2017
03.22

俺は走る、お前は盗め。『フレンチ・ラン』感想。

Bastille_Day
Bastille Day / 2016年 イギリス、フランス、アメリカ / 監督:ジェームズ・ワトキンス

あらすじ
爆破、銃撃、パリジェンヌ!



CIAパリ支局のはみ出し捜査官ブライアーは、革命記念日前夜のパリ市街で発生した爆弾テロを捜査することに。しかし容疑者として捕らえたスリのマイケルはたまたま事件に関わっただけだった。ブライアーはマイケルに協力させ、二人で真犯人を探すことに。イドリス・エルバ主演のクライム・アクション。

CIAのアウトロー捜査官と超一流のテクニックを持つスリという二人が手を組んで、テロリストからパリを救う!二人ともアメリカ人設定だし英語喋るし、なぜパリなのか?というのは謎ですが、まあいいじゃないですか。爆弾テロの濡れ衣を着せられたマイケルが無実を証明するためブライアーに協力して(と言うかさせられて)犯人探し、という80年代テイストを感じるバディ・ムービーです。僅かな手掛かりを元に真相に迫っていくサスペンスとしての話運びが面白く、フレンチな景観を次々ぶち壊す二人の活躍は痛快で、コミカルさもあって可笑しい。屋根の上の逃亡劇や狭い車内での小気味良いバトルといったアクションも良くて、ライトに楽しませてくれます。

何と言ってもブライアー役である『パシフィック・リム』の我らが司令官、イドリス・エルバですよ。ジーンズ姿で走り回る重量感、ニコリともしない威圧感、過去に命令を無視してテロリストを射殺したという武闘派な背景というヤバさがたまりません。相棒となるマイケル役のリチャード・マッデンは『シンデレラ』での好感度抜群の王子様とはうって変わり、ブライアーに振り回されてちょっと頼りなさげ。でもキメるとこはキメる姿が良いです。仏警察ガミュー局長役は一瞬ロバート・ダウニーJrかと思いましたが『グランド・イリュージョン』で瞬間移動させられる人ですね。

監督のジェームズ・ワトキンスは『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』の人らしいですが、本作は基本的に陽性。イドリスが強すぎてバディ感はちょい薄めなものの、異色のコンビ+一人の徐々に増していく信頼感も気持ちいい。二人で色んな国で暴れてシリーズ化してほしいところです。

↓以下、ネタバレ含む。








イドリス・エルバの演じるブライアーはCIAでも若干持て余されてる問題児。でも行動力は抜群で腕っぷしも強いです。マイケルが最初に逃げた理由をブライアーに問われて「追いかけてきたからだ」と言いますが、あんな重戦車みたいなデカい黒人が走ってきたらそりゃ逃げますね。あのガタイでの屋根の上の追跡劇などは結構スリリング。また、ほとんど笑わないしかめっ面なので、たまにあるマイケルとのハズしコントみたいなやり取り、例えば謎の女性ゾーイをかくまった男を探すとき「奴の店に行けば?」で間が空いての「どこだ」とかね、笑います。

リチャード・マッデンの演じるマイケルは常に眉毛がハの字で困り顔の印象ですが(大体ブライアーに脅されるからだけど)、金を抜いて財布だけ戻すという神技を見せるようにスリとしては一流、警戒心も強く(つまり仕事が確実)、かつ機転も効くという結構デキる奴です。冒頭のストリーキングなどはその一端で、さらに映画のつかみとしても(あとおっぱいも)申し分なし。バーでとっさに行うピタゴラスイッチなシーンなどは秀逸。親が資産家だったのに経営してたカジノが潰れたために落ちぶれたという背景がありますが、「夢は医大に入ること」というのが胡散臭いというか、ヘタレな感じを増してます。

テロの片棒担がされそうになった女性ゾーイは、そのマイケルのヘタレ部分を補う形になってるのが良い構成ですね。狭い車内で三人が敵と争うシーンはスラップスティックな味わいもあって面白いし、ラストの銀行での攻防も三者三様の活躍。構成という点では黒幕の正体が意外とデカいのも驚きがあって良いです。特捜隊の隊長がガミュー局長の前に出てきたときと、局長がケリー・ライリー演じるカレンを撃つところは「えっ」となりましたよ。容赦ないところをしっかり映すところに局長らの本気がわかります。

序盤バイクで逃げようとしたマイケルにブライアーがなぜ気付いたの?など気になる点もあります。ラストの二人のやり取りがバディ感出そうと無理してる気もしなくもないとか。でも「足手まといだ」と言っていたマイケルに終盤ブライアーが手を差し出すところなどは熱い。ブライアーは「嘘と演技が上手い」と言われますが、簡単には心を開かない男がさりげなく見せる行動だからこそのシーンにはくるものがあります。ベタつかない距離感を保ちながら信頼を築き、何気に一国のクーデターを阻止した二人。良いです。

スポンサーサイト
トラックバックURL
http://cinemaisland.blog77.fc2.com/tb.php/1202-f842942e
トラックバック
back-to-top