2017
10.17

昨日の敵は今日の父。『レゴニンジャゴー ザ・ムービー』感想。

The_Lego_Ninjago_Movie
The Lego Ninjago Movie / 2017年 アメリカ / 監督:チャーリー・ビーン

あらすじ
グリーン……(エコー)



平和なニンジャゴーシティにやってきた悪の支配者ガーマドンが、手下とともに町を破壊しているところに現れたのは、我らがヒーロー、ニンジャゴーの6人。ニンジャメカの活躍により町は救われるが、そんななかニンジャの一人であるロイドはガーマドンとのある関係に悩んでいた……。ブロック玩具「レゴ」をモチーフにしたテレビアニメ『レゴニンジャゴー』シリーズの映画版。

『レゴニンジャゴー』はレゴの一ジャンルとして発売されたニンジャモチーフの世界観を持つシリーズで、アニメ化もされて結構なシーズンを放送しており、その映画版が本作。とは言えテレビ版未見でも全く問題なく観れます。また映画となることで『LEGO ムービー』『レゴバットマン ザ・ムービー』のレゴ映画に連なるシリーズとも言えるでしょう。師匠のウー先生に率いられた若きニンジャたちが、悪の帝王ガーマドンからニンジャゴーシティを守るという、いわば戦隊ヒーローものですが、これがもう実に楽しい!とんでもないテンポのよさや、組み立てるというレゴらしい創造性は映画シリーズを踏襲しつつ、なぜか中華風の設定ながら馴染む個性的なニンジャたちのアクションや、彼らが操るメカのダイナミックな活躍にはエキサイト(しかもレゴ売り場に行けばすぐに買えるぞ)。重ねのギャグには笑うし、父子のベタなドラマもツイストが効いています。

レゴフィグ(レゴの人形)のキャラは動きの制約をものともせず飛び回ります。ニンジャたちは炎や水や雷や大地といった属するエレメントを持っているというのもそれっぽく、かつカラーで識別しやすいですね。主人公のロイド役である『グランド・イリュージョン』のデイヴ・フランコと、ガーマドン役である『ガール・オン・ザ・トレイン』のジャスティン・セローとの掛け合いも面白い。炎系ニンジャのカイ役が『アントマン』『フューリー』のマイケル・ペーニャというのも可笑しいです。またウー師匠役がジャッキー・チェンというのがハマり役なんですが、まさかここまでジャッキー映画だとは思いもしませんでしたよ。爆笑です。ちなみに吹替版はテレビアニメ版と同じキャストだというのがイイですね。

カンフー映画的アクション、『スター・ウォーズ』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』的な父子関係、『パワーレンジャー』『ミュータント・タートルズ』的青春チームプレイ、『パシフィック・リム』的巨大ロボと、少年心をくすぐる要素メガ盛りで超楽しい!「忍者」というわりには忍んでませんが、そこは「ニンジャ」なのでいいのです。笑って泣けて熱くなる、ついでにジャッキーらしさも堪能できます。

↓以下、ネタバレ含む。








まさかの実写始まり!やられました。怪しげなオリエンタル古美術雑貨店にたまたま迷い込む、というのが『グレムリン』ぽくてワクワクするし、しかも店主がジャッキー・チェン、つーかジャッキーが語るんかい!という見事なつかみ。そしてレゴ世界に入ってからは一気にカラフル&ゴチャゴチャ感が爆発しててレゴムービーって感じです。序盤からニンジャメカが大挙登場し、大空を駆け地を行き水を進む。ファイヤーメカの下から見上げる巨大感や、ライトニング・ジェットの飛翔感、あと主人公ロイドのメカがドラゴンというのが何気に熱いです。また水系ニャーのイケイケさ、大地系コールの音楽かけてのノリ、雷系ジェイのビビりよう、炎系カイの勢い重視な感じ(「Awesome!」と言うのが『LEGOムービー』っぽい)、氷系カイのロボロボしさ、って言うかロボだよね?など戦いのなかで並行してニンジャたちのキャラクターも示されていきます。

