2018
01.11

戦えヨガ!踊れカンフー!『カンフー・ヨガ』感想。

kungfu_yoga
功夫瑜伽 Kung Fu Yoga / 2017年 中国、インド / 監督:スタンリー・トン

あらすじ
カンフーーーーーヨーーガーー!!



中国の博物館に勤務する考古学者ジャックの元に訪ねてきた、同じく考古学者であるインドの女性アスミタ。彼女から持ちかけられた歴史的な財宝探しに協力することにしたジャックは世界中を回ることになるが、やがて何者かが彼らを狙い始める……。ジャッキー・チェン主演のアクション・アドベンチャー。

1000年前にインドで起こった争乱のなか消えた財宝を探すため、考古学者でカンフーの達人であるジャックと、ヨガの達人であるアスミタが、仲間たちと共に中国からインド、なぜかドバイやアイスランドまで駆け巡る!という『インディ・ジョーンズ』風味のアドベンチャーです。タイトルや予告から、カンフーとヨガが融合して見たことのない世界が展開するのでは!と思いますが、蓋を開ければユルい笑いとコミカルなアクションで、実にいつものジャッキー映画でした。しかも話はかなり雑。しかしオープニングのCGムービーが無駄に気合い入っていたり、財宝を求める過程の謎解きや仕掛けなどが無駄にインディ風味だったりと、偏った力の入れ具合で色々と楽しませてくれます。たとえ引っ掛かる点が多くても、ラストで全部許さざるを得ないという異様な構成も特徴です。

主人公ジャックはもちろんジャッキー・チェン。近年希に見るアクションの多さでまだまだ現役なところを披露してくれます。そんなジャッキーが若手と絡むというのが近年のパターンですが、今作でもヨガ美女アスミタ役のディシャ・パタニが魅せる軽やかな体技、ジャックの親友の息子ジョーンズ役のアーリフ・リーとのちょっとしたバディ感などでドタバタやってます。またランドルを演じるインド俳優ソーヌー・スードがどことなく憎めない敵役としてなかなかイイ味です。監督は『レッド・ブロンクス』『ファイナル・プロジェクト』などのスタンリー・トン。

いやーこれはね、なかなかブッ飛んでいるのに脱力というか、どう表すべきか迷いますね。確かに宣伝も「カンフーーーヨーーガーー!」って連呼するしかないですよ。何を描いてるかと聞かれれば「カンフー・ヨガを描いてる」って答えるしかないですよ。インド映画もそれなりに観てきた身としてはそんなに驚くって感じではないんだけど、ジャッキーが楽しそうだからまあいいか、ってなります。あと久々にジャッキーの蛇拳が見られるのには興奮です。

↓以下、ネタバレ含む。








オープニングの古代インド&中国の軍勢による一大バトル絵巻は人物も含めてフルCGではありますが、大胆なカメラワークも面白いし『バーフバリ 伝説誕生』っぽい迫力もあって「おっ!」となります。中国の将軍が若い頃のジャッキーに似せてるように見えるので、最後に吹雪のなか割れそうな氷を渡るところで「氷が割れて落ちて氷漬けになったジャッキーが現代に甦るに違いない」という『キャプテン・アメリカ』『アイスマン』的展開かと思いましたが、全然違いました。普通に現代の考古学者でした。

期待したようなインドっぽさというのは実際はそんなになくて、アスミタさんのヨガポーズとか、インドの建物とか、あとは仏教はインドから伝わったというのが随所に出てきたり、天竺が出てきたり、それくらいですか。あとはほぼインディ風味のアドベンチャーとして話が進みます。そうなるとジャッキーがトレジャーハンターとして活躍する『プロジェクト・イーグル』『ライジング・ドラゴン』などの「アジアの鷹」シリーズがあるわけですが、本作はもっとあからさまにインディに寄せてますね。お宝探して世界中を飛び回るのはもちろん、序盤に女生徒がまぶたに文字を書いたのを見せるとか、杖の先に宝石を付けて光を当てると何か起こるとか、まんま『レイダース 失われたアーク』で笑います。というか「インディ・ジョーンズ好き」って思い切り言っちゃいますからね。仲間の名前がジョーンズというのもマジかって感じですが、ジャッキー映画はわりといつもキャラ名適当なのでまあいいか。

アクションはわりとてんこ盛りで、身軽な女性をぶん回して蹴りを入れるなどのトリッキーな立ち回りや、小道具を使った軽妙な戦いなどがジャッキーだなあと。インドの行者の杖を使うなど一応インド風味もありますね。ただ手ブレ映像なうえにカット割りが細かいので見にくいのがネック。あと最近の作品のなかではかなり動いてる方なジャッキーですが、同じインディ風味でも「アジアの鷹」を描く『サンダーアーム 龍兄虎弟』『プロジェクト・イーグル』と比べるとさすがに全盛期の体を張ったエキサイティングさがないのが目立ってしまいます。これはしょうがないことだし、今あんな命懸けなアクションされたら安心して観てられませんが……まあ作風的にもちょうどいいアクションと言えるでしょうね。しかしそんななかランドルさんが見せる「宙を舞う車からスルッと降りて着地」という無駄にハイレベルで無駄にスマートなシーンが無駄にカッコよくて驚愕です。この「無駄に」というのが本作のコンセプトなんじゃないかと思えてきますよ。

お話はかなりとっちらかった感じで、何かしてはそれを放って次のシーンへ進むという連続。一体何をしようとしてたんだっけ?とよくわからなくなってきます。突然食事を作ったり木人樁を打ち始めるジャッキーには「博士にいいとこ見せたいのか?」と思うもののその後特に粉をかけたりもしないし、博士が実は王女でありダイヤを奪い去っていくものの、訪ねていったら普通に会えるし。車に乗ったらライオンがいるという、ペットにしては無茶すぎる展開にもブッ飛びます。ライオンの嘔吐シーンというのは映画史上初じゃないですかね?動物園の囲いのなかでキャッキャするシーンもあり、なんかやたら動物との絡みがあるので和みます。コブラ相手に蛇拳を繰り出すジャッキーには燃えますね。あと遂に見つけたお宝が黄金じゃなく木簡で「知識や知恵を記したもの、これが大事だ」と言っててなるほどーと思った直後、その大事なはずの木簡で相手を殴るという暴挙。お宝の概念を覆す展開に唖然とします。

あと場面の転換が不自然すぎるとか、最後は財宝が隠されていた場所に普通に人々が拝みにきたりして、ジャッキー一行の徒労感がハンパじゃないです。そのため「なんだこれは……」とこちらも徒労感を味わうことになるんですが、そんななかでのあのラストですよ。超大人数の人々が踊りまくる荘厳でカラフルで豪華絢爛なダンスシーンに、さっきまでとは違う種類の「なんだこれは!」が頭のなかでグルグル回ります。ジャッキーもグルグル踊ります。直前まで戦っていたランドルさんもにこやかに踊ります。スタッフまで総出で踊ります。インドっぽさはあまりないと言いましたが、最後の最後でインド映画全開。なんだこれは!でもまあとびきりの笑顔で踊るジャッキーがとっても楽しそうなので全部許すしかないです。ジャッキー映画でありながらNG集もないですが許します。共に古代文明を育み、人口の多さもピカイチなインドと中国という二つの大国が、現代にこんな形で異文化交流を成し得たということが喜ばしいじゃあないですか。そして観終わった後、やはりこれは「カンフー・ヨガを描いたのだ」と言うしかない、と思わされるのです。

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