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2017
12.02

その正義は皆と共に。『ジャスティス・リーグ』感想。

Justice_League
Justice League / 2017年 アメリカ / 監督:ザック・スナイダー

あらすじ
ブランチってなに!



ゴッサムシティを守るヒーロー、バットマンは、地球を襲う強大な敵の存在を察知し、これに立ち向かうために特殊な能力を持つ新たな仲間をワンダーウーマンと共に探していく。そうして見つけた超人たちの前に、地球征服を企む敵、ステッペンウルフが現れる……。DCコミックのスーパーヒーローが結集して戦うアメコミ・アクション。

ついに来ました、DCコミックのヒーローたちがチームを組んで闘うクロスオーバー作品、DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)改めDCFU(DCフィルム・ユニバース、何か呼び方変わったらしい)の中核でもある『ジャスティス・リーグ』です。前作『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』から直接続く物語として、バットマン、ワンダーウーマン、フラッシュ、アクアマン、サイボーグという超人たちが「ジャスティス・リーグ(以下JL)」として結集し、強大な力を持つ敵と戦います。言うまでもなくMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)で言えば『アベンジャーズ』に当たるものですが、上記5人のヒーロー単独作としては『ワンダーウーマン』しかまだ作られておらず、バットマンは前作があって『スーサイド・スクワッド』にもチョイ顔見せはしてますが、他はほぼ初登場(前作でチラッとは映りますが)。そんな状態でいきなり集合しちゃって大丈夫なのか、という心配はあったのですが、これがスゴく楽しい!

『マン・オブ・スティール』、そして前作とユニバースを牽引してきた監督ザック・スナイダーが身内の不幸のため突如降板。その後を継いで完成にこぎ着けたのが、なんと『アベンジャーズ』『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』監督のジョス・ウェドンという驚きの人事。そのせいか前作までのダークでシリアスとは違った空気感があります。要するにちょっと明るめ、さらに言えば軽めでもあるんですが、人物描写が浅いというわけではなく、デカい見せ場をガンガン突っ込んでの勢いがあります。何より複数キャラの登場、キャラ説明、背景説明、活躍、共闘までを実にスムーズに語るジョス・ウェドンの整理力が実に職人技。追加撮影はさほど多くもなかったらしく、ザックらしいキメ絵の数々もしっかりあってシビれるし、老若男女が楽しめる出来と言えるでしょう。

バットマンことブルース・ウェイン役のベン・アフレックは20年戦ってきた男の渋みがやはり良いです。ワンダーウーマンことダイアナ・プリンス役のガル・ガドットは凛とした強さと美しさがハマりまくってます。二人ともチームとなったことで今までと違う一面を見せてくれるのが面白い。そして新顔、フラッシュことバリー・アレン役は『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のエズラ・ミラーで、繊細ながら軽妙な役どころが実にイイ。アクアマンことアーサー・カリー役は『バレット』のジェイソン・モモア、厳つい見た目ながらちょっとカワイイところも。サイボーグことビクター・ストーン役は舞台出身のレイ・フィッシャー、苦悩しながらも自分を取り戻そうとする姿で魅せます。ほか、アルフレッド役のジェレミー・アイアンズ、ロイス・レイン役のエイミー・アダムス、マーサ役のダイアン・レイン、ヒッポリタ役のコニー・ニールセン、ゴードン役のJ・K・シモンズらも続投。

語られ足りない点や、そこはもう少しこうしてくれれば……という点もありますが、孤独ゆえに噛み合わないヒーローたちが心の底ではチームであることを望み、それが最後に形となるのが熱くて、多少の雑さも許せてしまいます。もっとダークでもよかったけど、初登場組もいるので作品のトーンとしては結局最適だろうし、DC映画で最も陽性にしたことでシリーズの幅も拡がったと言えます。チームの始まりの物語としてのまとまりも高揚感もあるし、何よりメンバー皆への好感度が高くて、こいつらもっと観てたいなーってなります。

