2017
08.13

さらに深く語ってみよう。『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』感想(その2)。

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2017年 日本 / 監督:三池崇史

あらすじ
兄貴ィ!



前回の感想はこちら。
守る者と受け継ぐ者。『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』感想。

原作連載から30年、ついに『ジョジョ』も実写化の波に飲まれたか……と不安に押しつぶされそうになりながら観た実写版が、思いのほかジョジョだった、というのは前回述べました。そして2回目を鑑賞し終わった僕(原作ファン)が至った境地は「ヤバい、もう好きだこれ」です。いやあ、面白いですよ。傑作と言い張るつもりはないけれど、マイ偏愛枠にはガッツリ入ってしまいました。原作の仗助も、最初見たときは「主人公の髪型これェ?」と思ったもんですが、慣れたらあの頭以外考えられなくなるように、実写版も慣れたら違和感ないです。昨今の素晴らしいコミック実写化たちに決して引けを取ってないと思うんですよ。コメディ要素に逃げることができない世界観で(それでも4部はユーモラスな方ですが)、ビジュアル化からも逃げることなく、作品の精神性を実写で再現させようとした姿勢に、僕は敬意を表するッ!

原作ファン以外がどう取るかと言えば、正直説明不足だとは思います。とは言え何となくそういうものかと飲み込みながら観る作品というのはよくあるし、観てるとスタンドのルールなども大概はわかってくるんじゃあないですかね。いやもう偏愛なので客観的にどうかというのはもはや断言できないですが、少なくともジョジョ第1部をアニメ映画化した幻の駄作『ファントム・ブラッド』よりは全然イイですよ。アニメでありながらジョジョらしさをことごとく削り、台詞は凡庸に貶め、あまつさえブラフォードとタルカスをザコ同様に登場後数秒で屠ったアレよりは!どれだけ酷いかはいまだにソフト化されてないことからも伺えますから!

まあそれはいいんですが、前回書き切れなかった細かい点についても言及したくて2回目の感想です。箇条書きで思いつくままにダラダラ並べていきますよ(長いです)。最高な点だけでなくちょっとここは……という点も混じってますが、それでもヨダレずびっ!なたまらん描写には事欠かないのですよ。コミック実写化は『無限の住人』『土竜の唄 香港狂騒曲』『テラフォーマーズ』『神さまの言うとおり』『クローズZERO』など散々手掛けている三池監督が、映画化の話をもらって三日間まともに寝れなかったと語り、結果やっつけ仕事に陥らずやり遂げてくれたことには感謝です。もし原作が好きすぎるから観たくないという人がいるなら、そういう人こそ原作を拡張してくれる新たな表現であると思って観てほしいですね。原作知らない人は、サイキック・アクション×クライム・サスペンス×青春ヤンキードラマの複合エンターテインメントとして観てほしいです。そして根底にある「人間賛歌」を感じ取っていただきたいッ!奇妙な冒険にようこそ!

↓以下、ネタバレ含む。








・アバンタイトル、睨み上げるアンジェロというショットからの、ダイヤモンドをあしらったタイトルの出かたがカッコいいですねえ。音楽も燃える感じでイイです。

・サスペンスの描き方が結構イイんですよ。冒頭でアンジェロがオムライスの卵だけ取り除こうとする不自然さとか、逃げるアンジェロの前に立つ形兆がおもむろに矢を構える姿とか、アンジェロと形兆が食事中に突然鳴り響く銃撃音の謎など、不穏さが満ちててスリリングです。2階から物音がして仗助が祖父を見に行ったら何もなく、再び同じような物音がして気付くとアクア・ネックレスの入った瓶が消えてる、あの重ね方は良いですね。

・原作のビジュアル再現度はかなりのもの。特に髪型ですね。仗助はあの髪型に重要な意味があるのでしょうがないとも言えますが、それにしても仗助や億泰の後ろ髪が二本跳ねてるところや、形兆のかなりの盛り方、承太郎の髪型と帽子の一体化の無理やりな再現などはやりすぎ感もなくはないです。でもおかげでシルエットがバランス取れててイイ感じなんですよ。そういえば三池監督は『逆転裁判』の成歩堂などでも髪型そのまんまでした。下手に一部だけリアルにするよりは、むしろこの振り切った感の方が効果的と言えるかも。康一がスタンドを出したときに髪が逆立つというのまでやってくれるし、序盤で仗助に「なんだその変な髪型はァ」って言うヤンキーの髪型もかなり変、というのはちょっと笑います。

