2017
07.05

支配と列車を止める虎。『レイルロード・タイガー』感想。

Railroad_Tigers
鉄道飛虎 Railroad Tigers / 2016年 中国 / 監督:ディン・シェン

あらすじ
ゆうこ~(はあと)



第2次世界大戦下の中国、日本軍の物資補給を断つべく鉄道を襲う、一般市民によるゲリラ隊「レイルロード・タイガース」。リーダーのマー・ユェンは、軍の兵士が成し得なかった列車爆破計画に乗り出すが、それを阻止するべく日本軍指揮官ヤマグチが立ちはだかり……。『ポリス・ストーリー レジェンド』のディン・シェン監督、ジャッキー・チェン主演によるアクション・コメディ。

日本占領下の中国を舞台に、日本軍の列車を襲う義士団、レイルロード・タイガース。そのリーダーのマー役がジャッキーですね。普段は駅の倉庫で働きながら、若い衆を従えて列車を襲う、その姿にはコミカルさもあり、どこか義賊っぽさもあります。戦時下という時代設定だけに結構人も死にますが、重苦しさはなく、緩いコメディ要素と軽妙なポップさが続いて、冒険活劇を狙った感じですかね。それが物語の背景とマッチしてるかと言えばかなり微妙ですが、ジャッキーがアクション控えめなのもあって全体的にまったり。

チームものとしてメンバーのキャラ立ちはなかなか良いです。ヒゲがシブいジャッキーはちょっと感情抑えめで冷静な感じですが、そのぶん若気の至りなヤングたちが頑張ります。クールなふりして意外と熱いファンさんとかいいですねー。ルイ役のジェイシー・チェンはジャッキーの息子で、本格的な親子共演は初のようです(でもなぜかジャッキーの弟役)。あと『ライジング・ドラゴン』のジャン・ランシンが日本軍将校の由子を演じてます。足が長い。しかし何といっても池内博之ですよ。『イップ・マン 序章』でも敵役でしたが、本作ではどこか憎めない日本の将校役として予想を超える魅力を見せてくれます。他の日本兵が中国の役者が多いなか一人しっかりと日本語台詞なので締まりがあるし、ジャッキーとの対決も見もの。

ただなあ。描いてることは面白いんだけど、どうにもテンポが画一的すぎてメリハリに欠けるため、眠気を誘われるのが難点。もう少しタイトにしてもよかったんじゃないですかね。それでも終盤の怒濤の展開にはちょっと『ローン・レンジャー』を思い出す面白さがあります。

↓以下、ネタバレ含む。








人物紹介やCGでの説明場面などがポップで、色使いも明るげ、音楽も陽気なので、人が苦しんだり死んだりするわりには軽妙です。ちょいちょいギャグを挟んできたりもするし。命を軽んじたりギャグでごまかしたりしてるわけではないんですが、どこか寓話的と言うか、そもそも現代の博物館にある列車に描かれてた落書きからはじまるので、子供に聞かせる物語という側面が強いんでしょうね。蒸気機関車とか空飛ぶ虎とかノスタルジーを感じさせるファンタジックな要素ではあるし、演出もそのトーンで統一されてるなあという感じ。

だからアクションも格闘バトルと言うよりはアドベンチャー系ですね。列車の屋根に飛び乗ったり、屋根の上での攻防を繰り広げたり、車内への出入りや車両切り離しなど、様々な列車アクションが見られるのが面白い。特に終盤の大橋爆破のシーケンスは盛りに盛ってて、車両に乗せた戦車や大砲まで使うのはダイナミックだし、大橋までもう少しで届かないスリルとか、それを補うために別の列車をぶつける迫力などはかなりのもの。マーとヤマグチが戦うなかでなかなか火がつかない爆弾のもどかしさなども、死を賭した戦いとは裏腹にコミカルです。

でもそのクライマックスに至るまでが長いです。それは先に述べたように変化のないテンポのせいで冗長に感じるからで、あとはシーンの切り替えが早いので余韻を感じる暇がなく、ポップさの弊害として緊張感に欠けるというのもあります。登場人物は、仕立て屋ファンのハサミの使い所とか、あれだけ協力するのを渋ってたファンさんが一旦仲間になったらマーを兄貴呼ばわりとか、基本的にはキャラ立ってますが、スリ(だっけ?)の小僧などは最後まで印象に残らないし、占い師とか正直全くいらないしと格差があるのは残念。その代わり池内博之が、高圧的でしつこいけど「痛いぞー」とか「ゆうこぉ」とか「尻が!」とか面白すぎるので満足。ジャッキーを殴り付けるなんてなかなかできる役じゃないですよ。あとジャン・ランシン演じる由子が最後に何度も列車の窓を破ってやってきたり、髪型がコントみたいになってるのには笑いますが、最期が悲惨で笑えないというのがなんかギリギリな感じですね。切腹をギャグにするのもギリギリ。

このギリギリセーフ or アウトな境界の連続が少々半端なために痛快さにまで繋がらず、冒険活劇の雰囲気を醸しながらもどこかフラットな印象を受けてしまいます。死んだはずの兵士ダーグオが最後にやってくる兵士たちのなかにいたような気がしたんですが、違うかな?なんかそういうあやふやなところも影響してるのかも。もう少しメリハリが欲しかったです。ただ最後の最後で判明する、話を語って聞かせてたのがアンディ・ラウだった!というビッグ・ゲストの使いどころはニクいですね。空飛ぶ虎の伝説は、子供に何か尊いものを伝えて終わる、という締めも悪くないです。

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