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2018
04.15

プニプニ肌の働き盛り!『ボス・ベイビー』感想。

Boss_Baby
The Boss Baby / 2017年 アメリカ / 監督:トム・マクグラス

あらすじ
おしゃぶりは口に、ネクタイは頭に。



両親と3人で暮らす7歳の少年ティムの家にやってきた赤ん坊は、黒スーツにネクタイ姿の「ボス・ベイビー」だった。外見とは裏腹に大人のように話すその赤ちゃんにはある秘密の任務があり、ティムは弟であるはずのボスに振り回されることに……。『メガマインド』『マダガスカル』シリーズのトム・マクグラス監督によるCGアニメ。

『シュレック』『カンフー・パンダ』『ヒックとドラゴン』などのドリームワークス・アニメーションが『怪盗グルー』シリーズのユニバーサル・スタジオと組んだCGアニメ。マーラ・フレイジーの絵本『あかちゃん社長がやってきた』を元にしているようですが、そちらは赤ちゃんがママとパパに社長のように命令するという育児の様子をコミカルに描いたもののようなので別物なのかな?本作では見た目はかわいらしい赤ちゃんが本当に中身がおっさん、正確に言えばビジネスマンであり、赤ちゃんの可愛さを脅かすある存在を打ち負かすために天から派遣されるというお話。これがギャップに萌えたり笑ったりというのはもちろん、よく練られた展開とテンポの良さでグイグイ引っ張っていき、細かい点も丁寧に作られているので素直に楽しいです。そして突然弟ができた少年がお兄ちゃんになるまでがじんわり染みます。

声の出演はボス・ベイビー役に『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』のアレック・ボールドウィンというシブいチョイス。他スティーブ・ブシェミやトビー・マグワイアなども参加してるようです。僕が観たのは日本語吹き替え版ですが、そちらのボス・ベイビー役の『斉木楠雄のΨ難』ムロツヨシ、兄ティム役の『64 ロクヨン』芳根京子、ティムのママ役の乙葉なども違和感なくて良かったです。ちなみにオープニングでMurotsuyoshiと表示されてて、英語で吹替者を表示というのはちょっと記憶にないので新鮮なローカライズでした(過去にもあったかもしれませんが)。

赤ん坊が大人顔負けの意思を持っているといえば『ベイビー・トーク』などがありますが、本作ではCGアニメならではのデフォルメやトリッキーな表現、ファンタジックな背景などを駆使して、「大人のような赤ちゃん」という無理設定もわりと上手く処理しています。様々な映画の文脈を取り込むことで思った以上の冒険やスリルを見せてくれるし、可愛らしい赤ちゃんが動きまくるというあざとさもしっかりギャグへと繋げています。お子様にはわからないネタもブッ込んだ悪ノリも愉快で、子供から大人まで楽しめます。

↓以下、ネタバレ含む。








冒頭の天上で多くの赤ちゃんが生まれる準備を施されているというシーンで、ボスは他の子と違いくすぐられても反応しないために経営の方に回され、特別な存在であることが示されます。この一部の赤ん坊が就くのが赤ん坊の愛され度をキープするという仕事。この会社の存在というのは突飛な設定に思えますが、深読みすれば少子化を憂うとか、虐待を防ぎたいとか、子供への愛情の大切さを忘れさせないために子供が頑張っている、というようにも見えて意外と社会派な気もしてきます。ボスのミッションは子供への愛情を脅かすフォーエバーわんこ販売の阻止。赤ん坊とペットを並列に語るのはナンセンスですが、それだけ子供に対する親への危機感を訴えているのかも。また何度も劇中で流れるビートルズの『ブラックバード』、歌詞を見ると「折れた翼で暗い闇のなか光を目指して飛んでいく」という人権の解放を歌った曲とのことで、会社に囚われたボスの解放を示唆するかのようで意味深。まあ本編ではそんな暗さは微塵も感じさせないので、もっとライトに家族が愛情を手に入れるまでを描く、特に弟ができて兄となる少年がその愛情に目覚めるまでを描いていると言っていいでしょう。

むしろ企業間闘争みたいな話を赤ん坊でやるというのが面白いわけで、情報を入手し敵の出方を探りこれを阻止するというのを、もっともらしい会議とかしながら進めていくのが笑えます。親には喋れるということも秘密なので(スーツ姿は問題なしらしい)、親がいるところでは赤子化し屈辱的なポーズをとるという、赤ちゃんなのに赤ちゃんプレイしてる的ニュアンスがマヌケで良いです。かと思えば、イヌ太郎との自転車チェイスなどは完全にアクション映画としての見せ方だったり、潜入ミッションはスパイ映画の見せ方だったりして、いつの間にかスケール感まで感じてくるのがスゴい。ボスの仲間赤ちゃんたちも個性的で、特にデカい子のパワーファイターな活躍がイイ。でもボスも仲間たちも赤ちゃん的な動きや肌のプニプニ感などがしっかり描かれているのでちゃんと可愛い、というしっかりした作画が説得力となっています。『レイダース』や『マトリックス』、『メリー・ポピンズ』などの映画ネタや、大量のエルビスがウニャウニャ言ってるのとか爆笑。「ロングアイランドのアイスティーは不味い」といったネタも細かい。

赤ん坊描写だけでなく、7歳のティムが想像力で見ている世界を可視化するのも良いんですよ。深海だったりジャングルだったり、現実を子供の視点で置き換えることで全てがアドベンチャーになるんですね。それをティムとボスが共有し、そのなかで活躍するという演出も熱い。ボスが大人のように振る舞えるのはスーパーミルクを飲んでるからだ、というのがわかった時点で最後はボスが本当の赤ん坊になり家族になることは予想が付くんですが、任務を完了してトップに登り詰めた後で自らその決断をするというのがね、ビジネスよりも大事なものがあるだろう、というメッセージまでも含んでいて何とも多層的です。そして冒頭と同じプロセスによる「生まれ変わり」を経ることで、ボスは再びティムの家にやってきます。

一方でティムは与えられるだけだった愛情を、今度は与えるということを知るわけです。ティムが両親との関係を三角形に例えて「強い」と言っていたのを、四人だとハート型になってより愛情で満たされると示すのもさりげなく暖かい。そして本当の家族となったときに、ボスは初めて本当の名前で呼ばれるわけです。大人になったティムたち、今度は娘に妹が生まれるが……という結末まで言うことなし。赤ちゃんは社長のようなもの、という比喩を本当に社長にしつつ豊かにアレンジしていて見事です。

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