2017
03.12

俺が先祖で先祖が俺で。『アサシン クリード』感想。

Assassins_Creed
Assassin's Creed / 2016年 イギリス、フランス、アメリカ、香港 / 監督:ジャスティン・カーゼル

あらすじ
闇に生き、光に奉仕する。



死刑囚のカラム・リンチは、遺伝子を操作する装置アニムスにより祖先の記憶を追体験させられる。彼の祖先はルネサンス期のスペインでテンプル騎士団と戦うアサシン教団の一人だった。現在と過去を行き来する中で、カラムは自分に受け継がれたアサシンの血を意識していく……。同名ゲームシリーズを実写映画化したアクション・ムービー。

世界中で人気のゲームシリーズ『アサシン クリード』の実写化とのことです。かなり多くのシリーズ作が出ており、世界の人々をマインドコントロールしようとしているテンプル騎士団の野望を止めるため、アサシン教団に属するアサシンとして暗殺を行うというステルスゲームらしいです。アニムスと呼ばれる遺伝子追体験装置により過去と現在を行き来するのが特徴で、そうした設定は忠実に映画にも反映されている、みたいですね。僕はゲームは未プレイなので、本作の映画版で初めて触れることになります。

過去パートの衣装や美術といった暗黒時代スペインのミステリアスな雰囲気に浸れるビジュアルは良いし、高低差のあるフィールドを使ったパルクール的アクションも面白いです。袖口からシャキーン!って出るアサシンブレードとか、高所から鷹のように大ジャンプして移動するイーグルダイブなどはカッコいいし、フードを被ったスタイルで戦うアサシンたちはシルエットがイカしてます。バトル満載の過去パートに比べて基本会話で進む現代パートは、若干テンポが崩れるというのはありますかね。

主人公カラム・リンチ役は『X-MEN:フューチャー&パスト』などのマイケル・ファスベンダー。彼自身がこのゲームシリーズのファンらしく、製作にも名を連ねてるほど。色んなファスが観れるのが楽しいです。いきなり歌う、倒れて泡を吹く、全身ピグピグする、一人演武をキメる、なぜか上半身裸になる、と魅せまくるファスベンダー!あと車イスに乗るシーンでは「チャールズ・エグゼビアと同じなのが嬉しくてしょうがないエリック・レーンシャー」と勝手に脳内変換されました。また謎の女性ソフィア・リキン役を『マリアンヌ』のマリオン・コティヤール、その父親アランは『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』などのジェレミー・アイアンズが演じています。

ゲーム版を知らなくてもさほどわからないということはなく、設定は「多分こうなんだろう」と大方は想像つくので大丈夫でした。観てる間は楽しかったです。でも正直今一つ引っ掛かりがないというか、するすると終わってしまった感じ。ゲームへの思い入れがあるとか、深い背景を知っているとかならまた違うのかなあ、と感じるところは随所にありました。あと10分以上はある長いエンドロールにはうんざり。

↓以下、ネタバレ含む。








スペイン暗黒時代という世界観のなかで、暗殺のスペシャリストたちが飛んだり跳ねたり格闘したりのアクションを見せるのは、歴史物として見ると独特の味があって惹かれます。あと黒っぽいフード付きの衣装やコンパクトな武器といったスタイル、トリッキーでスタイリッシュなアクション、「闇に生き、光に奉仕する」という陰で動く者たちの掟など、そこはかとない「ニンジャっぽさ」が良いんですよ。もっと無双の強さを予想してたら意外とやられちゃうのには拍子抜けしたんですけど、仲間の屍を超えて任務を果たす忍びの者、と思えばまあいいかなという気になりました。

ただそう捉えたとしても、全体的にはアッサリした感が否めません。アクションは色々スゴいことしてるなーと思うし、イーグルダイブなんて実際に38メートルも飛ぶというスタントをこなしていますが(メイキング見たけどホント凄い)、フードを被ってるとルックとしてはカッコいいもののどれが誰だか分かり辛くて、これが思いのほか没入感を阻害するんですよ。また、あまりカットを割らずに見せてくれるのはいいんだけど、逆に淡々とした感じを受けてしまったのはちょっと意外。加えて戦う敵の特徴が薄く、過去パートはかろうじて将軍みたいなのがいるもののどの程度のラスボスなのかわからず、現代パートに至っては戦うべき敵がぼんやりしてるし、倒すべき相手がジェレミー・アイアンズだけというのもそれが正しいのかもよくわかりません。ソフィアお付きの男はカラムに「尊敬する」とか言ってそれなりにやりそうな感じなのにバトルの出番はないし。あとカラムと共に戦う仲間もキャラが立ちが弱いため、せっかくの終盤の活躍も半端だったり命を落としても悲しめるところまで行けないんですよ。ここは非常にもったいない。

テンプル騎士団が求める秘宝「エデンの果実」に関してはなんか古代科学のオーパーツ的なブツのようですが(設定調べると"神"の作ったものらしい)、そこは特に言及はなし。冒頭でアサシンの儀式とか言って手に何かをして血を流すの、焼き印でも押してるのかと思ったら薬指を切り落としてた(ブレードを出せるように切るらしい)、なんですかね?カラムの祖先が火炙りで死んだと言っていたのに、その場面らしきところで結局逃げおおせているのは、起こったことは変えられないと言っていたので記録が違ったということ?……というように疑問は多々浮かぶんですが、大抵はサラッと流されてしまい、流されてもそれほど不都合なく観れてしまうというのもあって、結果アッサリした印象になってしまいます。

ゲームをやってた人ならすんなり受け入れるところなのかなあ、とは思うんですよ。シンクロすると毎回鷹の視点で空撮から入るのも、くどいなあと思いつつゲーム絡みの表現のような気もするし、ソフィアが「イーグルダイブ……!」と息を飲むので、単に飛び降りてるだけじゃないんだな、とは思うし。ただ、ゲームファンにとってはたまらん実写化でも、映画単体で観ると本来心に引っかかるところが割愛されている(ように思える)ため、「マリオン・コティヤールがアサシンの衣装着たら似合いそうだな」みたいなライトな感想で終わってしまうんですよ。悪くはない、ような気がする、けどどうなんだ?という、何とも言えない煮え切らなさ。ちょっと困惑します。

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