FC2ブログ
2018
04.16

めくるめくカオスと愛の物語。『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』感想。

valerian
Valerian and the City of a Thousand Planets / 2017年 フランス / 監督:リュック・ベッソン

あらすじ
18と81は間違えやすい。



西暦2740年、銀河のあらゆる種族が共存し「千の惑星の都市」と呼ばれるアルファ宇宙ステーションを訪れた、銀河連邦捜査官のヴァレリアンとローレリーヌ。しかし様子の探知できないアルファの最深部から謎の勢力が現れ混乱をもたらす。そこにはある歴史の秘密が絡んでいた……。『レオン』『LUCY ルーシー』のリュック・ベッソンによるスペース・オペラ。

28世紀の宇宙を舞台に、銀河の秩序を守るエージェント・コンビ、ヴァレリアンとローレリーヌが、ある陰謀へと立ち向かいます。原作は1967年から刊行されたフランスのSFコミック『ヴァレリアン』シリーズとのこと。『スター・ウォーズ』にも影響を与えたと言われてるようで、確かにSW旧三部作の世界観を想起させるものはありますかね。でもそんな連想を抜きにしてすっごい面白い!どこか軽さのある主人公ヴァレリアンと、その相棒で強気な女性ローレリーヌの若々しいコンビは見ていて愉快。舞台となるアルファは様々な銀河の種族が共生する巨大宇宙ステーションですが、まるで多様性に溢れた銀河を一ヶ所に集めたような雑多な感じが実に楽しくてワクワク。そしてこれでもかというイマジネーションの奔流がとにかく凄まじく、ベッソン監督作『フィフス・エレメント』を凌ぐビジュアルと冒険を堪能できます。ストーリー的に雑な部分もありますが、細かい雑味はどうでもよくなる勢いとパワー。いやあ楽しい。

仕事は一流のエージェントながらプライベートはいい加減でプレイボーイな主人公ヴァレリアン、演じるは『クロニクル』『アメイジング・スパイダーマン2』のデイン・デハーン。影のある役が多かっただけに、ここまでチャラいデハーンは珍くて新鮮。そしてその相棒であり美しさと強さを兼ね備えたローレリーヌ役は『スーサイド・スクワッド』のエンチャントレスことカーラ・デルビーニュ。ツンデレっぷりが超キュートです。また『バトルシップ』のリアーナが本来のシンガーとしての圧巻なステージを魅せまくり。さらに幾多の大物がそんな役で!?という驚きの(あるいは脱力の)キャスティングもなんだか面白い。この「なんだか面白い」というのが本作の魅力とも言えるでしょう。

SF的なギミックの数々による興奮度、大量の種々雑多な異星人や宇宙生物の造形、あらゆるフィールドが揃ったアルファの美術など、作りたかった映像をこれでもかと詰め込んだはっちゃけ具合はサービス満点で楽しさが溢れまくり。中学生の頃に観てたら確実に心に刻まれてその後の人生に素敵な(あるいは歪な)影響を与えかねない代物ですよ。さらに「真実の愛とは」という一見ありきたりなテーマが、むしろしっかりと骨子になっているのもイイ。ライトだけど真摯で、カオスだけど真っ直ぐな愛の物語。大幅な寄り道シーンさえも楽しいです。

↓以下、ネタバレ含む。








デヴィッド・ボウイをバックに握手していくというオープニング、最初は地球の他国の人との繋がりだったのが、いつの間にか他星の人との繋がりに変わっていく、この握手だけで時間と空間の広がりをどんどん見せていくというところに、テンポの良さに絵面の豊かさ、どうやって握手するかというユーモアまで入れ込んでいて、もうここだけで最高!ってなりますよ。その先はもう愉快な宇宙の万国博覧会。パール人たちの惑星のリゾートを越えたまさに天国のようなパラダイスには癒されるし、広大な更地に雑多な巨大マーケットという別次元の舞台を重ねるという見せ方には唸りつつ、手だけが動き回るコミカルさにニヤニヤします。どんどん建て増しされてカオスとなったアルファの様々なフィールド、それをヴァレリアンの壁ブチ破りシーンによって一気呵成に見せるというのも凄まじい。バブルが登場する歓楽街の淫靡できらびやかな雰囲気、海王類的な超巨大水棲生物が住む海?の底まで、出し惜しみ一切なし。