↓以下、ネタバレ含む。








■孤独な者たち

冒頭のスーパーマンを撮ったスマホ映像、子供たちの「地球の一番いいところは?」という質問にしばし考えて、答えようとする直前で映像が切れるのが、スーパーマンがもういないことを突きつけるようで泣けてきます。そんな地球の守護者スーパーマン不在時に文字通り沸いてくるのが、前作でバットマンが見た悪夢に現れ、レックス・ルーサーの絵にも描かれていた翼の生えた異形の者たちパラデーモン、そしてそれを操り高エネルギー体であるマザーボックスを手に入れようとするステッペンウルフです。パラデーモンは数で押してくるのでそれがチーム結成の必然性を増しており、かつ人々の恐怖に反応するというのが不安に満ちた世界を映す鏡のようです。とは言え、元々はステッペンウルフに倒された普通の兵士たちであるというのはサラッと説明するにとどまり、敵役のステッペンウルフも背景や心情などは掘り下げたりされず本当にただの敵でしかないため、結果的に実にわかりやすい勧善懲悪になっています。全てにおいてヒーロー単体を凌ぐ力の持ち主なので、深みはないものの手強さはあるんですね。

そんな敵に立ち向かうため、スカウトを敢行するブルースとダイアナ。新メンバー候補は、雷に打たれて超速く動けるようになったバリー、海底人の王国アトランティスの王であるアーサー、事故で失った体を科学者の父がクリプトン人の技術で機械化したビクター。ここでポイントとなるのが、彼らが仲間になるのは何か思惑があったり正義感に駆られたり、とかではないということですね。もちろん悪事を見過ごせないというのはあるでしょうが、まわりがスローすぎて友達がいないバリー、生きてることも秘密のビクター、陸にも海にも馴染めないアーサーと、それぞれ孤独に生きてきた者たちが力を合わせることでその能力を活かせる、というのが大きいわけです。それは20年間一人ゴッサムで戦ってきたブルース、百年間殻に閉じこもっていたダイアナも同様。アルフレッドという協力者やスティーブという相棒がいても、戦うときは一人。そんなお一人様たちが似たような孤独者たちと集まって何かを成す、というのが何かイイんですよ。何と言うか、優しい視点を感じます。

それはクラークも同じで、ロイスという彼女や母親マーサがいるとは言え、尊敬にしろ畏怖にしろ強大すぎることが孤立を招き、それが前作のスーパーマン裁判にも繋がったわけです。最強であるがゆえに孤独な男が、同じように悪に立ち向かう者たちと共に戦う。若干の上から目線がなくもないですが、それでもクラークにとっては今までなかった出来事なんですよね。まあ目覚めたときは皆を殺そうとするというとんでもない寝起きの悪さを見せますが。


■手探りの共闘

あ、スーパーマン復活はネタバレになるのでここまで言いませんでした。公式などでも徹底して隠してるし。まあ当然甦るだろうとは思ってたけど、にしてもJLが蘇生させるというのは意外。前作の最後の最後で自力で復活するかのようなカットがあったのは何だったのか……マザーボックスのなんかスゴいパワーで甦った、というのはさすがにちょっと無理矢理感があるんですが、それだけブルースがクラークの死に責任を感じていたということでしょう。とは言えスーパーマンが中盤まで出てこないというのはしょうがないところではあるんですよねー。スーパーマンが一人で強すぎるのがJLのバランスを取りにくいところ。実はこの男が最大の脅威、というのが何気に恐怖で、フラッシュのスピードを目で追うところなんて怖すぎて震えますよ。ステッペンウルフが雑魚に見えますよ。

アクションは様々な見せ方をしてくれるので楽しいです。序盤の夜の街でパラデーモンと戦うアクションは、闇に紛れたりガジェット使いまくったりと実にバットマンらしいし、ワンダーウーマンのスローを駆使したキメ絵満載のテロ犯退治はザック節炸裂。人質に放ったマシンガンの銃撃を全て無にするのにはシビれます。まあね、強盗はそのまま見逃していいのかバットマン?とか、周囲何ブロックだかを吹き飛ばす爆弾の処理が雑じゃないかワンダーウーマン?とかありますけど。

誘拐された人たちの救出時はまだ集まって間もないので個々で戦うという感じですが、フラッシュがワンダーウーマンの落ちていく剣の先をちょこんと押し返したり、落ちそうになるフラッシュをバットマンが救ったりと相互補完の描写が良いです。そしてラストのステッペンウルフ戦ではスーパーマン、ワンダーウーマン、アクアマンの連携バトル炸裂。サイボーグは箱にかかりっきりだったりフラッシュは町の人を救いに行ったりして揃ってバトルという感じではないですが、それぞれに見せ場があって良いですね。あれ、バットマン何してたっけ……頑張ってた、ような気がします。


