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2017
11.01

正義の味方は予算の敵。『DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団』感想。

takanotsume_dc
2017年 日本 / 監督:FROGMAN

あらすじ
たーかーのーつーめー!(世界進出)



相も変わらず貧乏暮らしの秘密結社・鷹の爪団。しかしそんななか、スーパーヴィランのジョーカーらが鷹の爪団の秘密兵器を奪おうと東京にやってくる。鷹の爪団はジョーカーたちを追って来たジャスティス・リーグのスーパーヒーローたちと手を組むが、しかしそこにはバットマンの姿がなかった……。日本のFlashアニメ『秘密結社 鷹の爪』がDCコミックスのヒーローたちとコラボレーションしたアニメ映画。

世界征服を企むものの失敗ばかりの秘密結社「鷹の爪団」で、リーダーである総統や戦闘主任の吉田くん、天才レオナルド博士(クマ)といった面子が脱力ギャグを繰り広げる、FROGMANのFlashアニメ『秘密結社 鷹の爪』。映画版も何本も作られており、今作はその最新版です。短編は何本か観てて長編は今回初体験なんですが、あろうことかスーパーマンやバットマンといった世界的に有名なDCエンターテイメントのヒーローたちと共演という驚きの展開。何かの冗談か、あるいはパロディか?版権大丈夫?などと思っていたら、これワーナーから直接オファーのあった正式なコラボなんですね。スゴいな!

物語はヴィランたちが鷹の爪団のレオナルド博士の作った秘密兵器を手に入れ、それで映画を作って世界侵略しようというもの。……何か途中「?」なことが入ってますが、まあともかくそれを阻止しようとジャスティス・リーグの面々も来日して鷹の爪団に接触してきます。そして繰り広げられるヒーローvsヴィランの壮絶な戦い!

と言いたいところですがそこは『鷹の爪』、終始シュールな笑いでお茶を濁し、さすがのヒーローたちも翻弄されまくりです。最も目立つのが、常に画面右端に表示される作品の予算を示すバジェットゲージで、これが減るとクオリティがどんどん下がり最後は映画が終わってしまうという独自システム。カッコいいアクションシーンが入るとバジェットゲージがスゴい勢いで減るので「ああっ終わっちゃうー!」と余計なところでスリリングです。鷹の爪団とは違ってリアルな絵柄のヒーローたちも、予算状況によっては作画が大変なことに!いやあ面白いなー。

声の出演としてバットマン役に山田孝之、ハーレイ・クイン役に元「KARA」の知英、ジョーカー役に安田顕、ほか有名声優陣がそろっていて豪華。DCと言えばどちらかと言えばダークな世界観ですが、そこから地続き感はありながらもポップで楽しいです。かつヒーローものとしても(一応)観れるし、『ジャスティス・リーグ』本編前の肩慣らしにももってこいですよ。果たして総統と吉田くんは莫大な金のかかる面子を相手に予算をキープできるのか!って世知辛いな!

↓以下、ネタバレ含む。








いやあ本当にジャスティス・リーグの皆さん出てますね。スーパーマン、ワンダーウーマン、フラッシュ、アクアマン、サイボーグ。特にアクアマンとサイボーグは『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』でもちょろっと映るだけで台詞もないので、これがほぼ映画初出演と言ってもいいのでは!それでいてアクアマンなどは「サバ夫」呼ばわりされててもうサバ夫という名前しか浮かんでこないぞ。そして両親を殺されたという本来の設定はちゃんと活かされているのに、引きこもって児童アニメを作るバットマン、斜め上にひねくれています。そこに時間改変SFの要素も入ってくるのがある意味スゴい。あと『ワンダーウーマン』では凛々しく美しかったダイアナが、おかあさん呼ばわりされたり"今どきメイク"で超キュートになるギャップで萌えたりと違う意味でも大活躍。

ヴィランの方もジョーカーが変なこと言い出すし、ハーレイ・クインは水回りにこだわるし、『スーサイド・スクワッド』とはずいぶん違う……いや、意外と違わないのか?ぼやくペンギンが資金提供と使い走りで気の毒です。テラスハウスなアジト(と言うかアジトがテラスハウス)の住人たちが悪に染まってしまうのでは、と思いきや、巨大化する青年・春樹(誰だよ)というこれまた斜め上で、かつ怪獣映画的(と言えなくもない)展開。ただでさえウザい春樹が600m春樹になって超ウザいです。ちなみに観てる間は気付きませんでしたが「シン入社員」だそうです。あとDXファイターがクズのなかのクズという姿を見せるのがある意味清々しい。しかしDXファイターは鷹の爪団とジャスティス・リーグ、ヴィランたちを繋ぐという重要な役割を担っているので結構重要ですね、クズだけど。

それにしても本作を観ると、デカいことをやるには金がかかるな、というのを実感できますね。よもや冒頭の題字とタイトルコールだけでそこまで出費がかさむとは……。アニメ制作会社GONZOによる美麗アニメパートでのヒーロー・アクションは超カッコよくてアガるし、VFXスタジオの白組による3Gアニメパートなどはバットモービルがロボットに変形するという日本的アプローチまで出て最高ですが、バジェットゲージがものすごい勢いで減っていくので気が気じゃないですよ。そりゃスポンサー社長様を活躍させて気持ちよくさせないと。まあ吉田母のカポエイラと吉田ジャスティス・リーグがいれば勝てたんじゃないかとも思いますが。

しかしそんな金にまみれた物語も、根底にあるのは正義の心。世界を救ったジャスティス・リーグと鷹の爪団、というところでヒーロー映画にはなっているわけですが、あれだけ「金があれば」と言っていた総統が、バッツの資金提供に対し「そんな金があるなら」と、最後に見せる矜持。これが予想外にカッコよくてグッときます。ついでに社会の荒波にもまれる若者のドラマも描き、臆面もなく『君の名は。』ネタまでブチ込み、『ジャスティス・リーグ』本編の壮大な予告編としても機能させつつ、ちゃんと『鷹の爪』にもなっている、というのが上手いです。そして冒頭で宣言したように最後にしっかりテーマをまとめる抜かりのなさ。「予算は計画的に」……お金は大事ですね。

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