2018
02.08

銃使いは守り、少年は輝く。『ダークタワー』感想。

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The Dark Tower / 2017年 アメリカ / 監督:ニコライ・アーセル

あらすじ
ガンスリンガー!(名前がカッコいい)



ニューヨークで暮らす少年ジェイクが見る不思議な夢。そこでは世界の中心にある「タワー」を守る拳銃使いの男ガンスリンガーと、タワーを破壊して世界を崩壊させようとする黒衣の男とが戦いを繰り広げていた。しかしある日、ジェイクは本当にタワーが実在する異世界へと迷い込んでしまう……。スティーブン・キング原作の『ダークタワー』シリーズを実写映画化したSFアクション。

スティーブン・キングが1970年代から30年かけたという『ダークタワー』シリーズ。全7章、文庫にして全14冊、キングのライフワークとも言われる作品をまさかの映画一本に!どうまとめたのか、あるいはかいつまんだ感じなのか全く知らずに観ましたが、意外とスッキリまとまってます。母と再婚相手の男と共に暮らすジェイク少年は、いつも見る同じ異世界の夢のせいで変人扱いされ鬱屈した日々。しかし世界の中心で悪の手から世界を守っているという「タワー」が夢で攻撃されるたびに現実でも地震が起き、何か関連があるのではないかと思っていた矢先、実際にその異世界に赴くハメに。そこで出会う拳銃使いのガンスリンガーと、世界を破滅させようとする黒衣の男との戦いに巻き込まれていきます。

ガンスリンガーことローランド役の『パシフィック・リム』『マイティ・ソー バトルロイヤル』イドリス・エルバはとにかくシブいしカッコいい。二丁拳銃でガンガン撃ちまくるうえ、超スタイリッシュなリロードを何度も見せてくれるのがたまりません。そんなローランドが戦う黒衣の男ことウォルター役は『ダラス・バイヤーズクラブ』『ゴールド 金塊の行方』のマシュー・マコノヒーで、クールでいながら圧があり、魔術で人を操るヤバさもあって強敵。そんな二人に挟まれて奮闘するジェイク役のトム・テイラーくんは目力の強い少年で、弱そうでいながら甘ったれてないのがイイ。ローランドとの関係性も泣けるものがあります。

長大な原作を一本の映画にまとめるためにポイントを絞ってるんでしょう、それだけにわかりやすい。設定が色々不明でブン投げたまんまなんですが、そこもかえってミステリアス。SF、ファンタジー、アクション、西部劇と様々なジャンルの要素を持ってますね。異世界と現実を行き来するギャップや、ファンタジーとしての見せ方は薄めでやや消化不良ではあるんですが、足長拳銃使いイドリス・エルバと胸元はだけた魔術師マシュー・マコノヒーという男と男の極上セクシー対決がカッコよすぎるので、細かいことはいいです。粗いと言うより潔い。原作は昔読もうとして読む前から挫折したんですが(長過ぎて)、それを改めて読んでみたいと思わせる入り口として、この映画版はいいんじゃないでしょうか。

↓以下、ネタバレ含む。








ローランドがカッコいい、まずはこれにつきます。とりあえずコートを翻すだけで絵になる。武器がリボルバーというのがシブくて、しかもそれが聖剣エクスカリバーから作られたというのだけでアガりますよ。両腕クロスさせて二丁拳銃で撃つ、無造作に撃つ、飛び降りながら撃つ、滑り込みながら撃つといったガンアクションの数々がイカします。リボルバーはいちいち弾を込めないといけませんが、それを回転する弾倉に超速でシャキシャキ込めたり、腰に差したローダーから直接装填したりといった様々なリロードがいちいちカッコよすぎます。百発百中でザコなら一撃という銃の腕前もあるので、リボルバーだから不利と思わせないのがイイ。「銃では撃たない、目で撃つ」などのガンスリンガーの信念の詠唱もシブいし、「お前の武器は輝き、俺は銃だ」という台詞にもシビれます。イドリス・エルバのスタイルの良さとセクシーな視線も観る者を撃ち抜いてきますよ。塔を守る者と言いつつ実際に塔を守って戦ったりはしてないのはなんですが(序盤がそうだったのかな?)、中間世界から根本世界へきてのコーラをシュガーと言って気に入るというカルチャーギャップなどは微笑ましいです。

