2017
01.08

遺産整理で里帰り。『バイオハザード:ザ・ファイナル』感想。

Resident_Evil_6
Resident Evil: The Final Chapter / 2016年 アメリカ / 監督:ポール・W・S・アンダーソン

あらすじ
本当に最後?



人類のほとんどがアンデッドとなった世界で全ての元凶である巨大企業アンブレラ社と戦うアリスは、始まりの町ラクーンシティの研究所、ハイブへ戻ることになる。アンブレラとアリスの最終決戦が今始まろうとしていた……。人気ゲームをミラ・ジョヴォヴィッチ主演で映画化したホラー・アクション『バイオハザード』シリーズの最終章。

2002年公開の1作目から14年、『バイオハザード』シリーズが6作目にして遂に完結。とりあえずミラジョボ扮する主人公アリスが生物兵器を生み出したアンブレラ社と戦う、というラインだけは守ってきたこのシリーズ、途中でクローン設定とか何か色々あった気がしますが、新作のたびに前作までの繋がりをないがしろにしてきたので、まあ覚えてなくても大丈夫。序盤に今までのあらすじ的なおおまかな説明もあるので何とかなります。今作では1作目の主要舞台であったアンブレラ社の研究施設であるハイブが出てきたり、『Ⅲ』や『Ⅳ』に登場して魅力的だったクレア・レッドフィールドが再登場したりするので、シリーズのファンなら嬉しいところです……本来ならば。

ミラジョボのアリスは相変わらずパワフルです。今作ではミラジョボの実の娘であるエヴァ・アンダーソンが人工知能レッドクイーン役で出演し、監督が旦那であるポール・W・S・アンダーソンなこともあって、いよいよ家族ぐるみのお付き合いですねーという感じ。それも本来ならばむしろ微笑ましい要素なんですよ。しかし今作の出来には、そんな舞台裏にも微笑ましさを見出せないです。最大の難点は、全編通してあまりにカット割りが細かすぎ、かつ繋ぎが雑すぎ、カメラが揺れすぎで、何をやっているのかどれが誰なのかがよくわからないことです。これにより緊張感も情緒も全て台無し。カット割りの激しさが上手く機能してないな、と思っていた『ジェイソン・ボーン』がまだ全然マシに思えるほど。面白い・つまらない以前の問題です。

良くなりそうな話の要素やアクション・シーケンスも色々あるのに、それらが全く活きてこないのです。日本のタレントのローラ出演が話題でしたが、そして確かに出演してますが、これでは却って可哀相。『Ⅴ』の中島美嘉の方がまだ幸せだった。僕は何だかんだでこのシリーズは全て劇場で観たし、前作までは観てる間はそれなりに楽しんできたので、完結編ということで「骨は拾ってやる」くらいの思いで観たのに、拾う骨が見つからないんですよ。これがシリーズ集大成とは……こんなん観る暇あったら『アイアムアヒーロー』観た方が良いと思います。

↓以下、ネタバレ含む。








細かすぎるカット割りがとにかく酷い。少なくとも3、4秒に一回はカットが切り替わる感じです。上手くやればスピード感やテンポの良さに繋がるものの、激しいアクションでこれをやるにはそれなりにセンスが必要だというのは『96時間 レクイエム』を観ても明らか。とにかくわかりにくいです。装甲車の上でアリスが戦うシーン、やられてるのがアリスなのかアイザックスなのかゾンビなのかわからない。敵のカンフー使いは結構高レベルのアクションをやっているのに、魅せるべきところでカットが変わるので堪能できない。せっかく色んなクリーチャーが出てくるのに、どういうフォルムなのかハッキリわからないうちに倒しちゃうのも勿体ない。いつの間にか仲間の誰かが死んでて、憎まれ口を叩いていた彼がハイブに逃げ込む直前にゾンビとなって襲ってくるのを見て「ああ、彼だったのか」とわかる。こういうところをもっと丁寧に描けばチームものとしても盛り上がるのに……あの仲間たちの存在は場繋ぎにしか思えません。あとアリスが吊られた状態で次々敵を倒すところでせっかく最後に取ったキメのポーズもすぐ切り替わっちゃうなど、余韻というものがないんですよ。そしてアクションでもドラマ部分でも切り替えのテンポが変わらないので進行がひどく単調。これはもう動体視力の有無の問題じゃないですね。観る者に何かを伝えようとか、良いものを見せようとかの気概が感じられず、イライラします。

展開的には悪くないですよ、このシリーズらしい安定のアバウトさという点で。1作目への原点回帰ということなのか、序盤の廃墟でナイフを見つけるのはゲーム版の『バイオ』の序盤って感じだし、舞台がハイブというのも懐かしい。里帰りですね。ただ、年月が経っているというのはあるにしても「ああここはハイブだ」というのがビジュアル的に伝わってこないです。通路に突如落とし穴が現れてその下に巨大な空洞があるとか意味不明だし。『カリオストロの城』かよ。唯一覚えのあるレーザートラップ、アイザックス自ら操作するなら最初から網の目で出せば勝てるのに、徐々にランクアップしていってそれをアリスがクリアするとかね、元がゲームの映画だけにゲームっぽいと言えなくもないですが。抗ウイルス剤奪取のためとはいえ、アリスが指スパされるまでおとなしく待っているというのも不自然。

その抗ウイルス剤の存在には驚きましたが(今までの戦いは何だったのかという点で)、それはアンブレラ社の狙いを思えばあって然るべきだから良いです。ただ、それが1本しかないとか、それで世界中に拡散するとか、なんだかもう……アンブレラが何をしたいのかはわかったけど、それを一企業のトップが行うのを誰も止めないとか、世界が滅ぶというときに会社が~とか株の保有率が~とか、なんだかもう……そのトップであるアイザックスはオリジナルかクローンかってまたやってるし、オリジナルがあっさりクローンにやられるし、直後クローンはゾンビにやられるし、でもすぐ近くにいるアリスにはゾンビは襲って来ないし。と言うかアイザックスが強すぎ盛りすぎで、もはやアリスが強いんだか弱いんだかよくわからなくなりますね。なんだあの格闘予想ソフトって。演じるイアン・グレンの出演作を『アイ・イン・ザ・スカイ』から立て続けに観たわけですが、演技は良くてもこうも作品レベルが違うと笑うしかないです。ウェスカーなんて最期は会社クビになって死にますからね?『ロボコップ』かよ。

「ここはゾンビには安全だ」とか言ってたのにローラはあっけなくゾンビに殺られるし、「監視されてる」とか今頃言うの?って感じだし、クレアの彼氏がスパイ設定とか別にいらないし、アリスは気絶しすぎだし、細かい不満を挙げるとキリがないです。でも最後、アリスがアリシアから作られたことが明かされ、アリシアをインターフェイスにしたレッドクイーンから彼女の子供時代の記憶をもらう、というのはシリーズの帰結としてはとても良いと思います。……良いんだけど、そこでもサクサクカットが変わるのでその良さを味わう余韻がやはりないのです。良いシーンを挙げようとすると万事この調子。増殖するダメポイントに疲れ果て、「これは私の最後の物語」とか言う台詞にさえ疑いを持たせるという、まるでT-ウイルスですよ。あ、でもこの作品自体がT-ウイルスみたいなものだと考えれば、生物兵器の危険性、人間の放漫さというものを作品の作りで表したと言えなくもない……というのが僕の精一杯の擁護です。シリーズ完結お疲れ様でした!……もう続かないよね?

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