2017
09.09

男たちは守るために戦う。『HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY』感想。

HiGH&LOW_THE_MOVIE_2
2017年 日本 / 監督:久保茂昭、中茎強

あらすじ
一緒にいるだけが仲間じゃねえ。



拮抗する5つのチーム、その頭文字から「SWORD地区」と呼ばれるエリア。湾岸連合軍との戦いを制したSWORD連合軍だったが、そこに悪名高きスカウト集団「DOUBT」や武闘派集団「プリズンギャング」が現れ、さらにはヤクザ組織「九龍グループ」もが利権を狙って襲い来る。SWORDの面々に加え、琥珀や九十九、雨宮兄弟も絡んだ壮絶な戦いが始まる……。『HiGH&LOW』シリーズの劇場版第3弾。

EXILE TRIBEが主軸となり、ドラマやライブなどでマルチに展開されるプロジェクト『HiGH&LOW』の、『HiGH&LOW THE MOVIE』『HiGH&LOW THE RED RAIN』に続く劇場版。シリーズは全くの未体験だったんですが、何やらアクションがスゴいらしいと聞いて本作の前に劇場版1作目をレンタルして観てみたんですよ。これが予想以上に面白くてですね、ドラマ版観てなくても勢力や人物の描き分けにかなり配慮してるのでさほど混乱もしないし、意外とアクション以外が長いけどその積み重ねで終盤が熱い!そして設計の見事な大人数長回しアクションの見事さ!何だか懐かしい世紀末感!キャラ立ち抜群のメンバーたち!どうしちゃったんすか琥珀さん!と大変楽しんだあと、数日後に本作に挑みましたよ。

いやもう、ブッ飛んだ!1作目の「面白かったー」が『2』では「最高ォォォ!」に。さらに強力なアクション、さらにブッ込まれる新キャラ、さらに破天荒なストーリー!でも協定結んだSWORDが最強なのと、琥珀さんがどうかしてるのはわかる!キャラ立ちと関係性だけで話を転がすという力技ではあるし、細かい点をツッコもうとすればいくらでもできるんですが、でもいちいち熱い展開には燃えるし、ヤンキー映画、ヤクザ映画、刑事ドラマといった邦画活劇をいいとこ取りした上にブラッシュアップしたアクションも気合い入りまくり。こりゃあ面白いですよ。

山王連合会、White Rascals、鬼邪高校、RUDE BOYS、達磨一家のSWORDの面々、敵となるMIGHTY WARRIORSやDOUBTといった前作からの続投陣に、林蘭丸役の中村蒼、ジェシー役のNAOTO、フォー役の関口メンディーなどが加わり、九龍グループとして津川雅彦、岸谷五朗、加藤雅也、笹野高史、髙嶋政宏などのベテラン勢まで配し、伝説のグループMUGENの琥珀さんや九十九は小林直己が演じる殺し屋の源治と死闘を繰り広げ、もちろん使い勝手のよい雨宮兄弟も登場、と一息に言ってもここまで長くなるという超過密布陣。でもこれだけ人数多くても、不思議と顔も立場も覚えちゃうので没入感がスゴい。

過去作を全く知らなくても冒頭に一通り説明してくれるので問題なし、と言うかここの紹介シーンが激カッコいいので引き込まれます(『THE RED RAIN』観ていなかった身としてはネタバレもありましたがこれはしょうがない)。過去作観ていればさらに感慨深いだろうなという展開もあるし、美術や衣装も非常に凝っているので安っぽさがないですね。個人的にはルードのパルクール・アクションやラスカルズの「女を守る」精神が好きなので、その辺りの見せ場が多くて良かったです。あと若頭・源治とタフガイ九十九ね!村山と日向もイイ。コブラもカッコいい。雨宮兄弟もイカす。そして琥珀さん!……あれ?おれいつの間にかハイロー大好きなのでは……とEXILEに全く興味のない層までも魅了する、キャラ萌えアクション大作です。

↓以下、ネタバレ含む。








■入りやすさとわかりやすさ

間口が広いですよね。ヤンキーの抗争劇に慣れてない人でも世界観とキャラで引っ張り込み、泥臭さ以上に熱さを感じさせることで画面に張り付けてしまうし、ドラマ的には様々な対立やら融和やらがありますが、結果的には良いもんと悪いもんみたいな形になるのでわかりやすい。またシリーズ初見でも入りやすい工夫として、冒頭15分で舞台の背景をざっくり説明、SWORDの各チームと敵対勢力までアップに名前付きで紹介する親切設計。しかもこのアバンタイトルがカッコよくて、ルードの高層鉄塔でのパルクール・アクション、達磨一家の賭場の喧騒、鬼邪高の横スクロール3Dスロー、ラスカルズのパーリタ~イム、山王のバイク一台と思わせて増えていくジェットストリームアタック、そしてコブラのカッチョいい台詞からの画面いっぱいにタイトルドーン!見事なつかみです。

