FC2ブログ
2018
06.08

人智を超えた起動。『GODZILLA 決戦機動増殖都市』感想。

godzilla_anime_2
2018年 日本/ 監督:静野孔文、瀬下寛之

あらすじ
ふえる○○○ちゃん。



ゴジラにより地球を追い出され、2万年の時を経て地球に戻りゴジラに戦いを挑んだ人類だったが、その力は予想を超えて強大だった。戦いのあと意識を失っていたリーダーのハルオは、地球人の生き残り「フツア」の少女ミアナに助けられる。彼らの扱う金属ナノメタルがかつての対ゴジラ用兵器と同じ物質であることを知ったハルオらは、再びゴジラに挑もうとするが……。劇場用3部作となるアニメ版ゴジラの第2弾。

原案・脚本を虚淵玄、監督を『シドニアの騎士』『亜人』などの静野孔文、瀬下寛之で製作されたゴジラ初のアニメ版『GODZILLA 怪獣惑星』の続編。前作でのゴジラ・アースとの戦いの直後、ハルオたちの部隊は地球に残っていた人類の子孫と出会い、それと共にゴジラ撃破に繋がる手段を見出すことになります。特撮の『ゴジラ』やハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』、近年の『シン・ゴジラ』とも違うアプローチで始まったアニメ版、その最大の特徴はSFに振り切っている点でしょう(虚淵作品らしく台詞が超多い点というのもありますが)。今作ではより概念的なところでハードなSF設定を持ち出してきます。日本のSFアニメらしいメカも登場したり、その点では期待を裏切りません。

そこに関わってくるプリミティブな存在「フツア」。異文化との協力という点、そして小美人を思わせるくだりなどは『ゴジラ対モスラ』を彷彿とさせます。また前作でも名前の出てきたメカゴジラ!一体どういうデザインでどうやって戦うんだろうとワクワクしていたわけですが……色んな意味で「いや、まさか」と驚く、予想を覆す使われ方。そして前作を観たときも連呼しましたが、ゴジラがデカい!デカすぎる!ほぼ山です。ただ舞台が原始化した地球なのでまわりに自然物しかなく、その巨大さをわかりやすく比較するものがないため巨大さを感じにくい、というのは難点かも。映像的なスケール感というか空間の広がりを感じさせるのは良いですけどね。あと迫ってくるような音響の迫力が凄いです。

一度破れた相手へ再び対峙する特攻野郎の主人公ハルオ、精神性を司るかのような種族エクシフのメトフィエス、マッチョなだけでなく技術者としての特性も高い種族ビルサルドのガルグとベルベ、といったキャラも前作からさらに見せ場を増やしてます。あと今回はユウコがイイ。特にユウコのおっぱ(略)。怪獣の大暴れというのを期待すると若干「アレ?」となりますが、それとは別のスリルで攻めてると言えます。ゴジラで思い切りSFをやってみよう、というのをさらに突き詰めたような今作。ただしタイトルの意味がわかったとき、なるほどと思うか否かは分かれるかもですね。若干ダレるところもなくはないですが、僕は前作同様嫌いじゃないです。

↓以下、ネタバレ含む。








登場キャラは前作より突っ込んで描かれています。主人公のハルオはとにかく俺は!貴様を!とゴジラしか見てなかったし、目的のためには犠牲もやむなしなところがありましたが、今作はミアナと接したせいかちょっと他人を思いやる感じが増したようにも見えます。逆にガルグとベルベは好奇心も込みでより高みを目指そうとし、人であることをやめてナノメタルと融合。地元民フツアのことを「虫けら」と言う傲慢さがそのまま見た目になっているかのような変化を見せます。ちなみにガルグとベルベは非常に区別が付きにくいですね。ここはデザインもっと頑張ってほしかったところ。

一方でユウコはゴジラがどうこうよりハルオのことが心配なわけで、最も当たり前な人としての反応を見せますが、キスシーンが案の定死亡フラグとなってしまいます。メトフィエスは相変わらず何考えてるかよくわかりませんが、そこは次回で明らかになるんでしょうか。他にも母船の上層部の切り捨て方針や、フツアのオカルティックな存在など、ドラマ部分に力を入れていることが感じられます。深みがあるとまで言えるかは微妙ですが、あくまで人間を描こうとしてるとは言えるでしょう。各キャラ間の物理的な距離が近かったりするのもその一環でしょうね。

メカゴジラがゴジラ型のメカではなく、ナノメタルで構築した対ゴジラ迎撃都市であるというのは正直物足りなさはあります。奇しくも『レディ・プレイヤー1』でアレが出てきたばかりなので、タイミング的に肩透かし感が強まったというのもありますかね。ただ後から思い返してみると、世界観に沿ってるなあと良く思えてくるんですよ。ナノメタルは周囲の分子を取り込み進化する金属なわけですが、武器にも防具にもなり生物さえも取り込むという柔軟性はそれ自体が生物のようで、生物でありながら大自然そのものを具現化したかのようなゴジラとは逆の存在と言えるかもしれません。だからナノメタルによる決戦機動増殖都市メカゴジラは、ゴジラへの対抗手段として実に似つかわしい(アガるかどうかは別にして)。まあでもね、代わりにヴァルチャーがありますからね!ズォン!っていう音がイイですね。

そんなヴァルチャーも体高300メートルのコジラ・アースの前では蚊トンボみたいなもんですが。劇中でゴジラを言及するセリフとして「人が勝てないから怪獣なのだ」というのがあります。あらゆる生命体や地球の環境までも支配してきた人類が敵わない絶対的な存在、それこそが怪獣ということです。怪獣が暴れ回るアクションや怪獣同士の一大バトルなどは皆無の本作ですが、「怪獣とは何か」というところまで踏み込んでいる点で、これはやはり怪獣映画と言えます。そして最強の生命体であり最大の畏怖という点で、やはり「ゴジラ」である必然性もあるんですね。熱線放ったゴジラの背中、遥か向こうに渦巻く炎の壁、という画が破壊神としての存在感を際立たせます。

人智を越えた脅威に勝つにはどうすればいいか。その答えは、人でないものになるしかない。ビルサルドが取った行動はもはや”人類の”叡智とは言い難いレベルのものですが、ハープーンをブッ刺してすんでのところまでゴジラを追い詰めます。それでも勝てない。もはやゴジラは意志ある地球そのもので、人類を駆逐しようとしているかのようです。だからこそ、最後にメトフィエスが告げる名前が「星を喰う者」の意である、というのが、現状の打開を期待させ、と同時にさらなる悲劇をも予感させます。いやあ、この名前が出てくるのは当然予想できたはずなのに、ゴジラがあまりに強大なので浮かんできませんでした。「SF×怪獣」は果たして次作の最終章でどうなるのか?より観念的な結末に行ってしまったりしないか、あるいはまた違う捻りを加えてくるのか?楽しみです。

スポンサーサイト
トラックバックURL
http://cinemaisland.blog77.fc2.com/tb.php/1390-cb3fb592
トラックバック
back-to-top