2018
02.01

吹けよ風、呼べよ嵐、唸るぜ拳。『ジオストーム』感想。

Geostorm
Geostorm / 2017年 アメリカ / 監督:ディーン・デヴリン

あらすじ
嵐を起こして、すべてを壊すの。



世界各国の協力のもと、地球の天候を制御することを可能にした気象コントロール衛星の運用から3年。突如衛星が暴走を始め、世界中が異常気象や大災害に見舞われ始める。衛星の生みの親である科学者のジェイクは、原因を突き止めるため宇宙へ向かうが……。ジェラルド・バトラー主演のディザスター・パニック・アクション。

世界の天気を操る衛生が暴走、地球は大パニックで超ヤバい!というディザスターもの。しかも『インデペンデンス・デイ』やエメリッヒ版『GODZILLA ゴジラ』の製作・脚本を手がけたディーン・デヴリンの初監督作、とくれば何となく方向性も察するわけですが、いやあ期待以上に面白いじゃないですか。『デイ・アフター・トゥモロー』『2012』『イントゥ・ザ・ストーム』などの(人類が原因としても)自然に起こった異常気象ではなく、人の作ったものが直接原因というのがポイントで、なぜ衛生は暴走したのか、というサスペンスとしてのスリルが実はメイン。そのなかで人間ドラマやアクションでも魅せるので、軽くはあっても薄っぺらくはないです。もちろんディザスターシーンは(予告で色々見せちゃってはいるもののそれ以外にも)スゴいのあるし、精緻な映像でこれでもかとブッ壊す出し惜しみのなさが良いです。そもそも地球をネット状に覆う気象コントロール衛生の、理屈はわかるけどちょっとバカっぽい感じ、イイですねえ。

主人公ジェイクを演じるは『エンド・オブ・キングダム』『キング・オブ・エジプト』のジェラルド・バトラー、数々の作品で「解決方法:腕力」を見せてきた彼が、なんと科学者役。最初は耳を疑うんですが、でも巨大プロジェクトをまとめる豪腕リーダーとしては意外と合ってると思います。宇宙で頑張ります。ジェイクの弟で上司となるマックス役は『クラウド アトラス』のジム・スタージェス。兄貴と全く似てませんが地球で頑張ります。その恋人サラ役の『エンジェル ウォーズ』『ロボコップ(2014)』アビー・コーニッシュ、そのクールビューティっぷりが最高です。娘のハンナちゃんは『アナベル 死霊人形の誕生』のタリタ・ベイトマン、可愛いです。そしてエド・ハリスにアンディ・ガルシアというキャスティングも嬉しいところ。

天候を操るという点では『アベンジャーズ』(MCUではなくユマ・サーマンとレイフ・ファインズ主演のほう)を思い出すんですが、テイストはむしろ『アルマゲドン』とか『インデペンデンス・デイ』寄り。『ゼロ・グラビティ』を彷彿とさせるシーンもあったりして結構なごった煮です。ディザスターシーンはもうちょっとあってもよいかな?とも思いますが、バランスは悪くないですね。真面目に観るとアレですが、色々とハデで楽しいし、細かい描写に工夫が見られて面白いです。科学者という役柄ながらジェラルド・バトラー力もたっぷりあるので安心!

↓以下、ネタバレ含む。








映像的には観たいものを見せてくれて文句なしじゃないですかね。インドで巨大竜巻が何本も現れるとか、東京が雹の塊に襲われるとか、アメリカで雷がガンガン降ってくるとか、いちいちスゴいスペクタクル。特にリオの寒波、海水浴場で波が瞬時に凍っていくのも飛行機まで凍って落ちてくるのも凄まじい。そりゃ彼氏も凍りますよ。その彼女が絶体絶命のところで助かったり、インドの少年と犬が探し合ったりと、ちょっとしたドラマを入れてるのが絶望的な状況を描くなかで良いアクセントになってます。兵士が凍った人の手を触ったらポッキリ折れちゃって「やべえ」という顔をするのは結構取り返しつかない感がありますよ。ただいくら何でも寒くできすぎでは?とか、ロシアのアレが熱波というかもはやビームだったりとか、気象コントロール衛星「ダッチボーイ」のポテンシャルがあまりに高すぎて震えます。色々と科学的根拠は薄そうなのでそこが気になる人には厳しいかもしれませんが、まあいいじゃないですか。ダッチボーイというネーミングの理由も良いです。

