2017
03.08

楽しく暴れて世界を救え!『トリプルX:再起動』感想。

xXx_3
xXx:Return of Xander Cage / 2017年 アメリカ / 監督:D・J・カルーソー

あらすじ
Xは一心同体。



強大な力を持つ軍事兵器「パンドラの箱」が危険なグループに奪われた!箱奪還のため、アウトローなエージェント、ザンダー・ケイジが再び召集される。ザンダーの集めた個性的な仲間たちによるチーム「トリプルX」は世界壊滅の危機を止められるのか!ヴィン・ディーゼル主演の(一応)スパイ・アクション、第3弾。

2002年の『トリプルX』、主演をアイス・キューブに変えての2005年『トリプルX ネクスト・レベル』に続き、12年ぶりにまさかの続編。ヴィン・ディーゼルとしては15年ぶりのシリーズ復帰です。型破りなシークレット・エージェントとしてNSA(国家安全保障局)のギボンズがスカウトしたエクストリーム・スポーツのエキスパート、ザンダー・ケイジ。彼が国家的危機に際して再び「トリプルX」としてミッションに挑みます。エクストリーム・スポーツアクションというと近年では『X-ミッション』が浮かびますが、観念的な感じではなく単純に「楽しいからやる」っていう姿勢が良いです。

とにかくド級のアクション山盛り!ザンダー役のヴィン・ディーゼルはもちろん、今作には宇宙最強の男こと『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』のドニー・イェンが参戦、さらに『マッハ!』『ドラゴン×マッハ!』のトニー・ジャーまで加わって怒濤のアクションで魅せてくれます。のっけからドニーさんの飛び込み登場、脱いで着るバトル、滑り込み退場!ヴィンが見せる「なぜそこまでして」という大滑走!金髪モヒカンでイメチェンが過ぎるトニー・ジャーは『ワイルド・スピード SKY MISSION』に続くヴィンとの共演で、軽~いノリが可愛い。またディーピカー・パードゥコーン演じるセレーナ、ルビー・ローズ演じるアデルの女性二人が美しくカッコよく、技術サポートのレベッカ役ニーナ・ドブレフが見せるドジっ子メガネっ子が超キュート!ギボンズ役のサミュエル・L・ジャクソンも続投、さらにはあの人まで!

ストーリーは大雑把だし、一部のカット割りすぎアクションにはげんなりするし、既視感もちょっとありますが、色々と凄いことやってるので楽しくてしょうがないです。チーム燃え、キャラ萌えもかなりのもので、若干偏りがあるとはいえ初出メンバーでこれだけキャラが立てば御の字ですよ。ハリウッド映画でここまで激つよカッコいいドニーさんもなかったのでは。ワイルド&セクシー満載、無茶苦茶で面白いぞ。シリーズ未見でも問題なく楽しめます。

↓以下、ネタバレ含む。








■ザンダー・ケイジは帰ってきた

アウトローな奴らが体制側に力を貸し、世界をまたにかけたミッションにチームであたって危機を救うアクション映画、ということで、構造的には『ワイルド・スピード』シリーズとそんなに変わらないんですよね。車を使わないのと、ハゲ率が低いのが異なりますが。そこら辺は製作兼任でもあるヴィン・ディーゼルの好みなんでしょうかね。でも細部は別の面白さに満ちてるし、スケール感もかなりのものなので問題ないです。タイトルロールからして衛星を渡り歩き、締めは地球に衛星落下ですからね。アホっぽい……もといニヤニヤします。人物紹介が格ゲー選択画面のようにババン!って出るのもアホっぽ……ワクワクしますよ。どうせなら敵側のドニーさんたちが仲間になったときにも出してほしかった。

