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2018
01.28

新たなるパイルダー・オン!『マジンガーZ INFINITY』感想。

MazingerZ_infinity
2018年 日本 / 監督:志水淳児

あらすじ
ゼェェェェェッット!



かつて悪の科学者ドクターヘル率いる地下帝国から人類を救った兜甲児とスーパーロボット・マジンガーZ。あれから10年、科学者となった甲児は富士山の地中で発見された謎の巨大構造物に驚く。ときを同じくして、アメリカや日本に再び機械獣が姿を現す……。永井豪原作、巨大ロボットアニメの元祖となった『マジンガーZ』を30年以上の時を経て劇場アニメ化。

『マジンガーZ』が放送されたのが72~74年とのことなのでもう40年以上前ですか。派生作品は色々あるかと思いますが、本作はなんとそのオリジナルの10年後を描く続編なんですね。直接コミックやアニメを知らなくてもゲームの「スーパーロボット大戦」あたりでなじみのある人も多いであろうマジンガーZですが、物語はドクターヘルの野望を砕いてから10年、世界は光子力エネルギーにより栄え、兜甲児は弓さやかが所長となった光子力研究所の科学者に、マジンガーZは博物館に飾られている世界で始まります。そこに完全に姿を消したと思われていた機械獣が再び現れ、世界の危機が訪れることに。

オリジナルに比べると、さすがに現代的設定が多く取り込まれています。加えてより科学的な論拠が付与され、それがSFとしてちょっと新しい世界観になってるんですね。そのために少々理屈っぽくなってる感もあるんですが、組合せとしてはギリギリあり。なにより巨大ロボットが戦う迫力を突き詰め、それを大盤振る舞いすることでの気持ちよさには素直にアガります。細部の描写もリアルにアップデートされていて超カッコいい。あのロボやこのロボも登場するぞ。あと3Dプリンターってすげーな!というのに面食らいます。

兜甲児役の森久保祥太郎が技名叫ぶ声が、結構オリジナルに近いのがイイ。と思ったらテレビアニメ版の甲児役、石丸博也(ジャッキー)も統合司令官役で出てるじゃないですか!しかも主題歌はアニメ版同様、水木一郎アニキ!とオールドファンへの目配せも抜かりありません。人類の弱点とか世界征服の意味とか多元宇宙の使い方とか面白いし、ついでにラーメンを美味そうに見せようというこだわりもスゴいです。懐かしさと新しさが共存したバランスや、現代に甦らせた意味なども良い。いやあ面白かったですよ。

↓以下、ネタバレ含む。








いきなりグレートマジンガー&剣鉄也の登場で爆アガり!大量の敵を怒濤の攻撃で一掃していく姿はいきなりのクライマックスでスゴい熱量。技名を叫んでいちいち「承認」印が表示されるところに「おや?」と思いますが、グレートと鉄也はアメリカで軍の所属となったため、周囲に影響を与える強力な武器は使えないことがあるんですね。音声認識で承認可否を求め技が発動されるというシステムなんでしょうか。なんだか窮屈さを感じますが、戦闘獣との戦いを終えたスーパーロボットは大量破壊兵器と見なされ管理されているというのが伺えます。マジンガーZに至ってはアフロダイAらと共に博物館で展示されている、ということは既に過去の遺物なんですね。代わりにマジンガーの量産機らしいロボット部隊が働いています。10年の歳月で世間はどう変化したか、光子力が実生活にどういう影響を与えたか、といったあたりはちゃんと詰めた上で作られてる感じがします。

そして10年経ってキャラを取り巻く環境も色々と変わっており、そこに続編ならではという要素を絡めてきます。甲児の弟シローはロボットのパイロットに、炎ジュンは鉄也との子を妊娠中、というあたりは順当なところですが、科学者になった兜甲児が機械獣撃退作戦にかつての英雄として祭り上げられて、失敗すれば非難を浴びたりするとか、弓さやかは光子力研究所所長としてのしがらみがあったりとか、弓博士はなんと総理大臣になってて士気を上げるため甲児を戦地へ送ったりとか、色々と世知辛い展開があるのがちょっと雰囲気違ったりはします。でも過去の懐かしさをそのまま出すだけだとさすがに古いし今やる意味がないので、その辺りは上手いこと練られてるんじゃないでしょうか。そのなかで昔と変わらぬ空気感を出すボスと仲間たちにはホッとします。いやボスラーメン超美味そう。麺を美しく寝かせてる描写にこだわりを感じます。

マジンガーがインフィニティに溶かされてしまうのには驚きますが、新たなマジンガーを3Dプリンターでこさえるというのにはもっと驚き。大胆ですが、その開き直りは嫌いじゃないですよ、テンポも崩れないし。それにオリジナル同様プールの水を割って現れるマジンガーZにはテンション爆アガりだし、パイルダー・オンのシーンはカッコよすぎて泣けます。全ての武器を技名叫びながら惜しげもなく使うのが景気よいし、同じ技を二度三度と重ねてくるのが総力戦な感じで熱い。ブレストファイヤーが細かい発熱板の集合から放たれるとか、ロケットパンチが戻るときは指先からもジェット噴射しているとか、ジェットスクランダーの連結部分がリアルになってるとか、ディティールを緻密に描くことでレトロなデザインであるマジンガーにメカとしての説得力を持たせてるのがたまらんです。

でもボスボロットはそのまんまなんですけどね。あんなふにゃふにゃした足でよく走れるな!ボロットのギャグっぽさは非常に懐かしいですが、現実離れしすぎてる感じもしなくもないです。ただインフィニティだってあの巨大さは十分現実離れしてるし(サイズを富士山と比べるのがスケールデカい)、統合軍所属アイドルのマジンガールズが登場して思い切り「おっぱいミサイル」と叫ぶ恥ずかしさもあるので、トータルでのバランスは悪くないのかなと。さやかが昔のコスチュームで登場したり、やたらとガラダK7がフィーチャーされたりと、オリジナルの印象深い点を再現するサービス精神も豊富です。甲児とさやかのいまだに純愛すぎる関係を描くのはちょっとどうなのという気もしましたが、これが終盤でリサとの関係を描くときに効いてくるし、ジュンの出産を描くことで「家族を作る」という観点がより際立つので、中盤のドラマ部分も無駄ではないんですよね。どうしても浮いて見えるリサの存在も、終わってみれば必要だったとわかります。

ドクターヘルが人類の弱点は「多様性」であり、それを受け入れられるほど人類は成長していないという指摘や、甲児がドクターヘルの目指す世界征服が「好奇心」だとする説などは面白いし、インフィニティがこの世界を多次元宇宙の別世界と入れ替えるという設定もブッ飛んでてイイ。地球規模の話にするにあたってそれなりの下地を用意しているのであまり薄っぺらさがないのが好ましいですよ。しかもマジンガーの活躍を世界中の人が見守っているとか、最後は皆の光子力をオラにわけてくれ!となったりとかはベタな展開ではあるものの、それにより「この世界を肯定する」と言った甲児とリサを人類全体が救うという構図になっていて、とても収まりが良いんです。そしてボロボロな姿で座り込むマジンガーZの勇姿にはちょっとくるものがありますよ。本作は単なる過去コンテンツの「再利用」ではなく、新しい視点や現代的な解釈も交えての「復活」としたところに好感が持てると思うのです。

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