対するウォルターは魔術師で、次元間をポートで移動し、言葉だけで人を操るヤバいヤツ。やたら襟元をはだけてたり喋る距離が近かったりするエロさもヤバい。飛んできた銃弾を瞬時に掴む無敵さがあり、ローランドが撃ったガラスの破片を即座に操る力があります。ぶっちゃけどこまで何ができる能力があるのか、なんのために世界を壊そうとしているのかはよくわかりませんが、そこはマコノヒー兄貴の溢れ出すセクシーオーラでどうでもよくなります。いやマジで。自分はジェイクを捕らえようとしてるのに、ジェイクを信じなかった母親に「恥を知れ」と言う棚の上げ方もなんかスゴい。という具合でローランドとウォルター、共にワイルド&セクシーの権化という感じで、このキャスティングだけで十分成り立ってるような錯覚さえ覚えます。

ジェイクは絵を取られていじめっ子に泣き寝入りかと思ったら速攻ブン殴るというのが最高です。目つきがなかなか鋭いので周囲からヤバいと思われるのもまあわかるというバランス。ポートの向こうに別世界が現れるシーンでは一緒にワクワクしちゃいます。ただそこで試しに投げ込むのが自分の靴というのはどうなんだと思いますけどね。その後ちゃんと見つけるからいいけど。あとジェイクとよく話している少年が友達なのか義父の連れ子なのか立ち位置がよくわからないのもちょっと気になります。中間世界についてもほとんど説明がなくて、あの村人たちが何者なのかはよくわかりません。夢と現実の境目の住人ってことでしょうか、夢の読み人とか出てくるし。ちなみにその夢の読み人アラは『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』のチョ博士ことクラウディア・キムですね。イイですね。イイです(何がだ)。

他にも色々とわからないことだらけ。そもそもダークタワーとは何なのか、多元宇宙の中心にあって闇と炎から世界を守っているとは言うものの、なんで搭なの?とか攻撃されても復活するの?など疑問は山ほどあります。世界の外側から襲いくる外敵として突然化け物が出てきて戦ったりもしますが、わざわざジェイクの父親に化けたりして何がしたいのか?人間の皮を被った異形の部下たちは何なのか?なども謎。原作を読めばわかるのでしょうが、この辺りは説明し出すと長そうだし、何となく察して、みたいな感じで切り上げている印象です。そこを描写不足と捉えるか、余白を残していると捉えるかで評価はわかれるところでしょう。個人的には謎めいた感じで終わらせるのは嫌いではないですけどね。あと原作は他のキング作品の要素が随所に出てくるキング・ユニバースになってるらしいんですが、そこは映画版で反映されてたんですかね?いまいちわかりませんでした。

そんなわからなさが目立つなか、そのぶんクローズアップされるのが父と子の関係です。義父と折り合いが悪いジェイクがローランドと育む疑似的な親子関係。二人並んで詠唱しながら銃の練習をするシーンなどは実にじんわりして良いし、そのローランドも父親から後を託されて孤独に戦っていたわけです。ウォルターの幻術を受けないローランドと、それに打ち勝つ「輝き」を持つジェイク、二人が互いに助け合い道を進んでいく展開は、もう少しエピソードを重ねて深く描いても良かったとは思うものの、父と子の姿としてなかなか良いものです。そこにローランドとウォルターの因縁が絡み、捕らわれたジェイクを巡って戦う二人による怒涛のアクションからの一騎打ち、というクライマックスは一気にテンション上がります。

という感じであえて(たぶん)掘り下げない作りがシンプルさという長所にはなって、親子の関係、宿命の対決という点にポイントを絞ったことでスッキリしています。逆に言えばその他の部分がわりとあっさりしているため、観終わったあと「イドリス&マコノヒーの二人がセクシーだった」以外あまり印象に残らないのは難点ではありますかね。それでも続編など考えずしっかり一本の映画に収めたのはやはり潔いと思うし、何より最後にローランドが「一緒にくるか」で見せる笑顔が眩しいので、概ね満足なのです。

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