・山﨑賢人の演じる東方仗助。原作に比べるとタレ目具合に欠けるとか体格はちょっと細身といった差異はありますが、身長は原作とほとんど変わらないし、ヤンキー顔も思ったより板についてるし、片目だけちょっと細めるという表情が仗助っぽかったりして、わりとすんなり受け入れられました。「ドラララ」もちゃんとやってたし、「クレイジー……ダイヤモンド」っていう溜めまくった名乗りが熱い。過去の出演作とはかなり違う印象なだけに、よくやり遂げたと言ってあげたいです。しかし次回作が『斉木楠雄のΨ難』主役というのはさすがに驚きと言うか何と言うか……。

・山﨑賢人の仗助は良かったんですが、あえて仗助に関する不満を言えば、億泰を治して形兆に再度向かうときのよろけすぎ演技は気になりました。それでいて形兆の死後に外に駆け出したときは普通に歩いてる……ここはちょっと演出が雑ですね。あと承太郎に関して「甥のくせに生意気だ」という台詞はちょっと酷いな!これは脚本家に説教したい。ちなみに仗助は食事中でも学ランを脱ぎませんが、これは原作で家にいるときやトラサルディ(イタリアンレストラン)で食事するときでもそうなので、仕様です。

・じいちゃんが死んだときに仗助が泣く、というのは原作と異なるところ。ただこれはエモーショナルな改変であるし、ラストで見せる決意への布石ということでむしろ良いかと。あと仗助たちは原作では高1でしたが、本作の設定は高2になっています。これは後輩たちに「ジョジョ先輩!」と呼ばせ、タイトルの「ジョジョ」の由来を示すためでしょうね。「ジョジョくん!」だとさすがにアレってことでしょうか。まあみんな高1には見えないしいいんじゃないですかね。神木君なんて実際はもう24歳だし……え、そうなの!?(調べて驚いた)

・伊勢谷友介の演じる空条承太郎。髪型はともかく佇まいはまさに承太郎でした。劇中唯一と言っていいジョジョ立ちポーズ、からのスタープラチナ!が最高で、そのカットだけでも満足。辛うじて一度だけ「やれやれ」と言うのは嬉しいところだし、アンジェロ戦で見せる仗助と背中合わせのショットも熱い。「おまえの能力はこの世のどんなことよりもやさしい」という台詞は沁みますね!そういえば仗助が最初にブッ飛ばしたヤンキーの傷が、原作と違い元通りに治る、というのはクレイジー・ダイヤモンドの「やさしさ」を強調してるとも言えます。あと承太郎がジョセフと電話するシーンがありますが、英語で喋ってる!いや普通に考えれば相手はアメリカ人なので英語なのは当たり前なんですが、ということはもしジョセフが登場するとしたら外国人が演じるのかな!個人的にはショーン・コネリーに演じてほしい!(引退してます)

・神木隆之介の演じる広瀬康一。「え?」とか「えー?」とか「えええええ?」とか驚きのバリエーションが実に豊富なのはさすが『君の名は。』でも驚きまくってた神木君。仗助に吹っ飛ばされて「んぐ」とか言うのも笑います。何度も「あ、仗助君だ」と言って走り寄るのが超カワイイ。一度目は承太郎に、二度目は由花子に邪魔されますが。由花子に「康一君も東方君が苦手なのね」と言われて否定しようとするときの本気顔もカワイイです。スタンドが顔見せだけで終わったのはほんのちょっと残念ですが、アギャ!とか言って暴れるエコーズもカワイかったのでいいでしょう。あとスタンド使いになった康一に徐々にスタンドが見えてくるという見せ方は、少しずつ覚醒していく康一の成長性とも合っていて面白いです。

・小松菜奈の演じる山岸由花子。雰囲気あって良かったです。いきなり康一に告白してくるのではなく、使命感が恋心に変わるというのはなるほどと思いました。昨日転校してきた康一に対し一晩であの英語問題集という異常さ(表紙からしてスゴい)、そして「康一君は私が守ってあげる」「康一君なら気付いてくれると思った」と、いつの間にか一方的親密度の段階が進んでいる、というのが怖い。ただ髪の毛に対するこだわりの場面はちょっとほしかったですかね。爪だと吉良と被るし。あと今作ではちょっと変な女、くらいまでしか描かれないので、小松菜奈に机くっつけてじっと見つめられたらそれは嬉しい、というのが難と言うか、嬉しいです(何言ってんだ)。ところで「反対語は?」「ネガティブ」「その反対は?」「え、ポジティブ」っていう会話は何なんだ!適当すぎて笑っちゃったぞ。