■気になる点

ただヒーロー映画として見ると、人々を大々的に救うという場面があまりないのがネック。地球を救うための戦いではあるし、ロシアの一家族にフォーカスすることで辛うじて示してはいますが、どうしても物足りなさはあります。物足りないと言えばラストバトルにスーパーマンが現れるのももう少し劇的な演出が欲しかった。アーサーがアトランティスの女性に「力を貸せ」と言ったのが特に活かされてなかったり、世界中が悲しんだスーパーマンが復活したというのに騒がれるシーンが皆無だったり、マザーボックスを分離しようとするサイボーグが何度もステッペンウルフに掴み上げられたりとちょっと雑な部分もそれなりにあります。

と言うかマザーボックス、アマゾンやアトランティスは別室で厳重に管理してるのに、人間だけ土に埋めるって保管が雑すぎるんですが。しかもスーパーマン復活のどさくさでステッペンウルフにあっさり持っていかれるのにはちょっと呆れます。あと音楽、過去のDC映画の曲をアレンジして入れるのは熱いものがありますが、ワンダーウーマン登場時のテーマ曲などはともかく、スーパーマンのジョン・ウィリアムズの方のメロディには、感激はするもののそれを流すタイミングがスーパーマンがフラッシュをブチのめそうとしてるシーンというのはどうなんだ、とは思います。


■闇の騎士、アマゾン、鋼鉄の男

でもそんな微妙な点も激しいキャラ萌えでチャラにさせてくれるんですよ。ブルースはバリーに「能力は?」と聞かれて「金持ってる」という開き直りが最高だし、企業のトップのくせにアーサーに「触手あるの?」とか「魚と話せるの?」とか友達的なコミュニケーション取るのに苦労してるのが可笑しい。クラークの死には責任を感じていたことが見てとれますが、それにしても復活したことに嬉しさを隠しきれないし、クラークの「嫌々生き返らせたのか?」に対し「そんなこと……ないけど……」って口ごもるのがカワイイです。それにしてもバットマンのビークルは大体ブッ壊れますね。今回はクモのような多脚戦闘車ナイトクローラーや、JLのために用意した輸送飛行機などが登場しますが、案の定大破です。

ダイアナはスティーブ・トレバーの名を出されてキレるようにまだ引きずっているところがせつないですが、チャットじゃなく対面で話したいと言ったり、アーサーとケンカするビクターを取りなしたり、男子たちを「大きい子供たち」呼ばわりしたりと、リーダーと言うよりおかあさんという感じ。まあ一番長く生きてますからねえ。思えば『DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団』はそれを予見していたと言えるでしょう。おかあさん!それでも微笑む顔が抜群にカワイイです。

クラークは復活時はビクターの自動防衛システムが動き出してしまうほどのバーサーカー状態。羊水に父のケビン・コスナーの写真が消えていくのが人間性の喪失を表しているかのよう。「皆が必要としている」と言うブルースに対し「お前はどうなんだ?お前は血を流すのか?(Do You Bleed?)」と前作の台詞で返すのは、意外と根に持ってたんですかね。ブルースがあとで「血が出た」って言うけど、いやそういう意味じゃないからな。そして案の定切り札がロイスというのがわかりやすい。ロイスいわく「イイ匂いがする」というのがどんな匂いか気になります。クラークはブルースの言うこと聞かずに人助けに行っちゃったり「手こずってるな」と言いつつ上空から急降下したり(ここのカットがカッコいい)と他の面子に比べてちょっと余裕かましてる感がありますが、でもそれは一人で戦ってたときには見られなかった姿であり、仲間がいるからこそ出る余裕、というのが滲み出してて良いですよ。


■超高速、機械化、海の王

バリーはコメディリリーフという感じで場を和ませてくれます。ブルースのスカウトに速攻OKするのは笑いますが、相手があのバットマンだからなのか、思考や決断も早いのか。速いだけで大丈夫?と不安になるのを「まず一人救え」というバットマンのナイス助言で何をすべきかわかってくるのも賢いですね。フラッシュの速さ表現は『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』『X-MEN:フューチャー&パスト』のクイックシルバーとはまた違って「雷光を伴う」というのが演出的に派手で面白いです。走り方もちょっと独特。また、最初にビクターを見たとき「スゴいの来た」って顔をしたりするのがカワイイし、「ドストエフスキー!」ってのがバカで良いです。

