2017
07.25

馬鹿侍、振るうは護るための剣。『銀魂』感想。

gintama
2017年 日本 / 監督:福田雄一

あらすじ
カブト狩りじゃあああ!



江戸時代末期、宇宙から襲来した天人(あまんと)により開国させられた日本。廃刀令により侍は衰退の一途を辿っていたが、そんななか風変わりながら侍としての心を持つ男・坂田銀時は、剣術道場の息子・新八と戦闘種族の少女・神楽の3人で万事屋を営み、日々事件に巻き込まれたり巻き起こしたり……。空知英秋の同名コミックを『変態仮面』福田雄一監督、小栗旬主演で実写映画化。

現実的な世界以外を描くコミックの実写化もずいぶん増えましたが、ここにきてまさかの『銀魂』実写化。原作コミックはそろそろ完結が見えてきたところで、映画としてはアニメの『劇場版 銀魂 完結編 万屋よ永遠なれ』以来ですかね。まあそもそもギャグとかメタネタが普通にまかり通る作品なので、たとえ実写化がコケても作品内でネタにできるという強みがあるんですけどね。

しかしこれが予想以上にすげー楽しかったです。どれだけ無茶をやっても許される世界観をフルに活かして、実写ならではの役者ネタもぶっ込み、実写だと多少エグさが増す下ネタも躊躇せず、実写でそれは版権ヤバくね?というネタまで、もうやりたい放題の笑いまくり。ストーリーは原作の「紅桜編」がベースで、結構原作に忠実。そこまで突出したエピソードでもないですが、万屋、真撰組、鬼兵隊、桂やエリザベスや妙さんと、主要キャラが皆絡めるのでチョイスとしてはいいんじゃないですかね。

何よりキャラのハマり具合がとても良いです。特に万屋の三人、銀時役の『ミュージアム』小栗旬は台詞の抑揚も上手いし中心人物としての存在感もあります。新八役の『帝一の國』菅田将暉は彼の持つオーラが消えるほどのメガネっぷり。神楽役の『セーラー服と機関銃 卒業』橋本環奈は喋り方も馴染んでるし、アイドルとは思えないはじけ方が潔い。この三人の揃った絵面にはかなりの安心感があります。全てをさらけ出した中村勘九郎、本領発揮しすぎの佐藤二朗、汗かいて唾飛ばしながら叫び続けるヤスケンなどには爆笑。他にも豪勢な役者陣が力一杯バカやってます。この力一杯というのは大事ですね。

シリアスなシーンは台詞が多くて若干テンポも悪くなりますが、元々『銀魂』ってそうだしなーまあいいかなー。観る前は気になったコスプレ感も、衣装としてはきっちりと作られてるし、ちゃんと舞台が整った上だと特に気にならなかったです。何より福田監督の作風とマッチしてるし、さほどミスキャストがいないのも良い。僕は元々原作好きなのでスゴく楽しめたしニヤニヤしながら観てましたが、一応初見でもわかるようにはなってるんじゃないですかね。まあわからなくても十分笑えます。『銀魂』のひとつのバリエーションとしてナイスな実写化です。

↓以下、ネタバレ含む。








■キャラクターのこだわり

キャラの作り込みが振りきってるのはさすがの福田雄一作品。やる気のない大人ぶりとしゃくれ演技が意外と似合う小栗旬!腰振ってちゃダメとかシミ付きパンツとか連呼して白目鼻ほじゲロまで吐く橋本環奈(注:千年に一人のアイドル)!「銀さぁぁん!」の叫び声と敵に囲まれヘタレる姿が実にメガネな菅田将暉!そんな万屋メンバーは元より、頭悪い朗読と無表情テヘペロが怖いお妙さんの長澤まさみに、ゴールデンはちみつ&全裸素振りで体を張るのが最高すぎる近藤の中村勘九郎、めっちゃ喋ってるのに意地でもくわえタバコをやめず喋りにくそうな土方の柳楽優弥、巨大カブトでもふてぶてしさ全開な沖田の吉沢亮、生真面目さが滲み出るヅラではない桂だの岡田将生と、よくここまで揃えたなという配役。見た目だけではなく喋り方や動きもこだわってます。

