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2017
10.24

人形は傀儡を求める。『アナベル 死霊人形の誕生』感想。

Annabelle_Creation
Annabelle: Creation / 2017年 アメリカ / 監督:デヴィッド・F・サンドバーグ

あらすじ
ナンバリング:1。



6人の少女とシスターが孤児院の代わりに新たに暮らすことになった、とある夫婦の家。新しい生活に期待膨らむ少女たちだったが、すぐに不可解な現象が彼女たちを襲いはじめる。やがて脚の不自由な少女ジャニスは、鍵がかかっているはずのドアから入った部屋のなかで、ある人形を見つけるが……。『ライト/オフ』デヴィッド・F・サンドバーグ監督による、『アナベル 死霊館の人形』の続編となるホラー。

ジェームズ・ワンによる2013年『死霊館』で登場したアナベル人形、そのスピンオフ第2弾では、呪いの人形誕生の秘密が描かれます。とある人形師により作られたアナベル人形。その人形師の家を受け入れ先として、閉鎖された孤児院から6人の少女とシスターがやって来ます。表情の少ない夫と寝たきりで姿を見せない妻というどことなく不気味な住人と、何となく不吉な家。新たな環境に最初ははしゃいでいた少女たちも、やがてその家に巣食う怪異に襲われ始めます。びっくらかしが多い系のホラーながら、これが舞台の家に来た初日から即ヤバさ全開だし、細かい脅かしをガンガン入れてくるしで心休まる暇がないんですよ。こえーよ。

あらぬ方向からカリカリ音が聞こえてきたり急に走ってくる足音が迫ってきたり音使いが怖いし、ドールハウスや階段のリフト、レコードなどの小道具も怖い。夜だけじゃなく昼でも怖いというのが容赦ないです。何よりアナベル人形の顔が怖い。物語の中心となる少女ジャニス役、タリタ・ベイトマンが可愛らしくて良いんですが、あまりに恐怖にさらされるのが可哀想すぎてちょっとツラいです。ほか『007 スペクター』のステファニー・シグマンや 『ロード・オブ・ザ・リング』ミランダ・オットーらが出演。

序盤にワンカットで家の間取りを示したり、闇がとことん暗かったり、という『死霊館』らしさがありつつ、電気の明滅には同監督作の『ライト/オフ』を思い出したりもします。原題の「Creation」が示すように、いかにしてこの呪いの人形が創られ、作られたか、そこには悲しき過去とアレが絡んでいるのです。

↓以下、ネタバレ含む。








序盤で少女が車にはねられる瞬間、からの落下する人形、教会の上空から急降下して人物に合わせるカメラワークなどはフレッシュ。恐怖シーンも様々な工夫が見られます。アナベル人形の今にも動き出しそうだけど動かない緊張感とか、夫人の顔が半分仮面で覆われている不気味さなどは序の口として、二段ベッドの上にいるときに下に何かがやってきて潜んでる、というのはイヤですねー(でもそのまま寝ちゃうという)。とり憑かれたジャニスが闇に引くと眼の光だけが残り、それが徐々に上がっていくというのもビビります。真っ二つで打ち付けられた夫人の死体というモロな残虐シーンとか、手動エレベーターで降りた先の謎の十字架部屋で襲ってくる"てけてけ"も怖い(つーか何なのあれ?)。正直新鮮さには欠けるところもありますが、それを補って余りある恐ろし表現の釣瓶打ちで飽きさせません。

少女たちの下二人、ジャニスとリンダの関係性が微笑ましくて、横になったジャニスがリンダに話す「ずっと一緒よ」みたいな会話や互いの人形の交換などは二人の仲の良さが感じられて和みます。ジャニスを気にかけながらも子供だから遊びにいっちゃうリンダという、無邪気さのなかの微かな残酷さもバランスいいです。それだけに、ただでさえポリオ(小児麻痺)にかかって片足不自由なジャニスが散々標的にされるのがかわいそすぎて……理不尽ホラー全開という感じです。上の二人、キャロルは若干アバズレ感があったり、ナンシーはかなりビビりだったりという描きわけですね。二人がシーツ被ってるときに夫人の足音が近付いてくるのも恐怖。ただ上二人と下二人の間にいる真ん中二人の少女が描ききれてないというのは残念なところ。

色んなところで描写不足というか不可解な点もあります。ジャニスの乗ったリフトが勝手に動いたときなぜまずベルトを外そうとしないのか、人形捨てるだけなのになぜ井戸の蓋を全開にするのか、キャロルの最期がよくわからない、と言うか電球素手で触ったら熱いのでは、などなど。まあパニクってるんだろうからいいんですけど。あと霊というより悪魔の仕業、というのはシリーズ通してのことなのでいいんですが、キャロルとリンダが同時に襲われるということは複数の悪魔がいたということ?というのもちょっとわかりにくいです。

とは言えスピンオフ前作『アナベル 死霊館の人形』より面白くて好きですよ。闇の深さはひたすら不気味で根元的な恐怖を煽ってくるし、いかにもな小道具の使い方も堂に入ってるし、安楽椅子こいでるアナベル人形とか冷静に観ると笑っちゃいそうなのにやはり怖い。それだけに最後に神父が「早い者勝ちー」つって人形出すけど誰ももらわない、という唯一のギャグシーンが浮きまくります(でもちょっと笑った)。

人形の名前は死んだ娘アナベル(愛称ビー:beが名前に含まれている)から取られていた、というのが明らかになり、その現世への未練は悪魔に利用され人形へと宿り、ジャニスへと乗り移ります。結局ジャニスは姿を消し、「私と思って」と渡されたジャニスの人形を持って去るリンダがせつない。そして乗り移られたジャニスがアナベルと名乗って成長し、『アナベル 死霊館の人形』冒頭の家族惨殺に繋がるわけですね。上手い。しかし人形の代わりに傀儡となってしまうジャニスがかわいそすぎてなー……(もはや保護者視点)。エンドロール後の「1954年 ルーマニア」(だったかな?)が不可解でしたが、これはひょっとして『死霊館 エンフィールド事件』で絵から出てくる尼さん、かな?そう言えばジャニスの車イスを押すのもこいつだったのかも。過去作を見返すともっと色んな繋がりがあるかもしれません。

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