・新田真剣佑の演じる虹村億泰。見た目や危ない目つきや喋り方まで億泰になりきってる真剣佑には、本作で最も驚かされましたね。「兄貴ィ」の言い方が最高。白目むくのも最高。顔にうっすらとバッテンの線まであるのにはこだわりを感じるし、兄貴のこと大好きー!っていう雰囲気もあってイイ。仗助に「兄貴のスタンドの秘密を教えろ」と言われて「誰が教えるか」と言うんですが、その後「兄貴だぞ」と続けるんですよ。これは原作にない台詞なので思わずグッときました。ところで初登場に、なぜ由花子と一緒にいる康一の位置をずらしたのか?イチャついてるのが気に食わなかったということか?そんなしょうもないことにスタンド能力を使うというのが億泰っぽいといえば億泰っぽいな。

・岡田将生の演じる虹村形兆。「出会いは重力」という台詞は第6部でプッチ神父が言う台詞でもありますが、これは荒木先生から入れてくれとリクエストのあった台詞なんだそうで、原作好きの岡田将生がえらく感激していたインタビューを読んで好感度ガン上がりでしたよ。「誰だってそーする。おれもそーする」の台詞も言ってくれたのが嬉しい。あと形兆が康一にスタンドの操り方として「相手をどれだけ憎いと思うか」と言うのは原作にないセリフですが、形兆の抱える闇の一端が覗けてイイですね。仗助の反撃を成り立たせるために付けた「一度出した命令は取り消せない」という設定は若干苦しいですが、ミサイルが直るタイミングとそれを迎撃できない理由として必要だったということでしょう。父親の写真のシーンは原作同様泣けるシーンですが、形兆が死んだこともわからず写真を見続ける父親、という独自のショットにはさらに泣けました。

・山田孝之の演じるアンジェロ。最初に殺したのを父親とすることで、仗助の最初の敵という以上の位置付けに改変したのは上手いです。邪魔をした仗助に対し「次はお前だ」と言うモノローグはちょっと余計ですが、ボソボソ喋るのにちゃんと台詞を聞き取れるのがさすが山田孝之。雨の中アクア・ネックレスを送り出した後に傘をさすのは、ああ濡れるのは一応イヤなんだ、とちょっと笑いますね。あとガラス瓶、ゴム手袋、執拗に映るアンジェロ岩の原型などの伏線は、原作を知ってる者にとってはちょっとあからさまで可笑しい。あ、アンジェロに操られた男が襲うコンビニの店員さんが可愛いかったです。

・國村隼の演じる東方良平。人を助ける町を守るはしつこいくらい描かれますが、それだけに仗助の「おれがこの町を守りますよ」に繋がるのが実にいいですね。「守る」という意味の「仗助」という名前を付けたのが良平であるというのも納得です。原作からの改変として、序盤で良平と康一が挨拶するシーンがあったりして、良平の町とのかかわりがさらに強調されていますね。あと良平が杉本鈴美の事件を捜査していた、という関係が加わったことにより、吉良との因縁がさらに深まることが予想されます。事件をメモした資料には「鈴美おねえちゃんが逃がしてくれた」というアノ人の台詞も!これは高まる!ちなみに観月ありさの演じる東方朋子については最初はちょっとコレじゃない感があったんですけど、思い返せばちょっとキツめな感じとか雰囲気的には悪くなかったかも。

・原作ファン歓喜の点としては、コップの水が揺れるシーンなどで地鳴りのような音が響くのは「ゴゴゴゴ」という原作の擬音を再現してるかのようで良いですね。見えましたね「ゴゴゴゴ」って揺れる書き文字が。良平が現場検証をしているときだったかには杜王町のマークも映るのが嬉しいところ。あと康一の部屋にある『ピンクダークの少年』全巻セット!そして特大パネル!これは露伴先生登場は確約されたようなものッ!そしてトニオさんの店「トラサルディ」の名前が!トニオさんのエピソードは本編とは全く関係ないので難しいとは思いますが、大好きな話なので出てきたら嬉しいッ!学校の入り口には「ぶどうヶ丘高校中等部」の看板もあったので、重ちーの登場も可能ッ!ところで冒頭で出るバースデーケーキに「ユウちゃん」という名前が書いてて、てっきり「噴上裕也のことか?」と思いますよね!思わないか!