あとチームの差異をシンボルカラーやテーマ曲や衣装の系統で区別し、拠点の風景も全く異なるので把握しやすく、チームのマークも出して際立たせる。悪く言えば記号的ではあるんですが、それを巧みにキャラ立ちと関係性に置き換えているので、わかりやすさを残しつつドラマチックに仕上がっているんですね。やたら人物のアップが多いのも通常なら気になるところですが、顔を印象付けることでその後のアクションで誰が動いているのかを認識させるのに役立ちます。


■アクション映画としてのこだわり

そして何と言ってもアクション、1作目は泣かせようとするドラマがちょっとくどいなーとも思いましたが、今作はアクションの比率がさらに上がっててエキサイティング。琥珀回りでは琥珀&九十九vs九龍グループの駐車場での対決、特に琥珀vs源治は壁は潰しパイプは叩き折り車のガラスごと殴り倒すで、ちょっと人間同士の戦いに見えない、というかこれ『ターミネーター2』なのでは。源治はそれこそ完全にターミネーターで、ダメージを感じさせない立ち上がり方、バイクの前に立ちはだかるときのシルエットなどたまりません。あの琥珀さんがまさかの苦戦ですよ。まあそのあいだ他の敵は全部九十九が相手してたわけで、九十九大変だな。

琥珀&九十九&雨宮兄弟vs九龍グループのカーチェイスでは、走る車やバイク上でUSBの取り合いというスピーディーかつスリリングなアクション。ここでも源治が大活躍だ!日本刀で車の屋根を貫くという五ェ門ばりの超人っぷり。九十九はくるっと回って車のフロントガラスを蹴り破るのがスゴいし、車がクラッシュしても普通に立ち上がるし、源治がターミネーターならこちらはダイ・ハードですよ。雨宮兄のバイクからバンへの飛び移り方もクール。そして車に引きずられてもわりと大丈夫な琥珀さん!奪われ奪い返すUSB!そんなに大事ならコピーでもしときゃあいいのに何かセキュリティとか掛かってるんですかね?と言うか今時USBを巡って奪い合いって……その前にUSBとはポートのことで正確にはUSBメモリなんだが……まあいいんです、わかりやすい!

そしてクライマックスの廃駅での大乱闘ですよ。特にマイティーが出てきてからの電車の車両まで出入りする超絶長回しには興奮必至。動き続けるカメラに名前のある人物が次々映されるバトルは『ドラゴン×マッハ!』に張ります。ルードのパルクール+ブレイクダンスなアクション、とりあえずダンプに乗って登場する鬼邪高の騎馬戦、なんか手製ソリみたいなのに乗ってやってくる達磨の解体アタック、合間に挟まれるコブラvsジェシー、ヤマトvsブラウン、ノボルvsフォーの山王タイマン勝負、とまさに怒涛。いやもうEXILE組のリズム感と身体能力はすげーなって思うし、このクライマックスはね、もう全て見せます!って感じですね。一方でロッキーvsジェシーや村上vs日向はあえて見せない、というのは構成はメリハリが効いています(ちょっと見たかったけど)。

先に上げた邦画のジャンルものや洋画アクション以外にも様々な映画を想起させるシーンが多いです。雨宮弟がバイク回転させて周囲のバイクをなぎ倒すのは『ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション』、源治がバイクで走りながら刀で地面に火花を散らすのは『ブラック・レイン』、縦にひっくり返るトラックは『ダークナイト』、橋から川へと落ちていくバンは『インセプション』、車から車への飛び移りは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』っぽさもあったり。パクリとかオマージュと言うよりはカバーやアレンジという感じで、『るろうに剣心 伝説の最期編』などにも関わったアクション監督の大内貴仁の「アクションで魅せるぜ!」という気概が感じられます。


