2017
09.29

お宝乗ってオーバードライブ!『スクランブル』感想。

overdrive
Overdrive / 2017年 フランス / 監督:アントニオ・ネグレ

あらすじ
リビエラ・ラン!



高級クラシックカー専門の強盗、フォスター兄弟。しかし彼らが盗み出した車がマフィアのモリエールのものだったため、兄弟は捕らわれてしまう。二人は助かる条件として、モリエールと敵対するマフィアの所有する62年型フェラーリを盗み出すことになるが……。スコット・イーストウッド主演のクライム・アクション。

マフィアの車を盗んで捕まった兄弟が別のマフィアの車を盗むことを強いられるというお話ですが、いやこれは楽しい。次々と登場するクラシカルでいかにも高級な車の数々、そしてその車を使っての無茶すぎるカーチェイス。スピード感あるチェイス・シーンは『ワイスピ』シリーズ的なスリルに溢れています。でもそれ以上に、特化した技能を持つ仲間を集めて作戦を練り、警備の厳重なマフィアから「車を奪う」という、ケイパーものとしての展開が実に痛快。アクションとお宝の両方を「車」とし、そのお宝に乗ってチェイスするというのも面白い。「世界に2台しかない37年型ブガッティ」だの「走る芸術品と言われる62年型フェラーリ250GTO」だの、車に詳しくなくてもその優美なフォルムとレア感にアガります。

フォスター兄弟の兄アンドリュー役は『ワイルド・スピード ICE BREAK』『スーサイド・スクワッド』のスコット・イーストウッド。クリント・イーストウッドの息子ですが、父親よりさらに甘い顔とスタイルの良さ、それでいて硬派な感じがカッコいい。弟ギャレット役のフレディ・ソープはやんちゃで向こう見ず、でもしっかり決める感じが好感。この腹違いの兄弟というちょっと変わったコンビの、バディものとしての雰囲気も良いです。一流ハッカーであるステファニー役のアナ・デ・アルマス、天才スリのデビン役ガイア・ワイスといった女性陣も活躍。

ストーリーは雑さがありつつも練られてる感があるという、ちょっと不思議な感触で、遡って気付く伏線も面白いです。もう少しチーム感があればもっと良かったかなーとは思うものの、皆でわちゃわちゃやってるのは楽しいし、舞台となるフランスの風景も美麗。フランス製カーアクションということで『ワイスピ』よりは『トランスポーター』や『TAXi』などを思い出します。そして女は強く美しく、男は可愛くてワイルド。ライトだけどなかなか粋です。

↓以下、ネタバレ含む。








序盤の走っているトレーラーから車を盗み出すってのがまずイイですね。兄がぶら下がった状態から弟の車に降りるとか巨大なトレーラーを横転させるとか、走ってるトレーラーから走り降りるブガッティという絵面とか、フレッシュまではいかなくても十分楽しいです。後半の崖下トンネルを使った二車線チェイスは、ロケーションの面白さとその構造ゆえに対向車を避けられないという決着の付け方が愉快。あとリビエラ・ラン(何だそれ)で一気にスピードを出し崩れる橋を渡るところとかね、さっさと渡ればいい気もしますが、そんな勿体の付け方がイイわけですよ。

逆転劇を盛り込んだ脚本が意外にも良いです。ステフが捕まって脅されたあと、それに焦るかのようにすぐにミッションが始まるのがミソで、作戦自体は一度モリコーネに話しているのでそのままかと思わせて、実は違うという見せ方が上手い。狙いがモリエールだという予感は何となくしてたんですが、インターポールの二人も仲間だったというのは、この二人が最初のオークション会場からいるだけに騙されます。確かに兄弟二人だけのときは現れてないんですよ。モリエールのいとこの前でだけ現れて芝居をしてるんですね。そしてターゲットのはずだったクレンプ。彼も最初からグルだったというのは「樽詰はやりすぎだったか」の台詞から伺えるので、飛行機をエンジン壊してまで止めたのもいとこに見せるための芝居ということですね。そこまでする必要ないですけどね!思い返せばクレンプの話を兄弟の方からモリエールに切り出すのも不自然なんですよ。最初から全てが仕組まれていたわけです。

まあ作戦としてはすんごいアバウトですけどね。そもそも最初にモリエールに捕まったときに殺されるかもしれなかったわけだし、1週間という期限を切られたばかりに仲間集めも行き当たりばったり。ステフがモリエール邸のセキュリティ解除するのも捕まる前提なのでかなり危ない橋。いとこが来るのも予想外だと思うんですが、誰かしら監視がつくという想定だったんですかね。まああれです、ギャレットが「作戦はいらない」みたいなことを言うので、大枠以外はアドリブというスタイルなんでしょう。そうに違いない!ちょっとね、弟ギャレットがよく喋るキャラなのに後半はあまり喋る機会がないとか、スリのデビンちゃんが後半ほぼ出番がないとか、ちょっとバランスに欠くところもありますね。

でも多少の大味感は許せるようなコミカルさとライトな雰囲気があるので、まあいいかと。ちょっとヘマが多い爆弾マニアもその後のドカンドカンの連続には笑うし、最後の「プランB」なんて本当に作戦なのか疑わしいけど派手にかましてるし(タイミングの合い方が素晴らしい)。あとはクラシックカーの集団が並んで走るとか、車庫がフェラーリで埋まって真っ赤とか、壮観で眼福って感じがありますよ。さほど必然性もなく出てくる美女の水着姿も眼福。

そして何と言ってもスコット・イーストウッドです。目元のどアップが絵になる男前。ストーリーのどんでん返しにも驚きましたが、一番驚いたのはアンドリューのチェイス中のプロポーズです。敵がすぐそこに追ってきてるというのに、あろうことか車を完全にストップさせて、あの顔がアップになっての「結婚してくれ」ですよ?ここで言うか!っていう驚き。ホレるわ!ラストのタンカーに乗った仲間たちの打ち上げ感もイイし、最後を「カモは自分がカモだと気付かない」という冒頭の台詞で締める辺りも、あざとさより小粋さの方が感じられて心地よいです。

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