2017
04.07

あなたがいないと戻せない。『サクラダリセット 前篇』感想。

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2017年 日本 / 監督:深川栄洋

あらすじ
セーブも大事。



多くの住人が特殊能力を持つという街、咲良田。そこに住む高校生、過去の記憶全てを保持する能力者・浅井ケイと、時間を最大3日もどせる能力者・春埼美空は、常に行動を共にしていた。やがて二人は「魔女」と呼ばれる能力者を巡る陰謀に巻き込まれることになる……。河野裕の同名青春ミステリー小説を2部作で実写映画化、その前編。

異能力者が登場する話です。でも『X-MEN』的な超能力バトルがあるわけではなく、基本的には能力や設定で縛った限定ルールの中で展開する青春学園ミステリーですね。浅井ケイは過去に体験したすべての記憶を保持する能力を持ち、同じく春埼美空は世界を最大3日分巻き戻す能力「リセット」を持っています。リセットを発動すると時間が巻き戻るものの、春埼自身の記憶もリセットされてしまう、しかしケイだけは記憶保持の能力で記憶はリセットされないため、何か取り返しのつかないことが起こったときも2人が一緒にいれば最大3日の日々をやり直すことができるんですね。この3日間時間を戻す能力がキモになっており、他にも登場する能力の組合せや、この能力であの能力を防ぐなどの使い方で魅せるのがちょっとジョジョっぽくて、若干地味ながら面白いです。

主人公ケイ役は『ちはやふる』の野村周平、春埼役は『オケ老人!』の黒島結菜で、この二人の淡々としながらも内に思いを秘めた感じがなかなか良いです。二人とも髪サラッサラだな。ケイの同級生・相麻菫役に『青空エール』平祐奈、能力者の村瀬役に『貞子vs伽椰子』の玉城ティナ、他にも恒松祐里や健太郎などの若手がフレッシュ。ベテランではキーとなる人物・魔女役が加賀まりこ。あと教師役で吉沢悠が出てますが、いまやどうしても『アイアムアヒーロー』のクズ野郎を思い出してしまう……。

未読だけど原作面白そうだな、と思わせる仕上がり。人物のアップが多すぎるなど気になる点もありますが、能力者の苦悩やその力の使いどころなどは良いです。原作をなぞっているのか台詞がちょっと文語体すぎる気はしますが、少し非現実を織り混ぜた世界観には合ってますかね。ミステリー好きにはオススメ。後篇はかなりスケールアップしそうなので楽しみです。4月からTVアニメ版も始まります。

↓以下、ネタバレ含む。








能力者とは言えメインは普通の高校生なので、悩んだり傷付いたり恋心を抱いたりもします。控えめな春埼が能力を奪われたときにケイに言う「二人の関係性は変わりますか?」という思いや、相麻の小悪魔的な雰囲気に惑うケイといったところですね。指定したものを消し去る村瀬も命を落とすケイに泣きわめくし、他人の能力を奪う岡もケイに裏切られたと思ってやさぐれたという経緯があります。そして能力を持ってるがゆえに他者との関わりにその能力を使い、余計傷付いたりもするんですね。能力により迫害されるというのではなく、良くも悪くも能力の使い方が自身の人生に影響を及ぼす。能力者の住むサクラダの街という設定ならではの描き方です。

能力者は監理局により監視され管理されており、奉仕クラブとして能力を使ってのミッションを与えられたりもします。ただ監理局の規模とか権力とかの実態がいまいち分かりにくいです。会議室に殴り込みに行くシーンがありますが何か普通の役所と言うか講堂みたいで、村瀬が岡と二人だけで監理局を潰そうと燃えるのも実感しにくい。名前のないシステムと呼ばれる魔女の未来視能力を使って何かしてるのかな?(説明あったかもですがちょっとうろ覚え)魔女さんのいる施設は無味乾燥で別世界な感じが良かったです。でも、右手で開けて左手で閉めるロックの男は、あの能力でロックされたら開けられないということなのかな?というような説明不足は多少あり(原作では説明あるのかもですが)、とは言えそこはやりすぎてもテンポ悪くなるだけなのでまあしょうがないですかね。

能力には制約もあって完璧ではないというのが上手い具合に物語の組み立てに関わってて面白いです。一見チートっぽい能力コピーの能力は人に移すだけで自分はむっちゃ汗だくになるだけとか、能力を奪うという無敵に見える能力も目をじっと見なきゃいけないので知ってれば防げるとか(実際には能力の使い方を忘れさせる「記憶操作」の能力らしい)。なんでそんな能力があると気付けたのか、写真の中に入れる能力などはそこで会う人は一体どういう存在なのか、など疑問もなくはないですが、そんな能力を組み合わせての魔女救出作戦は、侵入から脱出までロジカルに練られていて、かつなかなかスリリング。ケイが自分を犠牲にすることで村瀬らを説得するとか、ケイがいなくなる前提で声を離れた相手に届ける能力をタイマー代わりに使うとか、誰もいない通路の写真を脱出時に使うなど、なるほどなーと感心します。能力のビジュアルが派手になりすぎない程度なのもちょうどいいバランスです。

2年前に死んだ相麻を写真に入り込んで生き返らせる作戦も盲点を突いていて面白い。全体的に春埼のリセットという能力がキーとなっていて、スマホを使ってセーブした時点にしか戻れない、一度リセットすると24時間使えないといった制約が上手い具合に働いています。ケイが自分の気まずさを誤魔化すためにしたリセットのために相麻の死を止められないといったドラマにも活かされて、かつケイと春埼の離れられない関係性にも繋がるんですね。

ラストでは相麻がわざと死んだかのようなことを言い、自分が新たな魔女であることを明かします。エンドロール後の後篇の予告映像では何やら大騒動が起こるようで、そこにリセットがどう活かされてくるのか。しかもハイテンションのミッチーの姿が!楽しみにしてますよ。

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