また子の奈々緒は『土竜の唄 香港狂騒曲』に続くバカエロっぷりだし、佐藤二朗なんて佐藤二朗でしかないけどフェミニストだし、佐藤二朗と菅田将暉のやり取りで奈々緒笑っちゃってるし、なんなんだこの面子。鉄子役の元ももクロ早見あかりが唯一マジメで普通のキャラなのでちょっとかわいそうにさえ思えてきます。一方のシリアスパートを締める似蔵は最初は新井浩文に見えないくらい作り込んでますね、最後は人間にも見えなくなるけど。堂本剛の高杉も雰囲気出てますが、もう少し身長があれば……はだけた裾から素足を覗かすという予想外のお色気担当でもあるのでまあいいですかね。定春がCG丸出しだったり天人の着ぐるみ感はさすがに雑だったりしますが、エリザベスの着ぐるみ感はしっかりギャグにしてるし、て言うか消えるの!?て言うか声は山田孝之なの!?て言うか松陽の声はアニメと同じ山ちゃんなの!?源外のムロツヨシだけはむりやりねじ込んだようなミスキャスト感がありますが、もういいよ許すよ。


■作り込んだ「らしさ」

始まりがわりとまともなので(わりとね)結構しっかりした作りなのかと思いきやいきなりカウン○ダウンTVだし、橋本環奈の奇跡の一枚は出てくるし、小栗旬はカラオケで名前出しすぎだし、馴れ初めとかなしで完全に知ってる体で始まるし、ああこれは確かに銀魂だって思えますよ。特にカブト狩りのシーンは、超ざっくりながらキャラ紹介、適度なチャンバラ・アクション、ギャグのテンポの良さ、役者のはっちゃけぶりまでを一通り見せて一気に世界観に引きずり込むのが秀逸。

ギャグパートの振りきり方も、殴られネタのような重ね方が効いてるものや、結野アナの呼ばせ方みたいな細かいもの、原作通りの笑いから独自のギャグまでバラエティ豊か。銀時を送り出した後のお妙の前に現れる近藤とか、鉄子回想シーンでの村田と武市のやり取りとか、村田が心の声までうるさいとか、真面目なシーンにも笑いを挟み込んでくるのが良いです。あと軽々越える作品の壁は実写では珍しいので愉快。ドラゴンボール音読やワンピース悪魔の実はまだジャンプ同士だけど(でもジョジョにはピー音が……)、他にも寄生獣だのバカボンだの、あとアニメが元サンライズだからってやけにガンダムネタ重ねた挙げ句に等身大ザクとか相棒の人のシャアとか、あの風の谷の人は大丈夫なのか?とかやらかしてくれます。「ルパンか」の台詞は原作にもありますが、さりげなく小栗旬の『ルパン三世』をもネタにしてるのか……?冒頭の小栗旬ソングをしっかりエンディングでも使うのが抜かりないです。


■映画としてのアレンジ

それだけに後半のシリアスパートでちょっと流れが止まるのが目立ちますが(特に似蔵の台詞が長い)、この辺りは原作でも見られる点なので(映画としてどうかはあるものの)ある程度はしょうがないです。むしろ台詞回しまで原作再現してると言ってもいい。ただ、戦いで対峙してる相手から思い切り視線を外して喋ってるのは緊迫感に欠けます。あと高杉の目が光るという演出はさすがにやりすぎ。銀時が桂と歩いているときにいくら何でも鼻ほじりすぎとか、若干狙いが外れてる点もなくはないです(ちゃんとツッこんではいるけど)。

アクションはかなりカット割ってるしそこまで魅せるというほどではないですが、それよりは動きの面白さ、キメ画のカッコよさみたいなものを重視してるんじゃないですかね。剣がぶつかり合ったときカメラがちょっと前後するというのもその一環でしょう。土方と似蔵が斬り合いの最中背中をくっつけるのは不自然ながらケレン味あるし、銃を撃つ菜々緒の足を神楽が回りながらの攻防なんて足蹴って倒した方が早いですが(実際そのすぐあと足払いする)、でも画的に面白いわけです。殺陣そのものをメインにするわけではなく、あくまでキャラを中心にした見せ方であり、アクションを世界観に合わせるという映画としてのアレンジだと思えます。

ギャグをふんだんに入れながらキャラを立て、それなりにスケール感も出して、銀魂実写化としてはほぼ文句なし。新八と神楽がニヤリと笑って「宇宙一バカな侍だ」と言うシーンなんてちょっとじんわりしちゃいましたよ。これは続編も作ってほしいぞ。

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