2017
02.14

私と彼女のやり直し。『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』感想。

Maggies_Plan
Maggie's Plan / 2015年 アメリカ / 監督:レベッカ・ミラー

あらすじ
後始末されます。



ニューヨークの大学で働くマギーは、妻子持ちの文化人類学者ジョンと恋に落ちる。やがて子供にも恵まれたマギーだったが、ジョンとの生活に不安を感じるようになっていた。そんななかマギーはジョンの元妻ジョーゼットと話す機会を得るのだが……。という恋愛コメディ。

ちょっと奇抜な設定の、いわばスクリューボール・コメディという感じですかね。大学でクリエーターと企業の仲介をする主人公のマギーは、ジョンという有望な学者と知り合い、彼の書く小説に意見をするうちに親しくなって結ばれますが、ジョンには同じく学者であるジョーゼットという妻と二人の子供もいます。つまり端的に言えば略奪愛とその後の奇妙な三角関係の話なのです。とは言え泥臭さはあまりなく、ニューヨークを舞台にした仕事や家庭の描写が多いのもあってわりとライトな感じ。

マギー役のグレタ・ガーウィグが真っ直ぐさで好ましい印象を与えるのが大きいです。彼女の邪気のなさがあってこそ成立していると言っていいです。仕事はデキるのに実はダメ男というジョン役はイーサン・ホークで、『マグニフィセント・セブン』とは全然違うのにどことなく通じるものがあるのはちょっと面白い(本国公開は本作が先)。ジョーゼット役のジュリアン・ムーアは仕事一筋な雰囲気で、マギーとの対峙で見せる圧が凄くてビビります。

やがてマギーが考えるプランにより、三者の関係はより奇妙に変化していきます。冷静に見るとマギーの行動は結構えげつないんだけど、倫理観がどうこうより、どういう状況が幸せかというのを常に考えているとも言えるでしょう。泥沼なのに爽やかというポジティブな話です。

↓以下、ネタバレ含む。








小綺麗なオフィス、気持ちのいい公園、本で埋め尽くされたマギーの部屋、ピクルス屋の内装などといったロケーションがシャレていて、全体的な雰囲気をポップにしています。ジョンが言う「"のような"は言葉のコンドームだ」という台詞のいかにもな言い回しとか、半生を書籍化するという華やかさとか、登場人物たちの鼻につくギリギリ手前の言動は本作の方向性ではあるのでしょう。それにしてもなんでアメリカ人はすぐ自分をネタにした本を書くのか……いやいいけど。マギーがジョンと恋仲になったと思ったら、次のシーンではいきなりもう子供がいる、しかも結婚しているという、不意に時間が飛んで戸惑わされる演出は嫌いじゃないです。

ジョンは家庭人に向かないタイプなのでしょう、家族との食事も形だけ繕ってそれを隠すどころか平然と家族ごっこと言いのけます。でもダメではあってもクズではない気がするんですよ。むしろマギーの方が怖い。図らずも略奪愛をしてしまい、ジョンのために色々犠牲にしたとは言え、旦那を元妻に返そうとするその屈託のなさ。それを元妻ジョーゼット本人に提案するという厚顔さ。大体自分で「半年も続かない」と言ってたのに「愛が冷めてしまった」とかのたまう正直さ。そのピュアさが怖い。そりゃ元カレのトニーも本気で怒りますよ。よく言えばポジティブな人生観だけど、悪く言えば自己中の極みでもあります。

そもそもマギーは子供がほしいだけだったんですよね。優秀な遺伝子を求めて数学のできる級友のガイから精子提供してもらい人工受精までチャレンジするし。顔突き合わせて精子提供の話してるのならガイの言うように直接ヤっちゃえよと思いますが、それは後でもめたくないから嫌だと言う。生まれた子供に父親がいないということは考えないのか、と思うんですけどね。ジョーゼットの子供たちも、こちらはまあ達観しててわりと受け入れてはいますが、何とも複雑な家庭事情に振り回されているのは確か。ここらへんはコメディだから煩く言ってもしょうがないんですが、うーん、なんかね、モヤッとします。

ただ、一度失敗したらもう取り返しがつかないのか?というのを、皆が幸せになる形で覆そうとするというのがテーマであり、そこのまとめ方は上手くできてます。子供たちの協力もあってジョンとジョーゼットは見事に元サヤとなり、娘のリリーちゃんが実はジョンの子ではないという可能性を示してそこにガイが現れるというオチまで付ける。あくまで女性側主体であり、ジョンはうまーく誘導されただけのように見えますが、感情的にも自然な流れで、誰も傷付かず、万事結果オーライ。ヘヴィな設定を軽やかに描ききったという点ではなかなかのものです。

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