また様々なエイリアンたちが大挙登場するのも愉快で、ここが特に『スター・ウォーズ』っぽいところでもありますね。造形はどこかで見たようなデザインも多く、パール人などはそこはかとなく『アバター』っぽかったりしますが、マーケットにいるギャグアニメのような顔がパンパンの少年とか、三人で一人の情報屋トリオとか、愉快なのも色々います。K-トロンの不気味さと強さも圧力あってイイし、食べたものを大量に複製する変換器などはどう見ても出す場所がヤバいし、ヴァレリアンを探すためにデカいクラゲを頭から被るローレリーヌが不憫だったりとバラエティ豊か。あと『トゥモロー・ワールド』のクライヴ・オーウェンが最後は予想外のカッコ悪い役、『マグニフィセント・セブン』イーサン・ホークが予想外のどうでもいい役、『ブレードランナー』ルトガー・ハウアーが予想外のチョイ役!となんとも贅沢な使い方のキャスティングには呆気にとられます。『西遊記2 妖怪の逆襲』『トリプルX:再起動』のクリス・ウーなんて全然まともな役で、むしろまともすぎて地味というね。アイゴン・サイラスなんて言われないと絶対わかんないけどジョン・グッドマンですよ?『スター・ウォーズ フォースの覚醒』のサイモン・ペグなみにわかんないですよ。でも言われてみれば似てるかも……。

ブーラン3世の館でローレリーヌの着る服を選ぶアイツの「ウホウホ、ホ!」っていうのを何度もやられてツボにハマったり、ローレリーヌの超デカい帽子が滑稽でありながら実は巨大な受け皿だったり、ヴァレリアンがなぜかそいつらに化けたままアクションをしたりと、アホ全開すぎて笑います。つーか歓楽街入ってからのくだりは丸ごとなくても済むと思うんですが、この余剰部分が面白かったりするんですよ。マヌケなだけでなく、ヴァレリアンとローレリーヌの信頼の強さを描いていたりするし、ポールダンスやリングダンスまで見せるリアーナの七変化ステージは魅惑的。『フィフス・エレメント』のオペラシーンに匹敵する、必要性はほとんどないけど印象的なシーンです。また何にでも化けられるバブルが客に気に入ってもらおうと必死に練習してきたのが伝わったり「故郷に帰っても生きる方がツラい」と言うのが泣けます。てっきり仲間になるかと思ったらあっけなく退場というのはもったいないですが、そこは潔いと言うべきか。

そしてこれだけガチャガチャやっておきながら、最後に提示されるのは「愛」なんですよ。さすがにそれはストレートすぎないか、とも思うんですが、でもこれだけカオスな舞台と物語に一本芯を通すとしたらこれ以上わかりやすいものはないとも言えます。元々はフィリット司令官が功を焦って罪なきパール人たちを滅ぼしたのが事の発端なわけですが、それをパール人は「人間のしたことを忘れはできないが許す」と言うのです。ここで序盤からローレリーヌに愛を告げていたヴァレリアンの真価が問われるんですね。「法に従うのが俺だ」と言うヴァレリアンに対して、パール人のそれこそが愛だと言うローレリーヌ。それはちょっと対象や規模が違うのでは……となるところですが、ホレた女が愛を説くならそれを受け入れるのが男ってもんですよ!

かくしてヴァレリアンはより大きな人間愛に目覚め、イケメン度をアップさせて彼女のハートもゲット!どうですかこのわかりやすさ。でもここまで生死を共にしてきた二人の行動があるのでそこまで薄くは感じないし、何よりこの二人への好感度が上がる一方だったので、言うことなしのハッピーエンドこそが似つかわしいのですよ。別に千の惑星を救うわけじゃないけどヴァレリアンは確実に一つの星は救ったわけだし、ヴァレリアンはローレリーヌを救い、ローレリーヌもまたヴァレリアンを救うというそれぞれが互いの救世主だったわけです。……ああ、なんかもっとツッコミも入れようかと思ってましたが好きな思いの方が勝っちゃいましたよ。続きがあればぜひ観たいんですけどね!(でも本国では大コケしたらしいので……悲しい)

スポンサーサイト



トラックバックURL
http://cinemaisland.blog77.fc2.com/tb.php/1370-20b37b05
トラックバック
back-to-top