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2017
11.22

男たちは取り戻すために戦う。『HiGH&LOW THE MOVIE 3 FINAL MISSION』感想。

HiGH&LOW_THE_MOVIE_3
2017年 日本 / 監督:久保茂昭、中茎強

あらすじ
もう拳だけじゃ解決できねえ。



スカウト集団DOUBTに勝利したSWORDのメンバーたちに対し、九龍グループは総力をあげてSWORD殲滅行動を開始。各チームは壊滅状態に追い込まれ、山王連合会リーダーのコブラも九龍に拉致されてしまう。一方琥珀たちはカジノ建設を目論む九龍と政府によるある隠蔽の事実を知る……。『HiGH&LOW』シリーズの劇場版第3弾。

「EXILE TRIBE」によるエンターテインメントプロジェクト『HiGH&LOW』。前作『HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY』からわずか3ヶ月で公開となるこの劇場版3作目にて、ついに最終章となります。廃駅でのDOUBTらとの抗争に勝ち、直後に現れた九龍会・善信に宣戦布告をかましたSWORD。しかし本気になった九龍のプロ極道的強行策に各チームは壊滅状態、復活したカジノ構想によりSWORD地区は解体の危機。強大な権力と暴力に対し、SWORDの最後の戦いが始まる!前作があまりに面白かったため今作もかなり期待して観ましたよ。今作は彼らのドラマをどう収束し、最終章としてどう終息させるかがキモになります。

前作とほぼ同時に撮っていただけに細かいツッコみ箇所などの作りは変わらずですが、キャラは前作で出揃っているので、キャラ立ちと関係性による話の展開というよりはお話を追っていく印象が強いです。しかも前半は九龍に追い詰められていくSWORD、というかなりの鬱展開が続いてなかなか弾けた感じにならず、さらには大きな喪失をまで抱えることになるのでツラい……。それでもそんな付きまとう不安を払拭するかのような熱さは健在。またアクションのスゴさは今作でも期待に応えてくれます。EXILE組を始めとした身体能力を活かしたスピーディーでときにアクロバティックな動きの数々、一方で九龍の組織だった裏工作や数に物言わせた出入りなどがあり、死闘が繰り広げられます。ただちょっとカメラワークがなー……

登場しまくった人物と広げまくったお話が上手く収束しているかというと微妙です。前作が特別すぎたというのはあるにしろ、良かった点が減ったせいでダメだった点が目立って見えるのは残念。でも最高なところは最高なんですよ!勢揃いシーンなどは激アツ。何だかんだで楽しみました。

↓以下、ネタバレ含む。








もう拳だけじゃ解決できない、というのが勝ちめのない戦いという絶望感として浸透していきます。ラスカルズの店は文字通り潰され、鬼邪高は火に包まれ、達磨のヤサも破壊される。九龍の言う「大人のケンカ」はケンカと言うレベルではない暴力そのものであり、かつ権力とコネを使って都合の悪いものは隠蔽できるというもの。その隠蔽したものを白日の元に晒すのがSWORDの戦いになるんですが、国家権力まで関わると当然拳じゃ解決できないわけです。まあ拳は使いますけど。でもそれだけでは足りない、ということで、入手した環境汚染問題隠蔽の証拠を世間に知らしめれば九龍を潰せる、となるんですが、これって前作のUSBを環境汚染に変えて同じ事を繰り返してるだけなんですよね。しかもまたカジノ構想で引っ張る。いくらお話は二の次とは言えもう少し工夫が欲しかったところです。

アクションはやってること自体はとても良いんですが、なんでこんなに手ブレ映像に変えちゃったのか。せっかくのワンカット長回しもそのせいでダイナミックさに欠けて非常にもったいない。あとやたらアップが多いんですが、九世会長や飛田大臣までどアップにする必要あるかな?(でも大臣が超ニコニコしてるのは何か面白い)九龍会の面々は武闘派や掃除屋や金に物言わすヤツなど個性的だったのでそこはもう少し掘り下げてほしかったですが、最後はなんか分裂したりしてぼんやり終わってしまいました。これなら九龍じゃなく五龍くらいでもよかったのかも。九十九やダンの爆弾処理がわざわざセレモニーのカウントダウンとクロスさせてるのに結局コードを切らないとか、広斗が撃たれた!と思ったら西郷が庇ってたとか、色々とわかりにくいです。あと障害に遭遇したときの表現が普通に舌打ち、しかもそれが二回もあるのは演出としてダメだと思います。

キャラ同士の絡みもいまひとつ希薄。コブラが町を守りたい気持ちが強いのはわかるけど、一人暴走するのがちょっと不自然で、捕まるピンチを描くためにしか見えないです。危うく『新しき世界』なみに生コン飲まされるところですよ(撮影ではゴマ豆腐を使ったらしいので安心)。これを助けるのがなぜか琥珀たちというのも繋がりがよくわかりません。スモーキーの死はそこに至るまでの泣かせようとするくどい演出が1作目のラストみたいでかえって冷めるし、スモーキーの死がSWORDをまとめる起爆剤になる、というところまで行ってなくて、そこはむしろもっと描いてくれないと、いやスモーキー死なす必要ないのでは?と思っちゃうんですよ(それだけの喪失感ということです)。散々コブラを否定して去ったダンたちが戻るくだりもやたらあっさりで、山王連合会のもっと劇的な復活を期待しただけに寂しい。

何とか全員の見せ場を作ろうとはしてるんでしょうが、広げすぎた風呂敷を畳みきれず雑にまとめた感じ。大人のケンカに縛られ過ぎましたかね。ラスカルズは前作で目立ったぶん出番が減るのはしょうがないとして、達磨も鬼邪高もちょっと暴れ足りないです。マイティやジェシーなどはほぼ蛇足扱い。でもねえ、やはり最高なところは最高なんですよ。中盤のSWORD勢揃いのところは最高に滾るし、ラスカルズがルードの盾になるのは熱いし、源治vs雨宮兄弟のバトルはエキサイティングだし、日向の乗る車はとうとう片輪走行になってるし。あと琥珀さんは「不味そうなスムージーだな」(琥珀さんのユーモア!)とか「国を思うなら逃げ隠れせず正しく生きろ」(??)など相変わらずとんちんかんなこと言ってて最高でした。琥珀さんがロッキーを「むつき」と本名で呼んでて、たぶん「六木」なんでしょう、ああだからロッキーっていうのか、とちょっと感動。西郷が実はモグラ(潜入捜査官)だったというのは、大人のケンカを正義の側から裁く大人がいるということで、これはイイですね。

というわけでなんだか文句が多くなってしまいましたが、汚染問題を公開してカジノ計画は潰したし、達磨の花火も盛大に上がったし、村山は免許取るとか言ってるし(でも筆記がヤバい)、大団円。結局は楽しかったのでシリーズ終結は寂しいですよ。……と思いきや、マイティの不穏な動きや分離した九龍の動向、劉が九世会長の息子だという事実、そしてジェシーを刑務所から出した謎の存在バルジの計画など、どう見てもまだ続きをやりそうな様子。まだまだハイローの世界からは目が離せないようです。

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