この人物紹介と短いエピソードで何となく人物像を掴ませるのは本作の雰囲気には合ってます。『ワイスピ』のドムよりちょっとニヤケ気味なヴィン演じるザンダーは、余裕ある態度と臨機応変な行動力で、エージェントと言われればまあそうなんですよ。マッチョで言うこと聞かない007ですね(それもう007じゃないけど)。序盤の奪取&エスケープはスキーにスケボーで高さと距離を一気に詰めるのにアガり、さらにカウントダウンのスリルまで入れてザンダーの身体能力を魅せてくれます。ワールドカップ見るためというオチはネイマールが出てくるのと若干繋がってますね。ところであのボアボアのコートは何なんでしょうか。

そんなザンダーに対抗できるのはこの男だ!と言わんばかりの超絶バトル野郎ジャン。演じるドニー・イェンによる冒頭の大ジャンプから怒濤の拳撃&銃撃という一大アクションシーケンスにはあらゆるドニーさんアクションが詰まっていて、ここだけでご飯3杯いけます。なんで上着脱ぐの!でもちゃんと着るんかい!この二人が水上スキーに変形するバイクというスパイ映画っぽいギミック(そうか?)で追いかけっこするのは笑います。チューブまでくぐるとは。『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』『カンフー・ジャングル』を彷彿とさせるハイウェイでの戦いは、車にひかれながらも(そこが頭おかしいですが)二人でかけっこが楽しそう。ピン抜いた手榴弾の転がし合いとかね、どうかしてる度胸試しにはニヤニヤします。ドニーさんは飛行機での手をグルグル回しとか、終盤腹を撃たれたわりには元気とか、もうノリノリです。


■熱い女たち

ザンダーの仲間、ルビー・ローズ演じるスナイパーのアデルは、名前、青い髪、レズビアンというのが『アデル、ブルーは熱い色』のレア・セドゥを思い出しますが(名前は相手役だけど)、愛称が「クリ勃起」という見たことない字幕に目を疑います。紐(マストを裂いたものかな)で体を固定し次々スナイプする姿にはシビれるし、降りるときにクルクル回るのなんてなんですか、ジャッキー・チェンですか!あとザンダーの指の隙間を狙撃で射貫くとかなんですか、ゴルゴ13ですか!超クールです。あのときCIA長官がなぜ暖房をたいてるのかと思ったら、熱感知の狙撃を避けるためだった、というのが細かい。

一方でジャン側のディーピカー・パードゥコーン演じるセレーナはしなやかボディにエキゾチックな美貌で、画面に華やかさを与えてくれますが、全裸でビルを登ったというエピソードはちょっとどうなの……ぜひスピンオフで映像化してほしい。そんなセレーナとアデルが見せる鳩が飛んでもおかしくないジョン・ウーばりの二丁拳銃が最高すぎて泣けます。途中でアデルがセレーナの腰の銃を抜いて二丁になるってのが細かくて良いですよ。ただ最後はなー、一応ザンダーと通じ合うシーンはあるものの、てっきりアデルとくっつくのかと、多分観客も皆それを期待したろうと思うんですけど、まあしょうがないか。

そしてお喋りメガネっ子ベッキーが可愛すぎます。なんでも1時間で揃えるし(ヤクなら15分)、コケて落としたマシンガンが敵を一掃とかドジっ子として王道すぎてしねます。ハッカーの女性エインズレーは特に意味もなく水着姿を披露してくれてしねます。演じたハーマイオニー・コーフィールド、どこかで観たと思ったら『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』で序盤に出てくるレコード屋の子ですね!女性陣としてはトニ・コレットの演じるマルケも、まあ悪役としてはちょっと弱いですが、「あんたらだけ仲良くしててなんかちょっとムカつく」みたいに思えるところがあったりして面白いです。


■イカした男たち

トニー・ジャーの演じるタロンは、車の開けたドアの下を潜るとか、ジャンプ電線カットなどアクロバティックな動きがさすがです。バトル自体はもう少し欲しかったところですが、ちょっと今までのトニー・ジャーにはないルックが新鮮なので良しとしましょう。タロンとペアで暴れるパワー型のヤツ(名前を失念)もちょっと地味ですが、登場シーンがエレベーターの天井から三転着地で飛び降りるとか、「第一章、第一節だ!」と言いながら本でブン殴るのとか良いです。