構成としてはそんなディザスターシーンと、ジェイクのシーン、マックスのシーンに分かれており、この大災害の迫力、宇宙での脱出劇、地上での陰謀劇というそれぞれの見せ場がわりとちゃんとしてると言うか、多少の都合のよさ(多少?)はあっても齟齬はないんですよ。そしてダッチボーイのスクリーンが示す場所と被害を受ける地域、その災害のなか黒幕を探したり大統領を守ったりするマックス、マックス側の進展を受けつつダッチボーイの不備を探すジェイクと、三つの舞台がわりと有機的に結合してるのであまり散らかった印象がない、というのが意外と良いです。さらに単なる故障ではないというサスペンス、黒幕の手先との追いつ追われつのアクション、宇宙空間からの帰還というSF感などジャンルをまたいだ感じがサービス満点。宇宙ステーションや衛星の造形などメカニカルなデザインも悪くなくて、携帯端末としてみんな持ってるのがスマホじゃなくてペン型のホロフレームというところに独自性を出そうという意欲も感じます。

陰謀ネタはそこまで驚きではないけど、宇宙規模なのでワクワクします。大統領を犯人扱いはさすがに飛躍しすぎですがロジカルに詰めた結果ではあるし、そもそも仰々しさ満点のダッチボーイが存在するのは既に地球の気象が狂っていたからで、地球の存亡に関わるから大統領しか停止できない、というのも理屈は通ります。暴走の原因がウィルスであるというのは一部しかアクセスできないバックドアが使われたから混入したわけでセキュリティ的にはザルなわけではないし、それが大統領を疑う理由にもなっていたりもします。ダッチボーイに自爆装置なんかが付いてるのも地球への落下を防ぐため、というのが理にかなってるし、わりと細部まで考えられてると思いますよ(こじつけと言われれば否定はできませんが……)。まあ本当の黒幕がデッコムというのは予想は付くし、この騒動をきっかけに大統領になろうとするのはちょっと無理も感じるし、そもそも大統領が死んだらどうやってダッチボーイ止めるんだ、とは思いますが、そこはいいです。ご愛嬌です。

有能な兄が失脚し、代わりに有能な弟が仕切るようになり気まずい、というジェイクとマックスの兄弟の関係はちょっと珍しい。ここに「父親が釣りに」という暗合を用いて会話したり、トラブル解決にあたることで関係性を取り戻すのもベタながら良いです。またマックスが技術系で、彼女のサラの方が銃撃やカーチェイス、というカップルの分担はちょっと新鮮。車を操りながら相手を撃ちまくるアビー・コーニッシュの姿にはシビれます。そりゃ大統領も「結婚しろ」って言いますよ。マックスが調査を依頼する女性デイナがこっそり「彼女可愛い」とか言うのも愉快。そしていざというときはちゃんと腕力で解決するジェラルド・バトラー!てっきり死亡ラストかと思ったら生き残っちゃうので後味も悪くないぞ!兄弟揃ってブン殴ってケリをつけるというのも期待に応えてくれます。

何より大規模災害が融合してとんでもない事態になるという「ジオストーム」というのが、「なんかよくわかんないけどとにかくスゴそう」というハッタリが効いてるので、最後のカウントダウン・サスペンスまで盛り上がりますね。まあ誰も見たことがない上にコントロール不能な災害まであと何分と正確にわかるのは不思議ですが……。というわけで、一見バカ映画ながら(と言うかぶっちゃけそうなんだけど)それを期待して観れば、意外とよく練られて見応えも十分な娯楽作。満足です。

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