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2018
03.09

北のイケメン、南の顔面。『コンフィデンシャル 共助』感想。

Confidential_Assignment
Confidential Assignment / 2017年 韓国 / 監督:キム・ソンフン

あらすじ
レッツ共助捜査!



逃亡した偽札作りの組織を追うため、北朝鮮の刑事イム・チョルリョンが韓国へと派遣される。それは歴史上初めての南北共助捜査となるが、韓国側は北朝鮮の思惑を探るべく、担当刑事のカン・ジンテにチョルリョンに協力のふりをして監視するよう指令する。一方のチョルリョンはこの捜査に私的な目的があった……。韓国発の刑事アクション。

捜査中に思わぬ裏切りに会い、大切な人を失った北朝鮮の刑事チョルリョン。妻の尻に敷かれうだつの上がらない韓国の刑事ジンテ。交わるはずのなかった二人の男が「共助捜査」の名の元に行動を共にすることになるバディものです。北と南の刑事という対比は一昔前の冷戦時代、アメリカとソ連のバディものである『レッドブル』などの娯楽作を彷彿とさせますが、実際政治色は薄めで娯楽に振りきっています。国益より自身の復讐で動く北の刑事に対して、庶民的で大雑把な南の刑事がこれに応対、徐々に二人の信頼関係が作られていくというのはありがちながらも面白い。そして南北の男が協力しあうという作品も過去にあったとは思いますが、ここまで顔面格差が激しいコンビは珍しいですよ。堅実ながら時に大胆なアクションが気持ちよく、男の友情ドラマとしても熱いです。

北の刑事チョルリョン役のヒョンビンは、南の刑事が「超カッコいいー」と言ってしまうほどのちょっと『アジョシ』のウォンビンにも似たイケメンで、クールかつ激強いヒーローっぽさなのに対し、南の刑事ジンテ役の『ベテラン』ユ・ヘジンは家族から「顔面が破壊的」と言われるほどの個性的面構えで熱血かつお節介な庶民派。このどう見ても共通点のなさそうな二人の絡みが徐々に面白くなっていきます。ジンテの顔面偏差値に対して妻ソヨン役チャン・ヨンナムがやたら美人というのが「男は顔じゃない」という根拠になって……いるのか?妻の妹ミニョン役がやたら可愛いと思ったら「少女時代」のユナなんですね。なかなかのコメディエンヌっぷり。あと敵となるチャ・ギソン役のキム・ジュヒョクが悪役ながら実にカッコいい。しかし観た後で知ったんですが、この人は去年事故で亡くなったんだそうで……残念です。

常に先を行くチョルリョンに対しジンテの憎めないけどほぼ役に立ってない感は、バディものとしては若干バランスが悪いかなーとも思いますが、そこの落差を徹底しているのが最終的には許せちゃいます。南北の対立も入れつつ、韓国アクションにしては爽やかさな味わいです。

↓以下、ネタバレ含む。








チョルリョン役のヒョンビンは体技のキレがよく、『悪女 AKUJO』『アシュラ』といった凄惨ながらエキセントリックなものではなくわりと正統派なアクションなところが逆に気持ちいいですね。この気持ちいい感じが随所にあって、2階から飛び降りて駆け出すワンカットとか、トイレットペーパーを咄嗟に濡らして武器にするとか、橋上でのドア吹っ飛ばしての車上銃撃やカークラッシュ、ラストの埠頭などの画が広々してる感じも含めて、なんだか気持ちいい。またマフィア相手や火力発電所のゴチャゴチャしたなかでの攻防など一対多でのバトルもあれば、チャ・ギソンの手下の中ボス的なヤツとのサシ対決などもあって結構バリエーション豊富です。劇中ほぼ役に立ってないジンテも、雀荘で多人数に囲まれても一人でかたをつけるという、コミカルながらちゃんと見せ場もあります。刺されるけど。まあジンテの活躍がその程度だからこそ、ラストでチョルリョンを救いに来てギソンを撃つところで、チョルリョンと対等の活躍に持ち込む感じがしてちょうどいいです。あとちゃんと手斧も出てくる辺りはさすが韓国アクション。

映像的にはそこまで特殊なものはないですが、序盤で倒れた妻の視線を遮るようにギソンの足がまたぐ、というショットなどはイイなあと思います。またギソンのヤサの独特なシャレた感じとか雀荘のいなたさ、ジンテ家の開放的な間取りや韓国マフィアの殺風景なアジトなど、舞台美術やロケーションが結構印象に残ります。北の描き方についてはそこまで突っ込んだ感じはないですね。「同士」と呼び合うところや「北は飢えているのでそれどころじゃない」みたいな北を批判するような台詞はあるし、上司たちは国益優先で指令を下してくるものの、政治的な確執などはほとんど描かれません。あくまで二人がそれぞれのバックボーンを乗り越えて、個人的な思いで共闘していくというところに焦点を当てているわけで、これが良い意味で軽妙な感じを出しています。あと二人が追う偽札の銅板・スーパーノートの行方、というケイパーもののようなクライムストーリーも軽妙さに貢献しています。実際は銅板だけじゃなく紙とかインクとか印刷とか色々ないと本物と見分けがつかない偽札なんて作れないと思いますが、そこはわりとアバウト。

と言うかギソンはそれができる取引相手を結局殺しちゃうし、チョルリョンを一度は負かした強い部下をあっさり殺しちゃうし、動機は国家への復讐だと語るもののだんだんと何をしたかったのかがよくわからなくなるというのがネック。チョルリョンを生かしておく理由も「情けだ」とかボンヤリしてるし、元上官なら一番生かしてたらヤバいヤツとわかりそうなもんですけど……(実際「殺しておけばよかった」と言う。手遅れ)。ただ演じるキム・ジュヒョクはずっと「渋カッコいいなあ」と思いながら観てたほど良かったですけどね。他にもジンテが刺された傷を妻の手当だけで済ますとか、チョルリョンは銅板持ち出して無くして挙げ句ギソンまで死なせたのにおとがめなし(多分)だとか、引っ掛かる点はあります。あとギソンの行方の鍵を握るチンピラのミョンホ、あの豹柄水色シャツという服装が個性的すぎて強烈とか。いやそれはいいか。

ジンテのぼやき刑事っぷりやチョルリョンの真っ直ぐすぎるだけに厄介な雰囲気などが際立ち、それが少しずつ融和していくのが良いです。ジンテ家でのチョルリョンの扱いは笑えるし、娘ちゃんの可愛らしさ、義妹ミニョンのあからさまなラブオーラのマヌケさなどもイイ。ジンテに対して冷たい態度をとる妻もちゃんと夫を思いやってたり心配してたりするのがわかるシーンもあり、それがラストでジンテが妻子を救いに行く思いや、泣きながらチョルリョンに助けを求めるところに結び付くんですね。そしてかの国に抗ってまで「兄貴」のために駆けつけるチョルリョン。二人の刑事が、刑事という立場や国の違いを越えたところで互いを助けるクライマックスは、「自助」でも「公助」でもない、まさに「共助」という言葉がピッタリくるのです。それにしても最後まで「ジンテの顔面力スゴいな」というのが頭から離れなかったんですが……その点でも面白いバディものでした。

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