ロリー・マッキャン演じるカースタントのテニソンは「船で待ってろ」と言われれば船から降りずに駆けつけるし、「いいアイデアがある」と言いつつただ特攻していくだけだったりエキセントリックですが、宇宙人に二度もさらわれたのでしょうがないですね。危険行為前提なので常にマウスピースをぶら下げてるのもクレイジー。最後の葬儀で一緒に歌ってるのがウザくてイイ。あとクリス・ウーのニックは何のためにいるのかよく分からないうちに終わります。DJが得意です。ツルむと楽しいらしいです。ってただの宴会要員じゃねーか。あーあれですね、ドラクエでいう「あそびにん」なんですね。

かようにキャラについて語りたくなってしまうという実にキャラ萌え映画なわけです。それだけ個々のつかみが上手いということですが、これをコンビでの掛け合いで見せるという、最近では『マグニフィセント・セブン』にも見られた手段で描くことで、さらに効率的に親近感をわかせるんですね。加えて人種も様々なのがワールド・ワイドで、世界中から集まったチームという雰囲気が出ています。


■トリプルXは帰ってくる(はず)

ちょっとね、特にフィリピンの島での銃撃戦に見られるように、カット割りすぎカメラ揺れすぎのアクションは非常に分かりづらくて、そこは色々と凄いことをやってるだけにどうしても「もったいないなあ」と思うんですけどね。あそこでいきなりロシア軍が現れるというのも唐突すぎるし。他にも、実はトリプルXの一員だったジャンたちの立ち位置が分かりづらいし、トリプルX閉鎖の報を受けていきなりマルケが「パンドラの箱」で衛星を操りだすのもよくわからないし、細かいことを言えば穴はあります。特に物語的には。

でもそんな穴を埋めてなおハミ出てくるようなサービス満点の作りが良いんですよ。個性的な面子でチームを組み、争っていた奴らとも仲間になって巨悪をブチのめす反逆の自由人たち、とくればそりゃあ痛快です。最初にサミュエル演じるシリーズのボス、ギボンズをいきなり殺しちゃうという驚き、でも実は(なぜか)生きてるという、ベタながら最後にみんな大集合みたいなノリも良いですよね。ギボンズはなんかシールドの長官みたいになってますけど。終盤に空から落下してくるザンダーをメンバー全員が揃って見上げるというカットがあるのもたまりません。そして何と言ってもデトロイトでの銃撃戦、絶体絶命の危機で現れる二代目トリプルX、ダリアス・ストーンことアイス・キューブの登場ですよ!「いざというときは9を押せ」って何かと思ったらダリアスの呼び出しだったわけです(11年待ってた……)。主役交代もあって興行的には不振に終わった2作目をないことにせず、それどころか新たにシリーズに組み込み直して激アツ展開にしちゃうというのがニクい。

あと珍妙な迷台詞の嵐がスゴいです。序盤でギボンズが繰り返す「だからトリプルXだ」からして意味わかりませんが、マルケの「竜巻のなかに入ってそのまま出てくる男」という例えはダサいけど絶妙だし、ザンダーがドミニカの少年に言う「世界は君の心の中にある」は意味不明だし、テニソンの「信号で止まると石油会社が儲かる」も意味不明だし、ハーレム状態で「これも祖国のためだ」と言うのは羨ましいし、ザンダーのキメ台詞「デカいクソは二度流す」が酷いけどなんかカッコよいし、ダリアスのキメ台詞「グーチョキパーよりグレネード」は11年も待っておかしくなったのかというくらい意味不明だけどカッコよいし、ギボンズの「ドープな男でいろ」もやっぱり意味不明だけどカッコよいし、要するにカッコいいな!?と、どんどん偏差値が低くなるのが快感です。そして何度も言われる「Xは一心同体」で「そうだ、一心同体だ(おれも)!」と取り込まれてしまう。いつの間にか「Return of xXx」を望んでいる自分に気付くのです。

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