・スタンドでのアクションについては、三池監督のインタビューによると「スタンドがアクションしているときは役者は映さない」というこだわりがあったようで、そこが非常にわかってるなあと唸りました。確かにスタンドが動いていても本体は動かないので、一緒に映すと実写ではマヌケそうですね。緻密な構成を実現するために絵コンテまで使ったらしく、その効果は出ていると思います。それにしても役者が動いていないアクション映画というのは変わっていて面白いですね。

・もっとスタープラチナ見たかったなー。スタープラチナの能力は「パワーとスピードと正確性」であって「時を止める能力」という説明は正しくはないんですが(めんどくさいファン)、時を止めるときのギュギュギュ……っていう青白い映像はイイし、「オラオラ」もしっかりやってくれたのは嬉しい。それだけに「スタープラチナ」というスタンド名が一度も出てきてないのは不満ではあります。

・形兆のバッド・カンパニーはとても良かったです。小さいヘリや戦車は実写だとラジコンみたいなんですが、たとえラジコンであってもあれだけ囲まれれば怖い、というのが意外でした。しかも事前に実際に動く兵士が映されたり、ヘリに乗っている兵士も動いたりするので、単なるラジコンではない不気味さがあるし、しかもあの火力です。あそこだけ戦争映画みたいになってたのが最高でした。億泰のザ・ハンドは右手がぐるぐる動いてたり、電磁的な「ブォォン」みたいな音をさせるのが面白い。そして流れ的にこれはチリ・ペッパーがくるかと思わせて、まさかのシアー・ハート・アタック!サーモグラフィ的な映像で熱を感知する映像が『プレデター』を思わせます。ちょっとね、形兆をどう攻撃したのかがよくわからなくて、最後に形兆が口にくわえたまま喋ってたように思えるのが少々残念。

・説明不足だなあというところは特にスタンドに関してです。「妙なこと」「能力」「悪霊のような」というワードから何となく超能力的なものというのはわかるでしょうが、スタンドは精神力によるパワーを持ったヴィジョンである、というのは伝わらない気が。せっかく承太郎が仗助にスタンドの説明をしようとするのに、仗助が「いいッス」と言ってその説明を聞かないため、結果的に割愛されてしまうんですね。まあスタンドはスタンド使い同士にしか見えないとか、スタンドを傷つけられると本体も傷付くとか、弓と矢がスタンド使いを作る、元々スタンド使いな者もいる、といった点は劇中には出てくるのでギリギリ伝わるのかな。

・また本作は原作では第4部に当たるためにそれまでの経緯が描けず、虹村父とDIOの関係や、承太郎の持っていたアンジェロの写真がジョセフの念写したものであることなどもわかんないでしょう。ただ、全ての設定を救うことはさすがに無理だろうというのはあるので、ある程度は割り切ってるんだろうとは思います。祖父に「4歳の頃死にかけた」「お前は生かされたんだ」と言われた仗助がおもむろに(食事中だというのに)髪を櫛でとかし始めるというのも原作を知らない人には意味不明でしょうが、知ってる者には「ああ」と納得できるものではあります。そして知らなかったとしても、「生かされた」という良平の言葉が、仗助が祖父の思いを引き継ぐ理由の一つとしてさらなる説得力となっているので、別の観点でカバーできてますね。

・ラストは仗助、億泰、康一が三人で学校へ通う姿、そして「新しい毎日が始まった」という康一のナレーションで幕を閉じます。最後が三人の歩いていく姿を遠目に映した町のロングショットであるというのが、杜王町という町もまた主役である、ということを表していると言えるんじゃないでしょうか。そして始まったエンドロールを早々にぶった切って映されるシーンこそが、この町と敵対する男を表しているわけです。和室のなか、3等ばかりのトロフィーや盾、白っぽいものが詰まった瓶、サンジェルマンの紙袋、そして袋からはみ出た手と、失われたはずの矢!ボウリングの爪切りまで置いてある!匂い立つ不穏さ、激化する戦いの予感。続編への期待が高まります。

・しかしこのジョジョ実写は第何章までやるんでしょうね。発表されてないということは興行収入によって変わるのでしょう。下手すりゃ第二章さえ作られない可能性も……そんな暗い予想はひとまず置いといて、今後の展開がどうなるかについては妄想が捗りますな!三部作だとすれば、一章のラストがシアーハートアタックということはチリペッパーの登場はなくなったわけで、となるとジョセフも出ない?すると二章のクライマックスは靴のむかで屋か?でもそれだと仗助が目立たないか。あるいは二部作になって一気にバイツァ・ダスト?あれはSFとして映画でどうやるかは非常に興味深いなあ。ヘブンズ・ドアーはさすがに出るだろうけど、既にザ・ロックもサーフィスもカットされてるので、登場スタンドはかなり絞られそう、ああその前にラブ・デラックスもこれからだし、エコーズはどこまで成長するのか!……やかましいのでもうやめます。何はともあれ楽しみにしてるので、ジョジョ実写を企画した方!続編制作も覚悟をもって進めていただきたいです!

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