2016
09.19

神々の黄昏、人間の情熱。『キング・オブ・エジプト』感想。

gods_of_egypt
Gods of Egypt / 2016年 アメリカ / 監督:アレックス・プロヤス

あらすじ
では第一問!(by スフィンクス)



神と人間が共存する古代エジプトで、オシリス王から玉座を奪った暴君セト。その元から恋人を救おうと、若き盗賊ベックは「神の眼」を盗み出し、追放された王子ホルスの元を訪ねる。ベックとホルスはセトを倒すべく困難な旅に出るが……。『ダークシティ』『アイ,ロボット』のアレックス・プロヤス監督によるスペクタクル・アクション。

舞台はオシリス神が王として人々を平和に統治するエジプト。エジプトの神が主役級というのはちょっと珍しいですが、『タイタンの戦い』『ヘラクレス』『インモータルズ』のような古代の神話ものですね。しかしさすがプロヤス、これが結構ワンダーなセンスが溢れててヤバい!冒頭こそ高速空撮での『X-MEN:アポカリプス』の出だしと被るものの、そこからは独創的かつハジけまくった映像の奔流です。暴れる神々!みなぎるゴッド・パワー!おっぱい!溢れる黄金!弾け合うメタル!神vs神!おっぱい!閣下と脳みそ!船長と太陽!ゴッド!おっぱい!……とか言われてもよく分からないと思いますが、とにかくやたらと「!」を付けたくなる要素がてんこ盛り。

……あー、冷静に振り返るとそこまでおっぱい映画ではないんですが、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のフラジールことザヤ役のコートニー・イートンが大変素晴らしいお胸様なうえに超可愛いのでしょうがない。あ、主人公はその恋人ベックの方です(順番がおかしい)。演じるブレントン・スウェイツはチャラい感じ満載ですがむしろそれが合ってますね。ホルス役のニコライ・コスター=ワルドウは『ゲーム・オブ・スローンズ』の人ということで雰囲気は言うことなし。そしてセト役のジェラルド・バトラー、『300』と同じような激強い王ながら、今作では暴虐の王として登場、抜群の風格で主人公たちの前に立ちはだかります。他にもトト神役に『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』のブラックパンサーことチャドウィック・ボーズマンとか、あんな人とかこんな人とかも出てます。

予想を遥かに上回るビジュアルの数々!舞台はギリシャじゃなくエジプトなのに、なぜか溢れる「聖闘士星矢」感!そして魅惑のキーワード、大・合・神!(爆笑)予告の映像などほんの序ノ口、ぶっ飛びの展開が待ち受けてます。

↓以下、ネタバレ含む。








タイトル出るときのメタルな旋律に早くも期待が高まります。最初にホルスの入浴シーンでお付きの者との縮尺が違うことから、ああ神は人間より一回り大きいという『ホビット』的な見せ方なんだな、と思ってたので、アーマード・ゴッドに変身したときには奇声が漏れそうになりましたよ。黄金聖闘士みたいなホルスとブラック・メタルなセトとの、巨大柱をブチ壊しながらのいきなりスペクタクル溢れる神バトル!血が金色なので派手に流血しても大丈夫!というのっけからの異次元展開に燃えます。なんだこれ超カッコいい!空飛ぶ船などの神話的な舞台装置、神の眼を盗もうとするベックを阻む『レイダース 失われたアーク』ばりの遺跡っぽいトラップ、顔のついた塔などの悪夢的な美術、そして宇宙まで行っちゃうという度肝を抜くスケール感と、面白要素が次々出て来て飽きさせません。太陽が平たい海みたいなのにぶつかるの、あれ地球ってことなんですかね?よもや天動説まで映像化するとは……攻めてます!

また原題『Gods of Egypt』に恥じぬ神々大フィーチャーも愉快で、冥界を司るアヌビスはやけに簡単に呼び出されて結構忙しいし、愛の女神ハトホルはラブビームでチャームかけまくりだし、牛っぽいムネビスは牛っぽいし。セトの部下の大蛇使いも神の一員なんでしょうね。うち一人が『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ダグ役だったアビー・リー・カーショウというのは後から知って胸熱。トト神のチャドウィック・ボーズマンはリアル影分身で増えまくってるのが笑うし、知恵の神なのにスフィンクスの問題にカッコよく「秩序」とか答えて間違えるとか笑うし、クリスタル脳みそをスポンと取られるのも笑います。あっひょっとしてコメディリリーフなの……?何より凄かったのが太陽神ラーですよ。演じるのがジェフリー・ラッシュというのも驚きましたが(船に乗ってるのというのが某海賊映画っぽくて微笑)、アーマーなしで巨大化するその威容はまさに神の頂点。神をも焼き付くす火の槍で超巨大蛇アポピスを退治する毎日というのも、おじいちゃん大変だな……と涙を誘います。そして翼と杖と頭脳を手に入れたセトの「俺は大合神だ」の無敵感。超合金ロボか!とテンション上がりまくって泣きます(笑いすぎて)。

まあそんな感じでエジプト神話を好き勝手にアレンジする方向性は思いきってて良いですねえ。超展開ではあるものの不思議と違和感はないし。いやひょっとしたらあまりの飛ばし具合に思考が麻痺してるだけかもしれませんが。でもそれ以上に、添え物だろうと思っていたベックとザヤの物語が意外にもしっかりとベースにあって、そこをないがしろにしなかったのが良かったですよ。それはベックを利用対象としてしか見ていなかったホルスが、旅を続けるうちにベックのザヤへの思いの強さ、そして王として必要な「民を守る」ということを知り、神の眼を捨ててまでベックを助けようとしたところにも繋がります。人の命ははかない、それだけにお布施ではなく魂の価値こそが尊ばれるべき、という冥界のルール改訂まで見せてくれる。神ではなく人間の行いを契機として新たな世界が始まった、という着地点にすることで、神々の神話から人々の伝説へと時代が移っていくんですね。その辺りまでちゃんと描いているのも好印象です。



スポンサーサイト
トラックバックURL
http://cinemaisland.blog77.fc2.com/tb.php/1124-ab02c99b
トラックバック
back-to-top