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2018
03.27

本当の宝物。『ドラえもん のび太の宝島』感想。

dora_takarajima
2018年 日本 / 監督:今井一暁

あらすじ
鼻でカルボナーラを食べよう。



財宝の眠る宝島を見つけようとのび太がドラえもんの道具で探したところ、太平洋上に新しく出現した島が宝島であると判明。いつもの面子と共に帆船ノビタオーラ号で島に向かうが、途中で謎の海賊に襲われてしずかがさらわれてしまう。偶然宝島の秘密を知る少年フロックと知り合ったのび太たちは、しずか救出のために宝島を目指すが……。『ドラえもん』の長編劇場版シリーズ、38作目。

映画ドラえもん、今回のテーマは「宝島」。宝を探すというロマン、大海原を駆けるアドベンチャー、謎の海賊と渡り合うスリルを描きつつ、そこに親子愛というドラマを盛り込んでいます。映画版ならではのキャラクターの動きの多彩さは愉快で、初っぱなからミステリーに満ちた宝島はスケール感もあって、スクリーンで観る醍醐味を味わえます。そもそも海洋冒険とか宝探しとか海賊とか、あと大海原を帆船で走るワクワクなどは、元ネタであるロバート・ルイス・スティーヴンソンの児童向け小説はもちろん、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや『ワンピース』などでも見られる人気のモチーフであり、本作も大ヒットのようですね。

オリジナル・ストーリーということで今回脚本を担当したのは『君の名は。』のプロデューサーで小説家でもある川村元気。予想以上に規模が大きくなる話をそこに落とし込むのかあ、とは思うものの、新キャラのフロックとのび太、クイズとドラえもん、セーラとしずかといった関係性も出しつつ、映画ではイイ人みたいなジャイアンとスネ夫のあざとさもそれほどではなく(近年はそれも減りましたが)、少々散漫ではあるもののスリリングだし十分面白い。あと美術全般が良いですね。ゲスト声優としては、大泉洋、長澤まさみ、サバンナ高橋らが出演し、星野源がタイトルもズバリ『ドラえもん』と潔い主題歌を書き下ろしててこれが良いんですが、本人はコント番組『LIFE!』で「オモえもん」とかやってたのは触れない方がいいですか?

前作『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』で描かれたようなドラえもんとのび太の関係よりは新キャラ中心の物語なので、のび太たちにゲスト感を感じるところもあったりとか、他にも気になるところはあります。とは言え、青い空の下で海を駆け抜ける気持ちよさ、くすぐられる冒険心に、ひと夏の思い出が刻まれる感じがありますね。あとドラえもんはなぞなぞが得意だな!

↓以下、ネタバレ含む。








序盤のオーバーリアクション気味なのび太の動きからしてそうですが、海で遊ぶ面々の様子とか、宝島のスケール大きい存在感とか、大画面を意識して動かしてるなあと思います。組み立てた帆船をビッグライトで大きくするところには高揚感があるし、強大な力を持つ人工の島という点ではちょっと『ラピュタ』っぽさもありますね。キャラ描写としては特にしずかちゃんが力入ってて、さらわれるしずかの泣き顔が真に迫っているのが取り返しのつかなさを感じさせ、お願いするしずかのキラキラっぷりにはそりゃあクラゲもメロメロになりますよ。慌てるドラえもんがポケットから撒き散らすブツがタコとイカばかりで海だな!というのも愉快。あと囮になるためトビウオマシンで突っ込んでいくスネ夫とジャイアンのサムズアップにはシビれます。

オリキャラのフロックはちょっとアナーキーな少年、セーラはしずかをかくまい一緒に働いたりしずかを救うために犠牲になったりとドラマチック。オウム型ロボットのクイズは全てをクイズで話すのがめんどくさいと言うか場面によってはテンポを損ねるんですが、死んだ母親フィオナのクイズ好きが反映されているというのが泣かせます。名前はもう少し捻った方がよかったですが……。それぞれがのび太、しずか、ドラえもんと友情を育むというのはベタですがはずせないところでしょうね。またシルバーは妻を失ったことで自制を失い地球脱出を目論むわけですが、そこに至る心情や子供たちと距離が出ていく辺りは丁寧で納得できるものになっています。終盤のセキュリティを破ろうとするフロックとの親子対決などは、父の助けになろうと勉強した息子が父を止めるという、フロックの思いが活かされるシーンですね。あと海賊夫婦やメシ屋の眼帯おかみなどもなかなか個性的。

クイズが情報端末にもなるあたり今風ですが、ただメカニックにリアリティを入れすぎるとドラえもんの世界観としてはちょっとギリギリだなあと思うんですね。序盤でドラえもんに「インターネットで世界中を見れるこの時代」と言わせちゃうのも危うくて、「少し・不思議」なところが味なのに現実のテクノロジーを出してしまうのは若干抵抗があります。一方でひみつ道具は、どこでもドアは高速のものには移動できないとか、空気砲の空気が切れるとか、通り抜けフープでもより未来の材質は通れないとか、定番にもちょっと変わった面があったりするのが目新しいです。まあ今回はミニドラが出るというのが売りではあるんでしょう。ミニドラ+風神うちわで空を飛ぶってのは、勢いと可愛らしさがあってイイですね。ところでミニドラってフエルミラーで増やすもんなの?

物語は途中から親子の関係を描く家族ドラマへとシフトするため、スケール感出したわりにはミニマムな帰結ではあります。またそのために「宝島」という存在、どころか概念さえもわりと早い段階で立ち消えになってしまうので、旅立ちのときに感じたワクワクが続かないのは残念。あとのび太が言い出した冒険のわりにはいまいちのび太が目立ってない気もします。とは言え、シルバーとフロックの親子が互いを思うがためにかえってすれ違い、ぶつかりあった上でようやく和解するラストには泣けるし、多くの財宝を目の前にしながらも「何が本当の宝なのか」ということに気付くのび太たちが清々しい。父と息子というドラマを最後にのび太とパパにも重ねて大団円。夏休みの一幕として似つかわしい物語と言えそうです。

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