2016
10.24

絶望を乗り越える胸の震え。『GANTZ:O』感想。

GANTZ_O
2016年 日本 / 総監督:さとうけいいち、監督:川村泰

あらすじ
ガンツ:おっぱい。(違います)



地下鉄で命を落としたはずの高校生・加藤勝が、気付くと居た見知らぬマンションの一室。そこにいた人々は、ガンツという黒い球にエイリアンを倒すために集められた者たちだった。戸惑いながらも転送された加藤たちだが、そこは今までチームが送られたことのない大阪だった……。かつて実写化もされた奥浩哉のコミック『GANTZ』、その中の一篇である「大阪篇」をフル3DCGアニメで映画化。

かつて二宮和也、松山ケンイチ主演で実写化もされた『GANTZ』。原作は未読でしたがそちらの実写版は鑑賞済の状態で観ました。いや、これは凄い!そして面白い!人間以外ほぼ実写かと思うような、それでいてアニメっぽさも残したハイクオリティのCG。日本のリアル系フル3DCG作品はゲームのムービー的というイメージがありましたが、それをあまり感じさせないような画作り、という印象。それは物語や演出に依るところも大きいですね。「妖怪大戦争」から始まる終わりなきバトルで魅せるひたすら続くアクション。XガンやYガンといった武器、ハイパワーなスーツや近未来的ビークル、そして巨大なアレに至るまで魅惑的なガジェット。数で圧倒し、強さで心を折りにくる敵への絶望感。そして揺れるおっぱい!と引き込まれ要素が半端ないです。

驚いたのは、長い原作の一エピソードを切り出したとは思えないほど完成されたストーリーです。『GANTZ』を知らない人でも無理なく入れるようにアレンジされた導入、うろ覚えの人でも記憶が蘇るようなキャラ選定、強さのインフレをこれでもかと叩き込むスピード感ある展開、そしてラストの決着に至るまで、キッチリ一本の映画として描き切っているのがスゴい。なので原作知らない人でも問題なく楽しめるだろうし、原作を知る人でも思わず唸るような改変であるようです。原作者も絶賛してますね。声の出演は加藤勝の小野大輔(空条承太郎だ!)、山咲杏のM・A・O共に素晴らしい。鈴木さん役は池田秀一ですよシャアですよ全然気付かなかったよ。鈴木さんって散々ハゲって言われるけどそこまでハゲじゃないですよね気の毒に……また大阪チームをケンドーコバヤシやレイザーラモンの二人が演じてますが、自然な関西弁でドスも利いててなかなかの出来。

実在の街に魑魅魍魎が跋扈するという「非日常の侵食」はフルCGならでは融合性を感じさせて、この手の作品の新しい次元を見せてくれたようにさえ思います。そして若干抑えめなのが余計そそるエロ要素、人体損壊も容赦ないグロ要素、度肝を抜く衝撃的展開と、実に熱い。難点はおっぱいが揺れすぎてそこばかり気になってしまうこと、良い点はおっぱいの揺れが素晴らしいことです。

↓以下、ネタバレ含む。








いやもうホントにね、おっぱいについてはレイカも杏もあんなピッチリしたスーツなのにあれだけ揺れるってのは不自然じゃないの?けしからん!と言いたいところですが、スーツは動きやすいよう意外と柔軟性があるのだと考えればあれくらいの揺れは表現としてちょうどいいのでしょう。原作もやたら巨乳キャラが多いし、監督いわく作画はおっぱい職人が作ったらしいし、そこはおっぱいも主役であるという新たなトレンドを作り出したと言えるでしょう。エロい意味ではなく、いや決してエロい意味ではなく、おっぱいは躍動感を表すアクションの一つとして見るべきですね。おっぱいだから見るのではなく、凄いアクションには目が釘付けになるということなのですよ。だから我々はおっぱいを見てしまうのですよ。たわわアクションなのですよ。そもそもおっぱいとは、え、おっぱいの話はもういいと。了解です。

しかしおっぱいはあくまで見所の一つです。凄まじいのは絶望的状況、その打開、再びの絶望、という繰り返されるバトルのインフレ構造で、これには否が応でも引きずり込まれます。レーダーにとんでもない数が表示され、橋の下を見ると無数の妖怪たちが蠢くのにおぞ気が走ります。あと妖怪というのが見た目で強さのランクがわかるのがいいですね。天狗が出てきたときはこいつはヤベエ!ってなるし、ラスボスは当然妖怪の総大将ぬらりひょんですが、これが予想外のスピード、からのおっぱいモンスター化ですよ。さらには神を名乗りだしたりしてね。一方で大阪チームが妖怪をガンガン倒していく姿に「すげえ」とはなるものの、奴らのあまりのゲスさに全く感情移入させず、島木と室谷が殺られるシーンではむしろ溜飲を下げてしまうというのが歪んでて良いですね(ちなみに観賞後に原作の大阪篇を最初の巻だけ読んだんですが、大阪チームは本作の比じゃないくらいゲスかったです)。それでいて満を持して登場する7回クリア岡八郎の超カッコいいスーツには喝采ですよ。凄いバランス感覚です。

バランスと言えば、超絶な力を発揮するスーツの威力にガン上がりさせておきながら、リミット越えると何かドロッと出て使用不可になったときのやっちまった感の落差とか、強烈な武器であってもリロードの間があったりするのがまたスリルを増幅させます。そして「数」「強さ」だけでなく「デカさ」までブチ込んでくる。何ですかこの『パシフィック・リム』よりこちらが先ですから!と言わんばかりの巨大ロボットvs牛鬼戦は。銃、刀、体術、バイク、スーツ、ロボ、狙撃と、アクションの美味しいところ全部のせの豪華さ、それらをバランスよく配しながらアニメならではのトリッキーなカメラワークも駆使して魅せてくれる。これにはやられます。

導入は原作からかなりアレンジが加えられてますね。冒頭で玄野の死を描くのも「主役じゃなかったっけ?」と先が気になる作りだし、仲間に西君がいるのは実写版しか観てない者には馴染みやすく、「ラスボス狙い」という特性を忘れた頃に再登場するのもニクい。何より加藤の立ち位置です。彼が初めてガンツに参加したという体で始まるため入りやすく、同時に加藤の正義漢ぶりも描くというので自然と加藤に同調してしまう作りなんですね。そこに登場する、ゲスい大阪チームでツラい目に遭ってきたのであろう杏ちゃん。一児の母でありながら真っ直ぐに思いを伝えてくる杏に加藤同様惹かれてしまうからこそ、彼女が真っ二つになるショックも並みではなく、ゆえに加藤が杏を生き返らせる選択をすることに説得力があります。加藤が実は「戻ってきた」のだという事実には、それ以前の原作にある戦いさえも想起させ、もはや唸るしかありません。東京と大阪、過去と現在、謎と真実、様々な要素が絡み合いながら最後にはこの終わりなき戦いに希望さえも見せる。見事すぎる着地です。

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