2017
01.09

種を超えたバディ。『ピートと秘密の友達』感想。

Petes_Dragon
Pete's Dragon / 2016年 アメリカ / 監督:デビッド・ロウリー

あらすじ
消えます。



森で一人きりとなった少年ピートはその深い森の奥で不思議な生き物と出会う。それから数年、エリオットと名付けたその生き物と過ごしていたピートは、森の木々を伐採する人間たちに見つかってしまい……。少年とその友達の交流を描く、ディズニーのファンタジー・アドベンチャー。

1977年に製作された、とあるディズニー未公開作品をリメイクした作品とのことです。事故で一人生き残った少年ピートは、森の奥で出会っ生き物に「名前を付けてあげること」「不思議な力を隠すこと」「絶対に守り抜くこと」という3つの約束を交わし、エリオットと名付けたその生き物と日々を過ごします。動物に育てられた少年の交流話という設定は、同じディズニーの『ジャングル・ブック』、あるいは『ターザン:REBORN』などとも被りますが、これがただの動物じゃないのがポイント。しかも超フレンドリー。この二者が住む森にやってきた人間たちがピートを見つけ、保護しようとすることから物語が動きます。

ピート少年役のオークス・フェグリーが野性味があって良いです。ピートを保護しようとする女性グレース役にはブライス・ダラス・ハワード、『ジュラシック・ワールド』のときに比べてやけに母性を感じさせます。グレースの父役がロバート・レッドフォードで、昔は冒険もしたけど今はすっかり好々爺、みたいな雰囲気が良いですねえ。ピートと仲良くなる女の子、ナタリーちゃんもカワイらしい。しかし何と言ってもイカすのがギャビン役を演じる『スター・トレック BEYOND』のカール・アーバンですよ。止まれーってポーズとかね、もうカッコよくて笑います。笑うんかい。

ディズニー作品のわりには大々的な宣伝もなく、なんだかスルーされそうな雰囲気が漂ってますが、これが王道の家族&友情ドラマを描き、ファミリー向けアドベンチャーとしてとてもしっかりした出来。絵本や木工といった柔らかさも効いています。結構こじんまりとはしてますが、ストレートでイイ話です。

↓以下、ネタバレ含む。








予告でも見せちゃってるし、そもそも原題からもわかるので別にネタバレではないとは思いますが、ここまでは一応伏せてました。ピートを育てたのはドラゴンですね。リメイク元もズバリ『ピートとドラゴン』で、観てはいないんですが画像を探すと何となくTDLとかで見たような覚えがあります。意外と最初からがっつり見せてくるドラゴンは、結構リメイク元に寄せてるようですね。

このエリオットと名付けられたドラゴン、ファンタジー映画に出てくるいわゆるドラゴンとはちょっと異なる独自の設定で、毛がフッサフサだったり自分の尻尾追いかけてぐるぐる回る犬っぽさがあったりと、見た目の柔らかさもあってより動物に近い感じで可愛らしい。『ネバーエンディング・ストーリー』のファルコンを思い出します。特殊なのがステルス能力で、要するに姿を消して人間には見つからないようにできる、というのは面白いところ。伝説上の生物は姿を消せるから発見されていないのだ、というそれっぽい理由付けに夢があって、何とも優しいと思うのです。加えて空を飛ぶシーンも飛翔感があって気持ち良い。エリオットはそんなに飛ぶのが上手くないのかな?というバランスの取り方も絶妙。そしてドラゴンと言えばブレスですが、火を吐く能力もここぞというときに、しかも予想外の火力で見せてくれるので、結構満足感があります。

カール・アーバンのギャビンが「ドラゴンだー!」って叫ぶのも最高。ギャビンは異形のもので金儲けしようとする人間の卑しさを分かりやすく体現していますが、ほんの少しマヌケな役回りになっているので憎めないですね。突っ込んでくる車を手で制して止まらせようとする姿もムチャすぎて笑います。兄でありながら弟のジャックの下で働いているというのがちょっとワケありっぽいですが(単に経営が嫌いで現場主義なだけかもしれませんが)、「兄弟の言うことを信じないのか」とジャックに言ったり、橋の下に落ちたジャックをすごく心配してたり、そのジャックが助かったときに「うんうん」みたいな顔を見せたりと、仲悪いと思わせて実は家族想いのナイスガイだったりするのがたまりません。ギャビンだけではなく、ジャックと娘のナタリーの親子や、その二人と新たに家族になろうとするグレースとの関係、ドラゴン話が真実だと知って共にエリオットに会いに行くグレースと父など、主要人物が少ない中で複数の家族の物語が描かれています。始まりがピートの両親の死であるだけに、その悲しみを丁寧にフォローしている感じに好感が持てます。

本作が『ジャングル・ブック』などと微妙に異なるのは、4歳位のピートを6年間育てたという位置付けでありながら、エリオットが家族と言うよりあくまでピートの友達だというところでしょうか。序盤の追いかけっこから中盤の捕獲シーン、終盤に二人で飛んでいくところまで、ピートとエリオットの間のバディ感というものが随所に感じられます。ファミリーでなくバディというのが、却って人間とドラゴンという種の違いを認識しているようにも思えてきて、それだけにピートがグレースたちの家で一緒に本を読んでいる姿を見てそっと去って行くエリオットはせつないし、ピートが最後にはグレースたちの元へ帰ってくるのも寂しいものがあります。それをそれぞれが新しい家族を見つけ、友情は変わらず続く、という終わり方にするのが、これまた何とも優しい。バディとファミリーは両立できるわけです。拡がりを抑えた世界観のせいでちょっと地味ではあるものの、寓話としても観れる良い作品だと思います。

スポンサーサイト
トラックバックURL
http://cinemaisland.blog77.fc2.com/tb.php/1167-232e3ee8
トラックバック
back-to-top