2016
09.15

受け継がれるショータイム。『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』感想。

Now_You_See_Me_2
Now You See Me 2 / 2016年 アメリカ / 監督:ジョン・M・チュウ

あらすじ
タラ~~ン♪



派手なショーと同時に不正に搾取された金を奪ったイリュージョニスト集団「フォー・ホースメン」。あれから一年、某ハイテク企業の不正を暴露しようとした彼らは、何者かの策略により作戦失敗の憂き目に会い、囚われてしまう。果たしてこの陰謀を打ち砕くことができるのか。義賊マジシャンたちの活躍を描いた『グランド・イリュージョン』の続編。監督は前作のルイ・レテリエに代わり『G.I.ジョー バック2リベンジ』のジョン・M・チュウ。

前作の感想はコチラ。
タネも仕掛けも予想以上!騙される快感。『グランド・イリュージョン』感想。

フォー・ホースメンが帰って来た!(諸事情により今作では「ホースメン」と名乗ってますが)ダニエル、メリットらのメンバーに、FBIのディランやマジックのタネ明かし屋サディアスなどのメンツも再登場。相変わらずテンポが良いし、ショーアップされたライブステージはアガるし、マジシャンとケイパーものの融合としては前作以上のスケール。今作はホースメンがFBIではない何者かの罠に落ちるため、前作でマジシャンとして完璧だったところを失敗もする、あるいはギリギリ、というのがスリリング。話の構造上ショーの途中で水を差されるというのが少々爽快感に欠けるし、細かい整合性も多少は気になるものの、面白いです。カード隠しシーンなどはくどいけど最高。

ダニエル役のジェシー・アイゼンバーグは髪型がガラリと変わったものの(『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』のときに近い)、早口と唯我独尊ぶりは健在。ウディ・ハレルソンの演じるメリットも相変わらずチートすぎる催眠術を使いますが、今作は一人二役で全く違うキャラを演じ分けてます。前作でヘンリー役を演じたアイラ・フィッシャーが出てないのはショック。妊娠のため降板なんですね。代わりにリジー・キャプラン演じるルーラが登場、移動呪文みたいな名前ですがそのとんがった悪趣味キャラも観てるうちに良くなってきます。そして今回はマーク・ラファロの演じるディランが最高!ある意味ディランが主人公と言っても良いですね。

映画といういくらでも映像を作れるなかでのイリュージョンってどうなんだ、というのもあるとは思いますが、トリックがあるものはちゃんと映すし、絵的に派手なので魅せられちゃいます。実は非常に大きな不満もあるんですが、キャラ萌え度が強力であったり、より増したチーム感が気持ちよかったりするので、まあ許せるかな。前作を観てなくても話は分かるかもしれませんが、前作の話を知ってるのが前提の物語だし、観ておいた方が感慨深さが違います。

↓以下、ネタバレ含む。








キャスト名を出すのもちょっとネタバレかもなあ。というわけで、ジャック役のデイブ・フランコ、アーサー役のマイケル・ケインも再登場。30年前の映像が別人だったのでモーガン・フリーマン出ないのかしらと思ったらちゃんと出てたのは一安心。前作で悪役にされたマイケル・ケインはすっかり悪党になって、息子への最後の台詞「母親がどこの女かもわからん」がクズ過ぎです。そのかわいそうな息子のウォルター役はハリー・ポッターでおなじみ(個人的には『ホーンズ 容疑者と告白の角』の、と言いたい)ダニエル・ラドクリフですが、あらゆる情報を手にできるチップで世界を操ろうとする科学の天才、のわりにはあまり天才っぽいことをしないので、いまいちイリュージョンvs科学という構図が際立ってこないのは残念(いきなり本当にマカオにいたのは驚きましたが)。でもそのチップが「魔法のホウキ」と呼ばれてるのは笑います。絶対狙ってますね。あとメラニー・ロランが出ませんが、この騒動をフランスで見てたんでしょうかね。

ショーの華やかさ、そこに至る過程は見応えあります。序盤のオクタ社、潜入するダニエルの衣装チェンジや寿司トレイからアタッシュケースへのトランスフォームなどのマジシャン的なスマートさ、メリットの早業、ルーラの腕切り、そして一年前の出来事を覚えている観客がこのサプライズでヒートアップすることで観てる方も盛り上がります。後半のロンドンのゲリラライブも、ジャックの人間大スリーカードモンテ、ダニエルの止まる雨などトリックを駆使したショーが楽しいし、カードの滝のなかに消えたり、倒れて水に消えたりというケレン味ある去り際も愉快(鳩を出しきってコソコソ去るルーラには笑いますが)。ただ、話の展開上ウォルターがショーを途中で遮ってしまうため燃焼不足ではあります。一方で完遂するクライマックスの飛行機ネタは、何が起きてるかを周囲で観客が逐一見てる、つまり種明かしを中継してるわけで、イリュージョンと言うよりドッキリなのがいまひとつ、とショーに関しては若干モヤモヤしたものが残ります。でもチップを盗み出すときのカード隠しは、ちょっと長いけど金属探知機を通すところまでアイデアが詰まってて実に面白いし、何度も失敗するジャックの催眠術がチャンスの言っていた意外性により遂に効く(しかも当のチャンスに)、というのも良かったですけどね。

モヤモヤは他にもあって、たとえばメリットの双子の弟チャンス、かなりウザいのは面白いからいいんですが、その登場はやたら唐突。あとダニエルはどこからアイ(実はウォルター)の連絡先を知ったのか?冒頭で何かあったっけ?本物のアイも組織体制がいまだによくわからんし、ディランはメンバーなのに実態を把握してないのも気になります。ディランの川底金庫脱出シーンは矢印が浮かび上がって?時計が鍵ということ?とか、飛行機でチップがいつの間にか偽物に?あれ本物じゃないの?というのも分かりにくかったし(単に理解が追い付いてないからかもですが)、バイクシーンなんかもね、そもそも必然性ないですからね。結局捕まるし。メリット萌えだけのシーケンスですね。まあでもここら辺は些末なことで、明確に不満なのがアクションシーンですよ。グラグラ揺れすぎ、カット割りすぎのカメラワーク、これはあまりに酷い。特にマカオ市場、せっかくラファロが面白い立ち回りをやっているのに、途中でワケがわからなくなってしまうのが本当に残念。

ディランの過去を映す残酷なオープニングからも分かるように、今作はディランの物語です。手錠移し、火吹き、流暢な中国語と、さすがはアイというハイスペックなところを見せるディランですが、父シュレイクの脱出失敗を引きずったままなんですね。そもそも前作がその復讐の話だったわけです。そんなディランが父の脱出を追体験し、喪失感から解き放たれ、遂にはステージデビュー!というのが熱い。ダニエルが「僕らの友人でリーダー」と紹介するのも実にイイ。ホースメンに「フォー」が付いてなかったのはジャック不在で3人だったからというだけではなく、5人目のメンバーを示唆していたんですかね。サディアスが実はアイだった、というのはあれだけ憎まれ役だったのにどうなんだとは思いますが、ディラン自身をカーテンの向こうにある者として認めることでディランの物語を締めてくれるので、まあ良しとしましょう。

見えているものが真実とは限らない。それを体現する物語は、色々穴はあるもののマジック的な驚きという点ではサービス満点だし、ラストショットで見上げた階段がアイのマークになっているというところまでスタイリッシュさに満ちていて憎めないです。

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