2016
11.13

信じる者は考える。『PK(ピーケイ)』感想。

PK
PK / 2014年 インド / 監督:ラージクマール・ヒラーニ

あらすじ
神様って誰?



留学先のベルギーから帰国後、母国インドのテレビ局で働くジャグー。ある日地下鉄で黄色いヘルメットを被りラジカセを持った「PK」と呼ばれる奇妙な男を見かけたジャグーは、彼が「神様を探している」という話を聞いて興味を持つのだが……。『きっと、うまくいく』のラージクマール・ヒラーニ監督と主演アーミル・カーンが再び組んだインド映画。

シヴァやガネーシャなど神の顔に「行方不明、神様」と書いたビラを配る不可思議な男。その突飛さを見た人たちから「PK(酔っ払いの意)」と呼ばれている彼が、興味と疑問を持ったのが神様という存在、引いては宗教というもの。それを知ったテレビ局の女性ジャグーは、PKと共に宗教の意義へと切り込んでいきます。ヒンドゥー、イスラム、キリスト、シークなど、多彩な神を持つ宗教大国インドを舞台に、何も知らないまっさらな者を通して愛の話から信仰の話にまで繋げるという、実にインドならではという話。しかし堅苦しさはなく、ポップで華やかなルックに恋愛模様、歌って踊るインド映画らしさもちゃんとあり、それでいてあくまでピュアに、かつ論理的に宗教とは何かを問うのが面白い。様々な要素が収束する終盤はとても清々しいです。

今作のアーミル・カーンは黄色ヘルメットなどの見た目や突然動き出すなどの動作とただの危ないヤツにも思えますが、正体を知っていると非常にしっくりきます。ほとんどまばたきしないのがまたそれっぽくて良いですね。なぜか結構脱ぐ上に、なぜかかなりマッチョですが。ジャグーを演じるアヌシュカ・シャルマ、こちらはちょっと篠田麻里子似ですが、ハツラツとした明るさと長い手足でのダンス、そして大きな瞳が魅力的。あとおっぱいが、おっぱいが(略)

重さのあるテーマを軽快に描き、余計かなと思う要素も上手くまとめ上げて人間賛歌に繋げるのが『きっと、うまくいく』の監督らしくて良いですね。楽しいし泣けます。面白いぞ。

↓以下、ネタバレ含む。








序盤の舞台がベルギーでシャレた画が続く上にえらいラブコメ展開なのでちょっと不安になります。詐欺ジジイにホッペチューとかもうムズ痒い。でもサルファラーズがパキスタン出身とわかった辺りから少し不穏さが出てきます。インドとパキスタンは宗教の違いや覇権争いで対立してきた歴史的経緯があるため、ジャグーとサルファラーズはある意味ロミオとジュリエットなわけです。それでも周囲の反対を押しきり結婚しようとするものの、別れの手紙を読んだジャグーはインドへ帰ってしまう。これが不幸な勘違いだというのは予想が付きますが、要は「国や宗教の違い」という本作のテーマに通じているんですね。

異星人であるPKが地球の生活で最も戸惑うのが宗教。教義ごとに神がいて、お布施を払えば願いを叶えると喧伝しているのにその願いは聞き入れられない。だからPKは自分の払った分を取り返そうともします。信仰と団体経営とが結び付く意味が分からないんですね。非情に本質的なことですが、それを何も知らない宇宙人の目を通して描くことで純粋な疑問としています。ただ、本作は決して宗教自体の否定ではなく、あくまで信仰は尊びながら、それを金儲けや売名に使うことに疑問を抱くという構図です。いかにも怪しげな宗教団体の導師と対峙することで、その導師による神の言葉は電話のような「かけ間違い」であると考え、それがそぐわないと思うと「脅迫されている」と考え、受験生への脅迫ビジネスで示す。「どの宗派か体に印でもあるのか」と宗派の違いを責める不毛さを指摘し、「服装が違えばどの宗派かわからない」と信仰と外見との切り離しを掲げる。とても分かりやすいです。

PKがジャグーに恋しちゃったときは「ここで入れるには余計な設定では……」と正直思いましたが、これが事態収束にむかうきっかけともなり、序盤のジャグーとサルファラーズの話に戻し、宗教の違いを越えて互いを想う二人を劇的にクローズアップし、さらにPKの叶わぬ恋というせつなさまで生むというのが上手い。そして自身のリモコンから導師のインチキに気付き「正しい番号は創造神を信じることだ」と改めて本質を説き、「あなたの偽の神は消えろ」と糾弾する。その言葉は狂信的だったジャグーの父の目をも覚まします。信仰の話と愛の話を繋げて信じることの本質を突く、実に見事な畳み掛け。恩人である兄貴を宗教絡みのテロにより目の前で失ったPKにとって、それは宗教の名の元に争う愚かな地球人への忠告でもあります。

とは言え、「神様いる?」で神フィギュア買わされたり、シヴァ役の役者を追いかけ回したり、服装変えてスプレー激噴射でジャグーの気を引こうとしたりと、基本的にはPKのキテレツさが楽しくて良いです。去り際のカセットに録音されたジャグーの声には「いつ録音したんだ」とは思うものの、ジャグーへの思いを隠して振り返らず去っていく背中に、この奇妙な宇宙人への親愛を感じずにいられません……と思ったら、また来るんかい!いやあ楽しい。

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※ようやっと、HAT神戸観て参った!!インド映画にしては超短めの 2時間30分ちょいの作品。『きっとうまくいく』とは、また違った 切り口で、唸らせてくれたよ~~~ぅ! {{{[http://eiga.com/movie/81561/ eiga.com サクヒン情報 『PK ピーケイ』]}}} {{{: ■解説:日本でもロングランヒットを記録したインド映画「きっと、うまくいく」の...
『PK ピーケイ』 dot ジョニー暴れん坊デップの部屋dot 2016.12.03 03:32
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