2017
03.10

善き者は勝つのが道理。『ナイスガイズ!』感想。

The_Nice_Guys
The Nice Guys / 2016年 アメリカ / 監督:シェーン・ブラック

あらすじ
キャーーーーー!(by ゴズりん)



私立探偵のマーチは、あるきっかけで出会った示談屋のヒーリーと共に失踪した少女の捜索をすることに。しかし単純な人探しだったはずの仕事は、やがてある連続不審死事件に繋がっていく……。ライアン・ゴズリング、ラッセル・クロウ共演のバディ・コメディ。

男手一つで娘を育てながらも酒浸りの私立探偵マーチと、淫行野郎には鉄拳も辞さない実力行使の示談屋ヒーリー。この二人が不本意ながらコンビを組んで失踪少女アメリアを探すというバディものです。舞台が1977年というのもあってテイストは80年代のバディ・アクション映画に近いものがあり、加えてどことなくポップな雰囲気が心地よいんですが、これがちょっとブラックなコメディでもあって、とにかく笑いが盛りだくさん。さらには姿を消したアメリアの秘密という謎解きサスペンスとしての話運びも上手く、命を狙ってくる殺し屋のスリルもあり、ついには司法の闇にまで迫っていく(おおげさ)!と見どころ山盛りで楽しいったらないです。

マーチ役は『マネー・ショート 華麗なる大逆転』『オンリー・ゴッド』のライアン・ゴズリング。『ラ・ラ・ランド』とはうって変わってやたら胡散臭く、甲高い悲鳴の見事さにはコメディもイケる器用さを披露。ヒーリー役は『グラディエーター』『ノア 約束の舟』などのラッセル・クロウですが、なんかやたらと太ましくなって熊っぽさが半端ないです。またマーチとヒーリーに負けじと活躍するマーチの13歳の娘、ホリー役のアンガーリー・ライスがキュート。彼女は『スパイダーマン ホームカミング』にも出演するとのことで楽しみです。他、『マグニフィセント・セブン』マット・ボマーや『L.A.コンフィデンシャル』キム・ベイシンガーらも出演。

監督のシェーン・ブラックは『アイアンマン3』の監督でもありますが、元々は脚本家として『リーサル・ウェポン』『ラスト・ボーイスカウト』『ラスト・アクション・ヒーロー』などの脚本を手掛けていたということで、本作のテイストにも納得です。製作ジョエル・シルヴァーだしね。ハードボイルドとは程遠い子持ち探偵とバイオレントな示談屋がやがて見せる奇妙な信頼関係が気持ちいいし、スラップスティックで派手なアクション、少しのせつなさ、おっぱい、と大満足。バディもの好きなら間違いなし。いやあ笑った、面白い!

↓以下、ネタバレ含む。








腕を折られ、落ちまくり、叫びまくるライアン・ゴズリングがとにかく面白いです。トイレの個室でドアをバタバタやるシーンなどは天才的。それを受ける(というより攻める)ラッセル・クロウの落ち着いた態度に時折見せる「マジか」という顔がまた良いです。この二人がコンビというのは最初はどうなるか全く予想できなかったんですが、蓋を開けれてみればこれほど作品的に相性のいい二人もいない、というのが結構驚き。エレベーター降りようとしたら銃撃戦に出くわしそのままエレベーターで降りていくとか、マット・ボマーのセクシー暗殺者に狙われてのマヌケなやり取りとか最高。そして娘のホリーちゃんが可愛い上に有能すぎて、でもあっさり騙されそうになる危なっかしさもあり、父親以上に応援したくなります。

簡単に終わるはずだった仕事が、あるポルノ映画にまつわる連続死事件へと繋がり、捜索対象のアメリアがなぜ逃げ回るのかという謎、そして自動車産業の闇という大規模な事件となっていきます。意外と人がサクサク死んでいく、ということからも結構シビアな話なんですが、それをあまり重く感じさせないバランスが秀逸。それだけに一人逃げようとしたアメリアを襲う悲劇が際立ちます(ホリーの友達が窓を割ってブン投げられるのも災難ですが)。クライマックスはヒーリーと殺し屋ジョン・ボーイの一騎打ち、マーチが転がるフィルム缶を追っての争奪戦と、剛柔を交互に展開して最後に交わるのがイイ。しかし倒れたらマクラとか、なんでマーチはあんなにタリーさんを気にかけるのか……?あと「自動車産業は再び甦る」みたいなことをカメラ目線で言い放つキム・ベイシンガーのカットナー司法長官には何か政治的なアレがあるんでしょうか。ともかく事件の黒幕まで炙り出す二人&娘ちゃんに喝采です。

マーチとヒーリーの二人に共通するのは人生諦め気味ということ。ヒーリーは奥さんに自分の父親と浮気してるという告白をサラッとされてそりゃ水も吹き出しますが、それも含めて「自分には何もない」と思ってるかのよう。でもレストランで悪漢を取り押さえたエピソードを話すとき「人の役に立てるのは幸せだ」という本心をこぼすことからも根は善人なんですね。一方のマーチは、鼻が利かないせいでガス漏れに気付かず妻を死なせたという罪悪感を拭えず、手に「幸せになれない男」というタトゥーまで入れています。失ったものの大きさに途方に暮れたまま停滞しているわけですが、「俺だってたまにはやる」と言うように本当は真っ当でいたいと思っているわけです。それがこの事件で諦めていた活気を取り戻し、善きことをしたいという思いを遂げるに至ります。反対にカットナーは国にとっての良きことを履き違え、実の娘を手にかけるという最悪なことをしてしまうんですね。

暴力から始まったものの、その暴力をこらえることで何かを手に入れたヒーリー。そして手のタトゥーが一部焼けて「幸せな男」になることで、新たな一歩を踏み出せたマーチ。この善き者二人が諦めていた人生を取り戻し、そして始めようとするのが「ナイスガイズ探偵社」。その臆面のない名前に笑いながらも、もうそれでいいよ!と納得してしまうラストがこれまた心地よいです。

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