2016
10.01

腰抜け名将化計画!『真田十勇士』感想。

sanada_jyuyushi
2016年 日本 / 監督:堤幸彦

あらすじ
十勇士のほうが語呂がいい、のか?



関ヶ原の戦いから10年、天下の名将として名高い真田幸村は実は腰抜けだった!そんな幸村の元に集った抜け忍の猿飛佐助を始めとする十勇士。彼らは豊臣復権を狙う淀殿に呼び寄せられ徳川と戦うことになるが……。堤幸彦と中村勘九郎が組んだ舞台『真田十勇士』の映画化。

大河ドラマ『真田丸』でも題材となっている真田幸村(実は観てないんですが……)。真田幸村と言えば『戦国BASARA』の「ぅおやかたさまぁぁぁぁ!」が最初に浮かんでしまう人にもおなじみですね(僕のことです)。本作はそれらとは関係なく2014年の舞台劇がオリジナルだそうです。これは映画と同時に再演もされてますね。監督も同じ、キャストも結構被っての映画版というわけです。他の真田十勇士ものと異なる要素として、真田幸村がその名将っぽい見た目のせいで頼られてしまうものの実は見かけ倒しの腰抜けということ。この情けない大将を盛り上げるため、猿飛佐助が仲間を集めてハッタリをかます、という痛快時代劇。

……というのを期待してたんですけどね。いや間違ってないし、話も面白いと思うんですよ。策士な佐助のアイデアは奇抜さが愉快だし、合戦のスケール感はかなりのものだし、忍者アクションもそれっぽい。幸村がヘタレだという設定は活かされてるし、十勇士はそれぞれに個性も見せ場もあって悪くない。これが限定空間で役者の顔が等しく見える舞台劇でやるなら結構ハマると思うんですよ。でも映画として観ると、うーん……寛容な心が必要ですかね。堤幸彦節が好きな人なら受け入れられる気もするし、一周回って面白い気がしなくもないです。

佐助役の中村勘九郎、霧隠才蔵役の松坂桃李、真田幸村役の加藤雅也を始め、十勇士や敵忍者などは根津甚八以外は舞台版と同じ(1期、2期の違いはありますが)。くノ一火垂はなぜか篠田麻里子から大島優子へと元AKB間でバトンタッチしてますが、そこは個人的にはオッケーです(推しだったから)!つまりキャストはさすがに役柄を自分のものにしてる安定感が感じられて、結構良いんですよ。だから締めるとこを締めて、アクションもスローと手ブレを減らし、もっと王道の作りを貫いていれば、ずっと見応えのある良作になったのではないかと思うんですけどね。

↓以下、ネタバレ含む。








いやほんとね、なんでそこそうしちゃったの?というのが多すぎるんですよ、それこそ冒頭から。実験的、と言うよりはおふざけがすぎる、という印象が強いです。まあそれが堤幸彦だと言われればそうなんですが、『TRICK』や『SPEC』と違って戦による人の生き死にが多い分、シリアスとギャグのバランスが悪いと思うんですよ。どうしてもわからないのは、なぜ最初ああいう風にしちゃったの?ということ。緩い世界観を示してるってことなのかもしれませんが、いい効果をもたらしているとは思えず。他にも、なぜ九勇士で始めちゃった?筧十蔵をカマキャラにする必要ある?真田幸村と淀殿の恋愛話、いる?エンドロールのif話、いる?とクエスチョンがいっぱい。くノ一火垂が簡単に乙女な部分を見せるラブコメ展開もどうかと思います。思いますが、大島優子の「バカ///」がたまらんのでそこは許します。

でも十勇士が横並びで勢揃いするカットがちゃんとあるのは熱いものがありますよ。勘九郎の佐助が纏う飄々とした雰囲気、松坂桃李の才蔵が垣間見せる目を見開いての狂気なども良いです。なんか才蔵、飛ぶし。口先だけの甚八が戦場で初めて人を斬った後の三好清海・伊佐のフォローとか、由利鎌之助は最期までシブいとか、筧十蔵の裏切りを許されたときの表情とか、十勇士は皆結構イイ。ヘタレの幸村が終盤示す武将らしい決意はそこまでのダメっぷりとのギャップもあって熱いし、父と息子のドラマに弱いのもあって真田親子の最期にはちょっとウルッとしてしまいましたよ。さすがに家康の眼前で二人だけというのは無茶すぎとは思いますが。終盤のどんでん返しも目新しくはないですが面白いと思います。不要に思えた幸村と淀殿の恋愛話も、佐助たちがこれを仕掛ける理由と思えば分からなくはない(淀殿が大竹しのぶというのがノリきれない理由でもあるんですが)。ただこれは作品の出来とは関係ないですが「最後の展開に驚いた」という感想を見かけていたせいで、オチが読めてしまい驚けなかったのが悔しいです。

佐助のポリシーは「面白ければいいじゃんか」という一見軽いものですが、その奥には困難を知恵と度胸とユーモアで乗り越えようとする強さが感じられます。だから決して投げ出さない。己のふがいなさを嘆く幸村に天下を取らせようという一世一代の博打に賭けるのも、自身の情熱の表れなんですね。そんな自分のための面白さが、いつの間にか幸村始め皆で成し遂げる面白さを求めるようになり、その情熱にいつからか他の十勇士たちも、利己的に思われる才蔵でさえも同調していきます。その辺りは浪花節な展開もあれどわりとすんなり観れたので、チームものとしては結構良いんですよ。ただそれなら、ラストの船の描写で死んだ仲間のことをコロッと忘れてるかのようなラブコメ調にしたり、エンドロールで死んだ仲間のそっくりさんを出したりということをせず、もっと「せつない明るさ」みたいなものにとどめておけば余韻もあって良かったろうに、とは思います。

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