■立ち上がった男たち

無名街にカジノ建設を目論みDOUBTやマイティーを雇ってSWORDを潰そうとする九龍グループと、自分たちの街を守ろうとするSWORDの対立、また復讐のためUSBを公開しようとする雨宮兄弟と琥珀たちに襲い来る九龍、さらには九龍と繋がる警察、ついでに実況役の苺美瑠狂など様々な勢力が関係してきて、ストーリーは意外と入り組んでいます。いやどんだけ荒れてんだSWORD地区とは思うし、刑務所が二つもあるというのもどうかしてますがまあそれは置いといて、その絡み合う関係性を端的な台詞とキャラ造形でサクサクと簡潔に見せ、それぞれの立ち位置や心情を上手く整理しながら語っていきます。

ロッキーが協定を断る理由、それでもコブラがラスカルズを気にかける思い、飄々とした村山が煮え切らない日向にかける勝負、不穏さに直面するルードたち。一方で帰国した琥珀と九十九が雨宮兄弟と通じ合う意思。メインキャラの思惑が一致し、団結していく過程はなかなか熱い。ラスカルズvsDOUBTの圧倒的人数差による劣勢から味方が次々駆け付けるのとかね、キタキター!ってなりますね。未見のドラマ版ストーリーを後から調べたら敵対していた者たちの関係も色々と変化しているらしいんですが(山王と達磨の対立とか)、それを知らなくても村山が日向に自分のためではない戦いを仕掛け、その結果に応えるような達磨一家の「つまり!」「それが!」「SWORD協定じゃあ!」でガン上がりです。

九竜グループのメンツもスゴいですね。幹部たちが横並びで歩いてくるショットまであるし。高嶋政宏の大魔神ばりの顔変化とか、岸谷五朗の清々しいほどの憎たらしさなどは笑います。笑えると言えば、ラスカルズのメンバーが世界名作劇場から名前を取っているとか可愛いし、ゴールデンボンバーが出演しない理由をわざわざ入れてくるし、いちいち「やらなきゃダメか?」と言う関口メンディーはイイ人感丸出しであるし(オーバーオールて!)、あとどうしちまったんだよ琥珀さん、その髪型!「やるのは俺じゃねえ。お前が終わらせろ」ってじゃあわざわざ海外まで行ってたのは何だったんすか琥珀さん!「ケンカをするのは間違ってる。だがあいつらがケンカしようと思う気持ちは間違ってない」ってよくわかんないすよ琥珀さん!


■守るための戦い

不満な点もありますよ。山王連合は仲間仲間と言い過ぎなのはちょっとウザいし、ダンやテッツとの内部分裂も無理やり感(多分次作への布石なんでしょうけど)。ルードのスモーキーが黄昏てるだけで地味すぎるのも残念。演じる窪田正孝が『東京喰種 トーキョーグール』で忙しかったんでしょうか。ロッキーがジェシーやら蘭丸やらにやられすぎですが、潰れた拳でのフィニッシュがあるのでまあいいです。ただ蘭丸がクズ野郎すぎてカリスマ性に欠けるのは微妙。あとマイティ・ウォリアーズの丸々2曲もやるライブシーン、いる?2曲目は「おかえりジェシー」って言ってるだけだし。ついでにジェシーには靴のかかとは潰さずに履け、と言いたい。

最後に本職が出てきて「ガキのケンカ」と断じ、あれだけロッキーを苦しめた蘭丸を足蹴にしてるのを見ると、本当にそこまでの抗争がガキのケンカに思えてきちゃうんですよ。あれ、この戦いは何だったの?と。「隠蔽できるんだよぅ」(岸谷五朗の言い方が最高)という台詞にはしょせんは若造の無駄なあがきでしかなかったのかと絶望的な空気が漂います。しかしここでコブラの『300 スリーハンドレッド』ばりの前蹴りドーン!&「これが答えだ」で吹っ切っちゃう。ガキのケンカではなく、大事なものを守るための戦いであるということを改めてブチ上げてタイトル!サブタイトルの『END OF SKY』は自由の象徴である空の終わり、そのギリギリで戦う者たちのことを言ってたんだなとわかるのです。

そしてエンドロール後で狙撃される雨宮弟。なぜ?誰が?そして『HiGH&LOW THE MOVIE 3 FINAL MISSION』のタイトル!果たして雨宮弟の生死は?SWORDの未来は?スモーキーの体は大丈夫か?琥珀さんも色々と大丈夫か?期待値上げて待ちます!

スポンサーサイト
トラックバックURL
http://cinemaisland.blog77.fc2.com/tb.php/1281-1bf22658
トラックバック
back-to-top