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2018
05.22

重機刑事vsサイコマフィア!『犯罪都市』感想。

hanzai_toshi
The Outlaws / 2017年 韓国 / 監督:カン・ユンソン

あらすじ
気は優しくて超ちから持ち。



ソウルのクムチョン警察でヤクザ者にも恐れられる強力班の刑事マ・ソクトは、中国から流れてきた黒竜組のチャン・チェンが好き放題に町を荒らしているのを知りその一掃を試みる。そこに黒龍組に襲われた地元ヤクザのイス組が絡み、三つ巴の戦いが商店街で繰り広げられることに……という韓国クライム・アクション。

『群盗』『新感染 ファイナル・エクスプレス』で強烈なインパクトを残したマ・ドンソクの主演で描く犯罪ドラマです。勢力争いを続ける韓国ヤクザのイス組と毒蛇組、そこに突如現れた冷酷無比な中国マフィア黒龍組が殺戮を繰り返し、警察は事態の収拾に乗り出します。2004年に実際に起こった事件を元にしてるそうでハードな抗争ものではありますが、それを俄然面白くしてるのが主人公の刑事マ・ソクトを演じるマ・ドンソクの魅力。登場時からジャケットがはち切れそうなガタイ、ビンタ一発でヤクザ者を失神させる豪快な腕力。かと言ってただ暴力的なわけではなく、刑事としての素早い判断、的確な指示もピカ一。上司はたしなめ、部下は鼓舞し、商店街の人には優しいという、意外にも完璧なヒーローなんですよ。これが最高に頼もしくてカッコいい。

そんな重機のようなマ・ドンソクのあぶない刑事っぷりに対するのが、中国から来た残虐マフィア、チャン・チェン。演じるユン・ゲサンの残忍で冷酷なサイコっぷりがまたヴィランとして非常に強烈。他の人物も善悪問わずそれぞれ個性的で、ソクトの上司役の『タクシー運転手 約束は海を越えて』チェ・グイファを始め、刑事仲間たちとソクトのやり取りには笑えるシーンも多く、ときにじわりともさせてくれます。ちょっと小悪党っぽさのある韓国ヤクザの面々には肩入れしたくなるところもあるし、チャン・チェンのこれまた危ない手下二人などにはヒヤヒヤします。

韓国バイオレンスお約束の手斧がすぐ出てくるだけあって結構エグいシーンもあったりしますが、豪快なアクションと丁寧な話運びが同居し、ノワールっぽさがありながらユーモア溢れる軽やかさもあって、ヘヴィだけど痛快。最初から最後まで面白い見事なクライム・アクションです。

↓以下、ネタバレ含む。








商店街で起こるチンピラ同士の小競り合いを通りすがりにねじ伏せる、どう見てもコワモテの男マ・ソクト。この登場シーンだけでニヤニヤしちゃうんですが、韓国アクションでこういう重量級レスラーのような体格の人がメインというのは珍しい。しかも腕が太すぎて背中に手が回らないとか、腕の裏の傷が見えないとか、そのガタイをネタにまでしてて笑えます。もちろんパワーは凄まじく、パンチ一発で決着。走るのはちょっと苦手そうだとか、酒と女にはちょっと弱いとかありますが、そこもユーモアとして描くくらいでそれほど弱点になってないですね。殺戮現場と同じ店で寝てたのを必死に誤魔化そうとするのが愉快。また、怪しい奴は見逃さない洞察力、非常に的確な部下への指示、作戦を立てる頭脳、くさる上司をたしなめる貫禄と、刑事としてもリーダーとしても優秀というのが見た目とのギャップになってて魅力的。カメラの死角で尋問するという違反行為もコミカルで笑えます。あとシルエットだけで彼だとわかるというのが、キタ!という感じでイイんですよ。

警察の仲間たちも、モブかと思ったら意外と活躍するのがなかなか良いです。特に一度は身を引きながら頑張って黒幕の潜入場所まで突き止める若手がイイ。やっていけないと折れた彼がソクトたちの姿を見て再び正義感に燃えるというのはベタながら泣かせます。情報部にいてネタを流しながら、最後はさりげなく復帰して仲間たちもそれをニヤリとして迎える、というのもたまらんです。あと、最初から出ている商店街の少年が最後まで絡むというのが上手い。渋る商店街の人たちに勇気を示し、そのおかげでチェンの動向を掴めるんですね。ただ最後に店主と共に刺されてしまった少年がどうなったかは映してほしかったところ。一方でチェンの使い走りに成り下がる毒蛇組の男は、散々こき使われ女まで取られたうえに復讐に失敗して返り討ちに会う、というのがシビア。こういう容赦ない面もあるのが面白い。

容赦ないという点ではチャン・チェンの鬼畜ぶりは凄まじいです。冒頭の借金取り立ての痛ましさ、個室居酒屋(カラオケ店?)での店長の腕ぶった切り、毒蛇組長への後先考えないメッタ刺し、イス組長のパーティー会場への殴り込みと、ひたすらクレイジー。たった三人でも全く恐れることなく向かってくるのがヤバい。目的がとにかく金、というのがわかりやすいですが、その分しがらみなど縛り付けるものがないというのが怖いんですね。チェンは利己的な暴力の具現化とも言えるでしょう。対してマ・ソクトは人のために暴力を行使する、というところで対照的です。舞台は意外と狭いと言うか、わりと限られた範囲で事件は起こるんですが、それが一つの町に巣食う悪と一つの町を守る善という構図に収束していく感じがします。ソクトとチェンの対決は、食堂で最接近したあとはラストまで取っておく、というのもニクい。

また、マ・ドンソクの丸太のような腕での平手打ちなどは確実に脳しんとう起こすじゃないですか。そこがスゴいし最高なんですが、ドンソクの動きだけ浮いてる、みたいにはなってないんですね。体重をかけて刺すとか腰を入れてハンマーを振り下ろすとか、肉体を使っていることを感じさせるアクションが多いので、トータルでのアクションバランスが良いんですよ。チェンが消火液の舞うなかでイス組長を襲う地を這いながらの泥臭い殺し合い、銃は使わず鉄パイプやナイフといった鈍器と刃物だけで魅せる格闘、椅子ごと水攻めといったバイオレンス描写に至るまで、身体性が高いですね。そこにマ・ドンソクのパワフルアタックがドンとかまされますが、敵も相当ヤバいというのが描かれているので、時折挟まれるピンチも効いて刺激的。ソクトがナイフで刺されたりもします(わりと大丈夫なのがさすがですが)。

そうしてソクトとチェンが直接対決するラストバトルは、ついに両者が合いまみえるというキタ感が半端なくてアガるし、身体性を極限まで魅せるぶつかり合いも最高潮。しかも久々に見る名トイレバトルです。小綺麗なトイレの壁から仕切りからもちろん便器までブチ壊す怒濤のアクションに手に汗握り、ついにワッパをかけるソクトに拍手喝采。最後にニヤリとするマ・ドンソクのアップには「面白かったろ?」という声が聞こえてきそう。もちろん「面白かった!」と返しますよ。

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