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2017
09.21

愛は執着と悲しみの果てに。『西遊記2 妖怪の逆襲』感想。

saiyuuki2_youkai
西遊2 伏妖篇 / 2017年 中国 / 監督:ツイ・ハーク

あらすじ
必殺技:如来ゴッドハンド!



天竺への旅を続ける妖怪ハンターの三蔵法師と孫悟空、猪八戒、沙悟浄の一行だったが、荒っぽい孫悟空とそれを怒る三蔵の間にはいさかいが絶えない。そんななか途中で立ち寄った比丘国で思いがけず妖怪に遭遇した一行はこれを退治しようとするのだが……。伝奇アクション『西遊記 はじまりのはじまり』の続編。監督は前作のチャウ・シンチーから替わり『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』のツイ・ハーク。

おなじみ「西遊記」を『少林サッカー』『カンフー・ハッスル』のチャウ・シンチーが監督した前作は、三蔵法師こと玄奘が壮絶な覚醒を経て悟空たちと旅に出る、文字通り「はじまり」の物語だったわけですが、この続編ではシンチーは製作と脚本に回ってツイ・ハークが監督に登板、三蔵一行のチームとしての活躍を冒険増しで描きます。しかしこれが『はじまりのはじまり』とキャストが全然違う!キャストどころかビジュアルも全然違う!テカテカなラード顔の猪八戒が辛うじて前作を引き継いでますが、それ以外は風貌からして異なるので最初はちょっと戸惑います。まあキャストや設定が変わるのは香港映画の続編ではよくあることだし、観てるうちに要所要所で「ああ確かに続編だ」と思えるのでそこは気にしない方がいいでしょうね。

何よりアクションが増量してるのがイイ。見た目も個性的な妖怪たちとのバトルは、CGを駆使した中華伝奇ものらしいサービス精神に溢れ、筋斗雲や如意棒で暴れまくる悟空の活躍をこれでもかと見せてくれます。また、師弟ではあるもののまだ若干ギクシャクしている三蔵と悟空の関係性にもフォーカス。と言うかもはやこれは三蔵と悟空の愛憎渦巻くブロマンスですよ。そして絶対王者、大日如来の仏パワー!

三蔵役のクリス・ウー、どこかで見た気がすると思ったら『トリプルX:再起動』のニックですよ!全然イメージ違うな!前作のウェン・ジャンとはかなり印象が異なりますがご愛敬。悟空役は『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』『グレートウォール』にも出ていたケニー・リン、これまた前作とは印象が異なる、どころか全くの別人ですが、あのおっさんは出オチ感強かったのでこれはしょうがないかな。いかつい表情が松田優作を思わせます。そして女性陣がイイんですよ。特に『人魚姫』で主人公を演じたリン・ユンの演じる小善、舞い踊る姿の美しさ、儚げな佇まい、もう超可愛い。超可愛い(2回言う)。九宮真人のヤオ・チェンもコミカルながら美しく、蜘蛛女のワン・リークンも妖艶。そして段ちゃんことスー・チーが再登場!彼女のみキャスト続投なのはそれだけ三蔵にとって重要な存在ということでしょう。

コミカルさのなかに毒があるチャウ・シンチーらしさを残しつつ、ツイ・ハーク的ド派手な見せ場も多くあって楽しいです。前作未見でも楽しめますね。少々長さは感じるし、『西遊記 孫悟空vs白骨夫人』など他の西遊記映画と若干被るところもありますが、冒険活劇っぽさを強めた娯楽作として愉快。あとエンドロール後は必見です。

↓以下、ネタバレ含む。








経典を求めて天竺へ向かう三蔵一行、しかし何と言っても金がない。というわけでサーカス団に混じって妖怪見世物的なことをやるものの、暴れすぎてサーカス団壊滅。今作は前作のやりすぎ感からくる笑いより、こういったスラップスティックな笑いの方が心なしか多い気もします。でも冒頭の夢で見る小人の天竺のシュールさとか、3000人の宮女がみな個性的(婉曲表現)という絵面のインパクトなどはシンチーらしい。悟空一押しの「殴ったら頭パーン!」の一発芸が微妙に面白くないところとかね、繰り返されると段々可笑しくなってきますよ。

前作の悟空が「世間のことはよく知ってますんで」的な雰囲気だったのに比べると、今回の頑固で融通が利かないキャラには結構な乖離がありますが、とは言え続編として繋がっている点は色々ありますね。人真似札が出てきたりとか(そしてまた踊る三蔵)、緊箍児(頭の輪っか)が変化したりとか、沙悟浄の魚形態とか。前作ではほぼ猿だった変身後の悟空はかなり人型に近くカッコよくなりましたが、のぼり4本立てての推参!には相変わらずシビれます。まさか回転するとは思わなかったですが……。あと音楽もメインテーマを踏襲していたり、ラストにはちゃんと「Gメン'75のテーマ」も!

アクションとしての見せ場もどこかコミカルな味があるのが楽しいです。館のハーレム度が羨ましい、もとい恐ろしいクモ妖怪との戦いでは、クモの下から人が生えてるという斬新なデザインとスパイダーマン的(と言えなくもない)糸アクション。比丘国では一度宮殿を追い出されてまた戻るというのが野暮ったいですが、偽国王の正体であるバネみたいな奴との戦いが広い空間をバックに繰り広げられるのが気持ちいい。このバトルがド派手だったのでてっきりクライマックスかと思いましたが、まだ中盤でしたね(そのせいでちょっと長さを感じまてしまった)。本当のクライマックスではさらに強さのインフレが増して、シルエットがカッコいい巨大岩猿や、水・炎・雷のトリプル如来の登場に燃えます。人の形のまま戦う九宮真人もイイ。

ストーリー的には三蔵と悟空の関係をメインにしながら、後半は小善を巡る話が混ざってきます。三蔵と悟空については三蔵のDV&モラハラはなかなか酷いですが(ついでにセクハラも)、怒ったり反目したりしながらも本当はもっとわかり合いたい、みたいな二人の関係が微笑ましい。散々小善の村をブチ壊して大丈夫か、というのも阿吽の呼吸による芝居だったわけで、これには騙されます。最初から芝居だったというにはさすがに長くないかとは思いますが……。そして生前むごい目にあった小善の純粋な思いのせつなさと、自分の気持ちに嘘をつけずそれでも小善を看取る三蔵の悲しみ。リン・ユン(超可愛い・3回目)を泣かす三蔵へのヘイトがたまりまくるものの、三蔵の段ちゃんへの思いを見せられて上げた拳を下ろすしかないですね。と言うか正直泣きましたね。やはりスー・チーの再登場は大きいです。

他にも九宮真人と如来との関係や、作った粥を無下にされる沙悟浄(これまた前作との別人ぶり……)などもあって、ちょっと詰め込みすぎな感もなくはないですが、振り返るとそこまで混み入った印象でもなかったです。悟空や小善との関係により人を思いやる心を改めて学ぶ三蔵、という点で、このシリーズが三蔵の成長を描くものであることがわかりますね。踊りのシーンが愛を呼び起こす、というのが前作の段ちゃんに続き悟空と小善にも通じています。あと如来強すぎ。ぜひさらなる続編も作ってほしいなあ。そろそろチャウ・シンチーには出演もしてほしいんだけど……と思ったらまさかのエンドロール後!最後まで楽しませてもらいました。

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