクイックシルバー、ストームにナイトクローラーもいたらしく、しかも『X-MEN:アポカリプス』に出た本物たち、ジェームズ・マカヴォイやニコラス・ホルト、エヴァン・ピーターズ、タイ・シェリダンらが実際に演じてたそうです。マジか!もう一回観ないとわかんないんだけど!予算倍増に感謝です。そして何と言ってもXフォースですね。メンバーオーディションの適当さ!しかも一人は『エクスペンダブルズ』シリーズのテリー・クルーズじゃないですか!他にも特異な能力者が集まり、一体どんなチーム戦を見せてくれるかと思ったらあのパラシュート降下ですよ。何あの容赦なく残酷な全滅。インフィニティ・ウォーなの?もう声出して笑いましたよ。しかも最後に一瞬姿を現すバニッシャー、一瞬過ぎてわからなかったんですがあれブラピだそうです。マジか。そう言えばケーブルが「いま何年だ」と聞く相手がマット・デイモンらしいんですが『マイティ・ソー バトルロイヤル』に引き続きわかんねーよ!

ネタのために時間を割いていたりするので正直テンポが良いとは言えないところもありますが、コメディだと思えば許容範囲かなあと思います。なによりデッドプールだから、というのもありますね。あとギャグとアクションが一体となっているのも特徴的。序盤の殺しまくりシーンもコミカルでありながら大殺戮だし、刑務所で高所から落ちた時の物凄いぐしゃり方とか、トラックを追うときの股から覗きながらのカーチェイスとか、ドミノの能力を「運がいいだけじゃ画的にも地味」とか言った直後にド派手なトレーラークラッシュがあったりします。


■孤独と家族

多くの笑いどころとは裏腹に、まさかのヴァネッサ死亡という悲劇があるわけですが、まだこちらに来るときではないという彼女の言葉がウェイドの行動の指針となっていきます。あまりの喪失感に自殺を図ったり、ウィーゼルの店でダバダバ漏らしたりもしますが(拭くヤツがいるので問題なし)、ウェイドが最後までラッセルを救おうとするのもヴァネッサの思いを受けて善人たろうとするからでしょう。ラッセルはかなりのわがままボディ(婉曲表現)だし、自ら「ファイヤー・フィスト」と名乗っちゃう痛々しさに中二病こじらせた奴が力を持つとヤバいというのを実感しますが、能力のために虐待されるというまさにX-MENで常に描かれてきた差別を受けているわけです。だからこそ、場を収めようとするコロッサスに対し同じ異能者として「ときには手を汚す必要がある」と虐待者を即射殺するデップーが痛快。

また、ラッセルがまだ子供であるというのも関係しているでしょう。ヴァネッサとの間に子をもうけようとした矢先だったウェイドが、疑似親子とまではいかなくても自分を信用してくれた若者に家族の繋がりの断片を感じるのも無理からぬこと。コロッサスには「恵まれし子らの学園」があるし、ネガソニ子にはユキオがいる。でもヴァネッサを失ったウェイドは孤独です(一応盲目のおばちゃんがいますが)。ラッセルもまた孤独であり、それゆえに力に溺れて歪んでしまうわけで、子供にそんなことさせられないというのがデップーのヒーローらしさでもあるでしょう。その点ではケーブルも妻と子の敵討ちで現代にやってきたわけで、家族という観点が関わっています。デップーがXフォースを作るのもチームによる家族感がほしかったから、と考えると、あの悲劇が泣けてきますね……こないか。そもそもケーブルに対抗するためにチーム作ったんでしたよ。

まあとにかく文字通り身を呈してラッセルを救うデップー。これがラッセルの歪む未来をないものにするという本当の意味での救済となり、焼け焦げたぬいぐるみが元に戻ることで娘が生きている未来を取り戻せたケーブルは、自身が未来に戻ることよりデップーを救うことを優先します。なんて義理堅い男前!ヴァネッサとの思い出のメダルがケーブルの手に渡り、それがデップーの命を救う、家族の思い出が家族を救うという、感動的と言える繋がりを見せるのです。それだけに最後にドミノやケーブルらと横並びで歩くデップーたちには滲み出るファミリー感があり、じわりと泣かされます。ネガソニ子とユキオのカップルも微笑ましいし、真面目なコロッサスも死に際のデップーにとうとう「ファック」と言わされてすっかり仲良し!(デップー生き返ったから言い損だったけど)


■時を超えて

デップーが戦っていたのはケーブルでもラッセルでもなく、ラッセルを追い詰めケーブルが家族を失うきっかけを作った人間たちの差別的な悪意です。だから本作にはヴィランは存在しないと言ってもいいんですよ。あ、まさかの『X-MEN:ファイナル・デシジョン』以来の登場におおッとなるジャガーノートがいますが、ケツむかれて生電撃ですからね、デップーもファンだと言うほど強いのに場違い感だけを残して消えましたね。むしろ周りの運を吸い取ってるんじゃないかというほど運のいいドミノの方がタチ悪かったりしてな。でもドミノは眼力(とおっぱい)が素晴らしいので良いです。

こうしてヴァネッサの思いを体現したデップー。しかしここからまさかのタイムトラベルでヴァネッサ を救い、ついでにピーター(ただのおっさん)も救うという超展開。さらにはライアン・レイノルズが自らの黒歴史をも葬り去るという大爆笑シーンで幕を閉じるという、もうタイムパラドックスとかどうでもいいからやっちゃおうぜ!という勢いのよさ。よもや再びヒュー・ジャックマンのウルヴァリンが見れるとは思いませんでしたが(不意打ち過ぎて感動)、真面目なだけでは終わらせないというサービス精神が実にデッドプールらしいです。そしてケーブルだけでなくデッドプールにとっても、失われたものを取り戻す話であったわけです。

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