2017
07.28

言ってはいけない、君の名は。『バイバイマン』感想。

The_Bye_Bye_Man
The Bye Bye Man / 2017年 アメリカ / 監督:ステイシー・タイトル

あらすじ
バイバイキ~ン!(別人)



アメリカのウィスコンシン州で、古い屋敷に引っ越してきた3人の大学生。その屋敷で、言ったり考えたりしただけで不幸が訪れる名前「バイバイマン」をたまたま知ってしまう。バイバイマンに取り憑かれた3人は互いに助け合おうとするものの、次第に追い詰められていき……。謎の存在の理不尽な恐怖を描くホラー。

エリオットとサーシャのカップルと、エリオットの幼なじみジョンの3人が、ルームシェアならぬホームシェアのために引っ越してきた屋敷で見つけた、隠された名前「バイバイマン」。その名を言ったり考えたりするだけでアイツはやってくる!という都市伝説系ホラーですね。ちょっと条件厳しすぎないか、と思いますが、その理不尽な追い込まれ方が恐怖となっていきます。バイバイマンによって、ないはずのものが見えたり聞こえたりする。目の前の事象は現実なのか、一体何を信じるべきなのか、そんな疑いがやがて仲良し3人組の間に徐々に亀裂を拡げ、周囲の人々も巻き込まれていきます。そんな幻惑的なところがキモ。

ダグラス・スミスの演じるエリオットは最初は真面目なヤツかと思いきや意外と嫉妬深かったり、クレシダ・ボナスの演じるサーシャへの疑惑が膨らんだり、ルシアン・ラビスカウントの演じるジョンがスケコマシ野郎なのが危うげだったりと、若手たちは誰もが持っているような自身の闇に徐々に飲み込まれていきます。そんな彼らを苛むバイバイマンを演じるのは『ヘルボーイ』『パンズ・ラビリンス』のダグ・ジョーンズ。ほとんど顔が映らないので誰だかわかりませんが。あと刑事役で『マトリックス』のキャリー=アン・モスも出てますよ。

系統としては『ファイナル・デスティネーション』とか『イット・フォローズ』などに近い印象なんですが、同じ理不尽ホラーとしてはちょっと何かが物足りずモヤモヤします。でも「言ってはいけない、考えてもいけない」という追い込まれ方はなかなか精神にくるものがありますよ。

↓以下、ネタバレ含む。








エリオットとサーシャとジョン、この3人が一軒家に一緒に暮らすというのはまあそういうのもあるかもなあとは思いますが、贅沢ですねえ。いやいいんだけど。ただわりと最初からイチャイチャしたり女を連れ込んだりパーティーでヒャッハーとやったりと、この3人にあまり好感を感じられなかったです。人物像を深く掘り下げるわけでもなく、かと言ってホラー映画で惨殺される若者みたいな振り切り方でもないので、そこがモヤッとします。悪い奴らじゃないんだけど。

加えて、名前を見たあとサーシャが突然「あいつがやってくる」みたいなことを言い出すのが唐突。そんな描写あったっけ?そもそもバイバイマンって何者?というのは最後まで全く解明されません。通常ならそういう存在だ、で済むんですが、襲う手段が幻覚を見せたり幻聴を聞かせたりして自滅を図るというのが地味で、タイトルにも名前を冠しながら顔まで映るのは一瞬しかない。直接来ないで姑息な手段ばかり使ってるように思えてしまうし、映像によるおぞましさはあるもののバイバイマン自体は非常に印象が薄い。まあホラーヒーローにしようという思惑はないってことですかね。ああ、でも名前だけが一人歩きしてる存在、という観点ではその印象の薄さも正しいのかもしれません。

そういう意味では「言うな、考えるな」という、その存在を意識すること自体が呪いの引き金になるというのは理に叶っているとも言えます。理不尽さが怖さに繋がってるかと言えば微妙ですが、最大の恐怖はそれを意識から消せないことなんですね。それがパニックを引き起こし、まんまとバイバイマンの思惑通りに死んでいく。メインの3人の、カップルとヤリチンという組合せから予期される不穏さというのは序盤からあるわけですが、それを逆手にとって実際は全くそんなことはないのに信じられなくなる、という点に繋げていたり、部屋のすみにかけてあるローブが今にも動き出しそうだけどなかなか動かないというのも、意識してしまうからそう思うわけです。

過去に記者が起こした惨殺事件も意識から消せずに膨れ上がった恐怖によるもの。あの長回しで見せる過去の虐殺シーンは狂気が感じられて良いですね。つまりは幻惑による恐怖で正気を失わせるのがバイバイマンの手口なわけです。そうしてラストのエリオットによる苦渋の行動は最悪の結果をもたらし、結果屋敷の消失と共に決着を迎えます。姪っ子ちゃんが文字を読まずに済んでよかったですが、その名を刻んだ引き出しは次の犠牲者を待つのでしょう。ホラーとしては悪くない終わり方です。……でもやっぱり、結局バイバイマンって何?って思うんですけどね。

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