ビクターは今日になったら飛べるようになってるという日々の進化がスゴいですが、話しかけられたときにうっかり変な言語で返しちゃうというおとぼけも。アーサーと言い争ったときは「髭の人魚姫」とか言ってたのに、バトルではしっかり拾ってブン投げるという協力プレイを見せます。足を千切られたときは焦りますが、なんかすぐくっつくのは着脱式なのか?あとボックスの衝撃平気だというけど顔の地肌のところ大丈夫なの?とかありますが、まあ大丈夫だったようです。バリーがグータッチしようとしてできなかったときはまだ壁がある感じでしたが、これが最後に6人並んだときにさりげなくバリーとグータッチしてるんですよ。たまらんですね。

アーサーは全身タトゥーで強面のアウトローという感じですが、ワンダーウーマンに並ぶ身体能力があるので頼りがいがあります。大量の水を食い止めたりするのなどはさすがは海の王。飛べないくせに空中でパラデーモンを捕らえてどうするのかと思ったら、パラデーモンをサーフボード代わりにして着地するというのがイカしてます。ただラストバトルは水のない場所なのでアクアマンらしさはちょっと活かしにくいですかね。真実の縄のせいで「陸でも海でも居場所がない」とか「死にたくない」「本当は怖い」とか喋っちゃうところで一気にカワイくなるので、そのあとに凄まれたバリーも「おーこわ」みたいになってます。

あとはぼやき執事アルフレッドがいちいち良いですねー。「質問票を渡せばよかったのに、仲間になるか、はい、いいえ」とか「デート成立ですな、誰かさんには残念ですが」とか冷静に辛辣なことを言うのが最高。バットモービルに大量に寄ってきたパラデーモンを「予想外ですな」って言うのも笑います。でも仲間たちの協力を「想定外だ」と言うブルースに、アルフレッドが返す「それがチームです」には泣けるんですよねえ。泣けたと言えば、クラークと母マーサとの再会シーンには思わず涙腺を刺激されました。あとバリーの父役が『君が生きた証』のビリー・クラダップで、バリーが最後に原作やドラマ版『フラッシュ』と同様に科学捜査官の道へ進むのを聞いて息子を誇るのも良いです。あれはブルースがゴードンに口利きしたんですかね?クラークに対しては銀行から家を買い戻すどころか銀行丸ごと買っちゃうし、ブルースの金とコネを使って友情を示すという不器用さが何だか微笑ましいです。またビクターの父役が『ターミネーター2』のダイソンさんことジョー・モートンというのが、またヤバいやつ作っちゃった感があって笑います。


■結成、ジャスティス・リーグ

ステッペンウルフを退け、並んで町を見下ろすJL。やはりヒーロー勢ぞろいで並んだ絵面は最高です。「ジャスティス・リーグ」という呼称は劇中では使われてなかったと思いますが、今後は劇中世界に浸透していくのでしょう。エンドロール時に競争するクラークとバリーのように、手探りだったメンバーもだいぶ打ち解けてきたようだし(「負けたらチーム追放」言われてむっちゃブルーになるバリーが可笑しい)、ラストでシャツを開いてスーツの「S」を見せてから飛んでいくスーパーマンの姿はやはりカッコいい。冒頭で示した「Sは希望の意味」ということがここで改めて強調されるわけですが、もはや孤高のヒーローではないのだ、というのがエンディングの『Come Together』でわかるんですね。彼らの次の活躍が楽しみです。

そう言えばコミックでは本来JLの一員であるグリーンランタンの存在が削られていたのはショックでしたが、ステッペンウルフとの過去の戦いシーンにグリーンランタンのメンバーの姿がチラリと映っていたのは感激。何でも作り出せる能力がチートすぎるからか、キャラ的にバリーと少し被るからなのかはわかりませんが、まあ今回出ていたらとてもまとまらなかっただろうし、今後登場する可能性があるというので今は十分です。そしてエンドロール後に現れるのが、ジェシー・アイゼンバーグ演じるレックス・ルーサーと、『デッドプール』にも影響を与えたと言われているデスストローク(スレイド・ウィルソン)の登場、となかなかあざとい引き。今後も陽性で行くのかシリアスに戻るのかはわかりませんが、各メンバーの単独主演作も控えていることだし、上手く舵取りして面白いシリーズを続けてくれることを期待です。

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