戦いとは言いつつ、そこはコミカルでポップなもの。そもそも「ガーマドン予報」が出るほど襲来がメジャーであるとか、すぐそこに見える火山がガーマドンの基地であるとか色々ヌルくて笑えます。敵兵がなぜかサメとかタコとか海の生き物系のメットを被ってるという謎の海産物推しもキャッチー。ガーマドンがクビにした部下を次々打ち上げるというのも可笑しいですが、これが後で野良海産物として襲ってくる伏線になっているんですね。このような笑いがストーリー展開に結び付いているシーンも多く、エレメントのないロイドにウー師匠が「グリーン……」を繰り返す(爆笑)というのもロイドがそれぞれのエレメントを繋げる役割であることに紐付くし、ガーマドンとレディ・オブ・ドラゴン(a.k.a. 母)がクロスアタックするバックで武器がハートになってて二人の関係を表してるし(アホですが)、最終兵器の後に最終最終兵器が出てきたり。と言うか最終兵器がまさかの実写にはビックリ爆笑ですよ。しかもラスボスでもあるという。確かにあれはレゴにとっては赤子に並ぶリーサル・ウェポン。可愛い。

レゴのくせにアクションがスゴいというのもたまらんですね。ウーvsガーマドンの兄弟対決などはほぼカンフー映画です(ウー師匠の方が弟なのね……)。崖上のグラグラ寺(実家)からの、エレメントに目覚めたニンジャたちの能力を使った脱出なども燃えますねえ。飛び降りた先に船がある、なんてのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』を思い出しましたよ。あとガーマドンメカがサメを打ち出すときの音が「無駄無駄無駄」に聞こえたのは僕だけでしょうか。……という具合に、もう細かい見どころを上げたらキリがないです。ひとつ気になったのは海や森などの自然物や建物などの背景はレゴじゃないということなんですが、これはレゴ化するとアクションやアドベンチャーを描く上ではゴチャゴチャしすぎってのもあるんですかね。まあ背景まで全てレゴだった『LEGOムービー』は全てレゴであることにこそ意味があったので、そこは比べなくてもよいかもしれません。

なぜか悪党の息子だと知れ渡ってるロイドは学校でも浮きまくり、それでいて裏ではニンジャとして悪党の父と戦っているというのはなかなか世知辛い設定です。実写ヒーローものだったらすげー重くなりそう。家庭を捨てた父とそれを恨む息子、というのはよくある構図ですが、これが悪党とヒーローであるというのが思った以上に肝になります。ちょっと変わってるのは、息子は父に戻ってきてほしいのに父は全くその気がないということ。たまたま尻で電話したときも(どんな状況だ)取りつく島もないし、ロイドが正体を明かしたときも「息子よ……」みたいに反省を見せたりはしません。将軍No.1たちから逃げてなし崩し的に行動を共にするようになってからも歩み寄りは見られず、仲間たちから「息子より話が面白い」と言われて調子に乗るし、長い同行の果てにようやく「後悔してる」となったものの、それでも悪であることをやめられない。いやもう、悪の鏡ですよ。

でも教えられなかったキャッチボールを教えたり(実戦のなかで)としっかり親子の時間を過ごして絆は深まっていくわけで、その結果を最後の「いざというときどちらを選ぶか」という場面で示すわけです。そこがゴールだと思えばロードムービーにもなってると言えますね。ラスボスのニャジラに食われながら、炎の涙により脱出。ちょっとお涙頂戴すぎな気もしますが、立場の違いより大事なものがあるというのを極限状態で描いているとも言えてドラマチック。互いのアイデンティティを損なわず大団円に持ち込むという点では、『レゴバットマン ザ・ムービー』で孤高のヒーローであることにこだわるバットマンが、最後にジョーカーの必要性に気付くのと鏡合わせになっているし、何より『LEGOムービー』で描かれる父と子というテーマを、同じレゴを用いながら新たに構築していて上手いです。

こうして少年は逆境に負けず父とも和解し、新たな世界へと歩き出す。この話が実在の少年に勇気を与えるというのが、物語の持つ力というものを描いていて良いです。まあ何よりも楽しくて「Awesome!」ってなっちゃうのがいいんですけどね。しかも最後はNG集まで付けるというジャッキーリスペクトっぷりにもAwesome!期待に違わぬ面白さです。

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