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2017
11.24

新たなる地球の支配者。『GODZILLA 怪獣惑星』感想。

godzilla_anime_1
2017年 日本 / 監督:静野孔文、瀬下寛之

あらすじ
俺は!貴様を!



20世紀末に現れた幾多の巨大生物と、その頂点に位置する存在「ゴジラ」により滅亡の危機に襲われた人類は、地球を脱出して別惑星への移民を実行するが失敗、地球への帰還を決断する。しかし地球では長距離亜空間航行の影響で既に2万年もの歳月が流れており、未知の生態系がはびこる世界となっていた……。『ゴジラ』シリーズ初の長編アニメ映画、三部作の第1弾。

『シン・ゴジラ』に続くゴジラが特撮ではなくアニメ、というのは予想外でしたが、企画自体は『シン・ゴジラ』公開前から進んでいたようです。ストーリー原案と脚本は『魔法少女まどか☆マギカ』『PSYCHO-PASS サイコパス』の虚淵玄、しかも三部作ということで、どういう方向にいくのかと思ってましたが、なんとこれでもかのSF設定。怪獣に蹂躙された人類は、怪獣掃討に助力を申し出たエイリアンと共に対抗するも宇宙に逃げ出すことに。しかし移民先を見つけられず再び地球へと戻ってきます。地球にはあいつがいる……そう、ゴジラが!というわけで「怪獣惑星」と化した地球を取り戻すべく人類の決死の作戦が始まります。

宇宙人との共闘や宇宙怪獣の襲来やらは過去のゴジラ作品にもあったので実はそれほど突飛なわけでもないんですが、宇宙船やシャトルといったメカデザイン、時間の流れにより2万年の時間差が生じた地球というSF設定などは、実写邦画では厳しそうというのもあってアニメならでは。シンゴジの字幕量に張るかのような会話量にはそうきたかと思います。前半はちょっとばかり退屈ではありますが、両親をゴジラに殺された青年ハルオを中心とした人間たちの地球帰還、そして過去最大級のゴジラ登場からは躍動感と緊張感に溢れる怒濤の展開です。いやゴジラでかい。でかいわー。

SFとしてのクオリティは、監督が『劇場版シドニアの騎士』の静野孔文と『BLAME!』の瀬下寛之だということで安心感もあって、大胆な設定と突き詰めた空想科学が意外に怪獣映画と融合しています。でかすぎてもはや生物かも疑わしい質量にぶつける、人間の一方的な因縁の強さ、そしてそれを根こそぎ覆す強大な存在。特攻野郎の指揮により過去最大級の怪物に無謀にも立ち向かう人類に、虚淵玄テイスト爆裂。面白いです。

↓以下、ネタバレ含む。








人類は初っぱなから追い詰められています。食料は不足し、移民先の星は着陸することも叶わない。音もなく燃えていくシャトルとそれを見るハルオの絶叫。行き詰まり感から始まるわけですね。全ては怪獣に故郷を奪われ逃げ出したことに端を発しており、人類はその故郷に向き合わざるを得なくなる。奪われた故郷を取り戻すという話であり、種としての誇りを取り戻す話でもある、という点でちょっと『ホビット』を思い出したり、激しい戦闘シーンもあるので戦争映画の趣もありますね。また異星人の協力を得て強大な力に立ち向かうという点では『スター・トレック』っぽさもあります。そう言えば異星人のエクシフはヴァルカン人、ビルサルドはクリンゴンに似てるかも。

2万年の経過を実現するために宇宙に出たり、ゴジラに対抗するシャトルやパワードスーツ、空飛ぶバイクなども異星人の技術という設定でクリア、同時になんとか理論や独自の宗教感なども入れ込んで膨らませています。ゴジラシリーズらしさとしてメカゴジラの存在もあって、こちらは伏線として残してますね。また、対ゴジラ戦は無謀な人海戦術と思わせて、皮膚の下にシールドがあることを解析した上で弱点を科学的考察で探り、それに基づいた作戦を遂行するというのがSF設定と矛盾してないんですよ。生物としての有り方も考慮されてて、空想科学と呼ぶのに相応しいです。あとゴジラが体表が岩とか樹木に近そうであるとか、宇宙から飛来したのではなくあくまで地球で発生したというのが、人類への地球からの警鐘など”ではない”、何かの意味が今後出てくるかもですね。

ハルオによる犠牲を覚悟の作戦はかなり無謀だと思うし、指揮官に任命されていきなりの演説で言葉がスラスラ出てくるのもちょっとヤバい感じがしますが、そこは20年間の鬱積があるわけだし、周りが従うのもそれだけ人類が追い詰められているというのはあるのでしょう。とは言えハルオがゴジラに対し「俺は貴様を」と何度か言うように、そこには完全に個人的なこだわりがあります。むしろそのこだわりがあるから、犠牲を出してでも駆逐すべしという信念で動けるとも言えます(是非はともかく)。誘い込みのシャトルと陽動のバイクと火力のパワードスーツという総力戦は、小型ラドンみたいな翼竜の邪魔くささもあって、スリルと緊張感で実に見応えあります。正直、なぜわざわざゴジラを倒そうとするのか、地球は広いのだから他の地域に行けばいいのでは、とも思うんですが……他でも怪獣が出たとは冒頭で言ってるけどゴジラよりマシなのでは……(何か理由がありましたっけ?)。

それにしてもゴジラを人類が自らの手で殺したのは初代『ゴジラ』以来なのでは?(ちょっと自信ないけど)『シン・ゴジラ』も冷凍だから死んでるとは言えないし。とは言え、ついにゴジラを倒すという大金星を上げた人類。続編は人々が地球に落ち着いたところでまたヤツが現れるって感じなんだろうな、などと想像してエンドロールを待っていましたが、そこがやはり虚淵玄ですよ。ギリギリで勝って自軍ももうボロボロのところに、さらに巨大な元祖の方が現れるという、この絶望感と虚無感。別個体のゴジラが二体出てくるというのはシリーズ初かな?(最初をミニラと呼ぶなら別ですがさすがに抵抗が)。しかも超音波で破壊とか、尻尾は風圧だけでブッ飛びそうなのにさらに熱戦が出るとか、どうするんですかこれ。もうダメ。人類死んだ。さらばハルオ。

こんなところで終わってしまって、続編を観るなという方が無理ですよ。というわけで次作の『GODZILLA 決戦機動増殖都市』、メカゴジラも関わってきそうだし微妙に内容がわからないタイトルだしで期待が膨らみます。公開は2018年5月だそうです。半年も先だよもうダメだ人類死んだ。

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