2017
07.10

海の死神 vs 海の適当男!『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』感想。

Pirates_of_the_Caribbean_5
Pirates of the Caribbean: Dead Men Tell No Tales / 2017年 アメリカ / 監督:ヨアヒム・ローニング、エスペン・サンドベリ

あらすじ
死人に口なし(でもむっちゃ喋る)。



海の死神・サラザールに襲われた船の船員ヘンリーは、サラザールが恨みを持つジャック・スパロウを連れてくることを条件に解放される。ジャックを見つけたヘンリーは天文学者カリーナと共にジャックに同行し、サラザールの復讐を阻止するための秘宝「ポセイドンの槍」を探すことになるが……。ジョニー・デップ主演による『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの第5弾。

ディズニーランドのアトラクションを元にした海賊アドベンチャー映画、という紹介文ももはや不要なほどのヒットシリーズ、孤高の海賊ジャック・スパロウが巻き起こす珍道中も5作目ですか。個人的には特に思い入れはないけど結局全作劇場で観てるという意味で『バイオハザード』に並ぶシリーズです。今作ではオーランド・ブルームの演じたウィル・ターナーの息子ヘンリー、魔女として捕らえられていた天文学者カリーナが、ジャックと共にお宝探し、そこにジャックの宿敵バルボッサも絡み、海の死神こと呪われた亡霊サラザールと対峙します。

ご都合主義な展開、勢い重視で雑な細部、緩いギャグといった微妙な点は相変わらず。一方で、こだわりの美術や衣装、迫力の映像、雰囲気あるロマンホラーという点では力が入っており、良くも悪くもシリーズを踏襲してる感があります。それでも今回は物語が多少スッキリしている分入り込みやすく、コメディ要素もそこまでスベってないし、色々と凝った映像も楽しいので、夏のブロックバスター映画としてはいいんじゃないですかね。シリーズ通して観たきた人には響く仕掛けがあったりもします。

ジャック・スパロウはもうすっかりジョニー・デップを代表する役になっちゃった感じですが、それだけに安定感はあります。今作は何と言ってもサラザール役の『ノーカントリー』『007 スカイフォール』のハビエル・バルデム。独特な不気味さと、怖いと言うほどではない"おっかなさ"がイイ。ヘンリー役に『マレフィセント』のブレントン・スウェイツ、カリーナ役に『メイズ・ランナー』のカヤ・スコデラーリオとフレッシュな顔ぶれを加え、おなじみバルボッサ役のジェフリー・ラッシュもちょっと違う一面を見せてくれます。

でもやはりジャック・スパロウですね。今作はトリックスターに立ち返って場を引っ掻き回すのがとても良いです。あとポセイドンの槍以上に、カリーナのおっぱいがお宝です。

↓以下、ネタバレ含む。








緩いコメディシーンは相変わらずあるわけですが、今作はわりとアドベンチャー感に繋がっているのが良いです。序盤の市中引き回しシーン、たったあれだけの馬で1トンある金庫と建物を車輪もないのにあのスピードで引きずる、という無茶苦茶さには少々呆れますが、カリーナとの出会いも(無理やり)含めてるし、派手にかましてくれる感じは好感。ジャックの回転ギロチンコントも重ね方とカメラアングルが面白かったし、ビンから出したブラックパール号がちょっとしか大きくならないのには不覚にも「ふふっ」て笑っちゃいました。水に入れたら膨らむの、ドラえもんの「ひものゆうれい」みたいだな。

ヘンリーが伝説の海賊と言われるジャック・スパロウをあっけなく見つけたり、軍が病院に忍び込んだカリーナや泥だらけで見分けがつかないはずのジャックを簡単に発見したり、ジャックを見捨てたはずの船員たちが普通に助けにきたり、まあ色々と都合のいい展開が続きます。偶然知り合ったカリーナがバルボッサの娘なのはまあいいとして、娘と知ったバルボッサがその経緯をジャックにペラペラ話したり、あまつさえ急に慈愛溢れる感じに様変わりするのには「そんなキャラだったっけ?」と置いてきぼり感がありまくり。海軍が話にあまり絡んでこないのはややこしくならなくてよかったですが、一方で魔女のシャンサ(だっけ?)という、インパクトはあるけど誰?というキャラを半端に出したり。アイテムの使い方もちょっと雑で、カリーナの持っていたのがガリレオ・ガリレイの日記だというのは重要な要素に思えるもサラッと流されるし、せっかくのポセイドンの槍が呪いを解くために壊すだけというのは何だかもったいない。

バルボッサが自分を犠牲にして娘を救う、というのは泣けるシーン……なんでしょうが、まだジャックもいるのにサラザールと心中までする必要性がないような……え、なんで?という思いが先にたって入り込めず。ジャックおじさんがポール・マッカートニーというよくわからないサプライズもありますが、ウィル役のオーランド・ブルームはともかく、エリザベス役のキーラ・ナイトレイこそをサプライズにした方がよかったんじゃないですかね?宣伝で思い切り名前出してるけど。……と、とにかく気になる点を上げ始めると山ほどあるんですが、でもまあそういうのを気にするシリーズでもないかな、とも思うんですけどね。ジャックのコンパスやボトルのなかのブラック・パール号、フライング・ダッチマンに閉じ込められてるウィルなどの設定を「言われてみればそうだったような」と忘れてる程度の観客なので、偉そうなことは言えないです。

それでも色々と凝った映像は楽しいので最後まで見れます。サラザールのフワフワ浮くような髪の描写とか良いなあと思うし、色々と欠損した船員たちとか、船を食う船とか、ゾンビサメとか、サラザール回りの映像は結構好き。あと海賊船とそこでのアクションが豊富で、海洋冒険活劇の趣が強いのも良いです。至近距離の砲撃合戦やそのなかで大砲を渡り歩くシーンなどはユーモラスでありながらスリリング。あとクライマックスでの割れた海のヘリを走る船、という絵面は、海ではなかなか見られない高低差があって新鮮でした。

ジャックが物語の中心にいながらも実はメインじゃない、という立ち位置は1作目を彷彿とさせます。ジャック・スパロウという人物がどういうキャラなのかいまだによくわかってないんですけど、そのよくわかんない適当さと、でもやるときはやるという不思議な強さが魅力だと思うので、それが前面に出ているだけで許せる気がします。今作は二組の親子ドラマが軸なので、ジャックの適当さはむしろちょうどいい。ウィルの息子があんな成長してて一体みんな何歳なんだ?とも思いますが、そんな年齢不詳なキャラたちの雰囲気が伝説感があってイイですよ(そう言えば若い頃のジャックはCGじゃなくて役者さんが演じているというのはちょっと驚き)。そして最後は海へ出発して終わる、という締め方が冒険もののラストに相応しくて良いです。

ああ、それだけにエンドロール後の映像の蛇足感にはガッカリ。どう見てもあれはデイヴィ・ジョーンズで、その再登場には期待よりもネタ切れ感を感じちゃうんですけど。緩くて雑な作りなのは別によいので、せめて新鮮味を感じさせる続編にしてほしいところです。

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